第11話
襲われそうになっていたメリウスをメルジーナ様から回収し、その後カレンに引渡して無事に寮に行ったのを見送った俺は、明日行われる知識面の筆記テストの見直しを行っていた。
このテストは全学年共通で、全て同じ問題を受けるため、学年違いで難易度の変更は起こらないため純粋な知識量が試される。
ふむ……このページは問題なしっと。
フィアン姉さんから渡されたチェックシートに丸をつけておく。よし、それじゃ次のページ。
それで、テストについて何だが、俺個人としたらそんなに難しい難易度では無いと思う。一年生のこの時期だったら解けるのは少ないかもしれんが、二年生にもなれば変なミスさえしなければ満点はいけると思う。
だって、問題内容『○○はどのような魔法か』とか、『○○はどう言った効果を持つ魔法か』とか、そんな感じのものばかり。全属性から出題されているとはいえ、問題範囲は中級までだ。まぁ満点防止対策でたまーに上級超えて特級。果てには禁術まで出てくるからなこれ。
コンコン。
「ん?はーい」
仕事場の特例クラスで作業をしていると、ノックが聞こえたので、席を立ち上がりドアを開ける。
「やっほー」
「姉さん?」
そこには、先程まで会議中だった姉さんの姿があった。
「会議、終わったの?」
「うん。今年は生き残ったのが10人もいたから少し時間かかっちゃった」
先程まで、姉さんはメルジーナ様から逃げ切った生徒十人の順番を決めていたのだろう。どういった決め方をしたのかは知らないが、恐らく教師の何人か――――それこそ、学年を取りまとめている教師とか、それなりに上の立場にいる教師とかが集まって、メルジーナ様からどれだけ逃げ切ったかどうかで決めているのだろう。
俺は勿論、この前入って来たばっかりの新人なので会議には呼ばれない。だからこうして教室でテストのチェックをしているのだ。
「確かに、10人は例年と比べて多いな。最多人数じゃないか?」
「そうだね。私達の時も8人生き残ったから奇跡とか言われてたのに、たった一人の神童に抜かされちゃったね」
生き残った………いや、うん。確かにあの捕まった時に発する絶叫からすれば生き残ったと表現してもいいな。
「メリウスだけじゃなくて、カレンも凄い伸びたよな」
メリウスの成長も凄いが、カレンの成長速度も凄まじい。兄さんに揉まれてから蓋が外れたように成長の速度が上がっている。それこそ神童であるメリウスと同じかそれ以上に。
「そうだね。元々入学した時から才能はあったけど、最近はさらに……あのまま行ったら彼女はルドルフ兄さんと同じくらいの強さを持つだろうね」
「うん。それは俺も思う」
カレンならば、順調に成長すれば神童を除けば世界でもトップクラスの魔法使いになれるだろう。
「それで、姉さんはどうしてここに?」
「あ、いけない。本題を忘れる所だった」
姉さんは口に手を当てた後にゴソゴソとポケットから紙を取りだした。
「はいこれ」
「これは?」
「今日のランキング。一応全校生徒分はあるけど、各クラスの担当の先生にはクラスの子達の順位が書いてあるのを渡してるんだ。教えたらダメだからね?」
左手で可愛らしく「メッ!」として姉さん。何それ可愛い。もう一回やって。
「それじゃ、失礼して」
姉さんから受け取った紙をぺろりと開けて確認してみる。
全国魔法学校対抗試合選抜生徒試験『ドキッ!女帝が追う恐怖の鬼ごっこ!』結果
一位……メリウス
十二位……カレン
「おぉ………」
結果を見た瞬間、驚きの声が漏れた。いや、メリウスが一位というのは想像ついてたし、そんな驚かなかったけど、カレンが十二位か……。
「ほかの先生達も驚いていたよ。上位三十名はほとんど四年生だけど、その中で実質二年生が一人くい込んでいるんだから」
「そりゃ確かに驚く」
この学園で四年間も生き残っていれば、もうそれだけで世界で見ても上位クラスだからな。それだけウチの学園のレベルが高い。
てか、そもそも本来なら既に飛び級で卒業出来るけどあえて残ってる猛者とかもいるからな。
「明日が楽しみだね」
「そうだな。ここからカレンがどこまで順位をあげることができるのか見物だな」
そしてこの日は、あと姉さんと少しばかり話して仕事を終えた。
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