第7話
「いいですか、メルジーナ様。出していいのは本気の三割までですからね。それと、手を出すのも禁止、触っていいのは一秒以内――――」
「……ねぇフィアン?去年よりも制約が厳しくなってないかしら?」
『ドキッ!女帝が追う恐怖の鬼ごっこ!』はお昼から行うことになっている。
今日は授業が全体的に休みで、午前中の間にどこに隠れるか、どこをどう逃げるかのルート選択を行い、午後に備える。
制限時間は二時間。その間メルジーナ様から逃げれれば、代表生徒にはほぼ確実に選ばれると思ってもいいだろう。
そして、一日開けて知識力を見るための筆記型のテストがある。こちらも制限時間は同じく二時間なのだが、途中で終わったら退室も大丈夫である。ただし
二度と試験会場になる教室には戻れないがな。
テストの方は……そうだな、100点満点中80点を超えればいい方なのではないだろうか。
「……カレンちゃんとメリウスちゃん、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫よ。私やアリスがしっかりと鍛え上げたもの。メルジーナ様相手でも逃げ切ることは出来ると思うわ」
試験の様子は、この前も使われたことのある
この試験が始まるまでの一瞬間、アリスに手伝ってもらったり、一般クラスの方の担当をしているルーナに、暇な時手伝ってもらったりと、色々なことをしてもらった。
「ありがとな、二人とも」
「気にしないでください。ティルファさんの頼みですから」
「気にしないでいいわよ。あなたの頼みなんだから」
「……本当に、二人はなんて出来た嫁なんだ」
最高かよ。今度何かしら個人的にお礼でも用意しとくか。
「ちょっ、バカ……急にそんなこと言われたら照れるでしょ……」
「恥ずかしいです……」
と、ルーナが俺の横腹をペチッと叩き、アリスが自身の両手を頬へ持っていった。
『はーい。それじゃそろそろ始めるよ。学生の皆は準備できるかな』
そんなこんなしていると、プロジェクターのシーンが切り替わり、魔法を使って声を学園全体響かせている姉さんが映った。
『別に、捕まっても特に何か罰があるわけとかじゃないから、気楽に臨んで、普段以上の力を出せるように頑張ってね。ではメルジーナ様、何か一言』
そう姉さんが言うと、今度は画面にメルジーナ様が映る。
『メルジーナ・ディルクロッドよ。私は別に、多くは語らないわ……才能の卵達、全力で私から逃げなさい』
「うっお……」
「これ……すごい威圧です……っ」
「画面越しでもこれね……本当に恐ろしいわね」
直接顔を合わせている訳でもないのに、この威圧感。さすがは現在最強の神童である。
俺があの領域に辿り着けるのは一体いつなんだろうな……。
『それでは、ドキッ!女帝が追う恐怖の鬼ごっこ……スタートよ!』
『さて、先ずは様子見で行きましょうか』
そしていよいよ、代表選手を決める戦い(?)が始まった。
「えっと……あ、これ自分が見たい場所を念じれば変わるって書いてありますよ」
「ん?そんな機能があるのか?」
プロジェクターの説明書を見ていたアリスが言う。後で姉さんがこの部屋に合流するのだが、この部屋には俺たち3人しかいないので、俺達で自由に操作できる。
「さてさて、メリウス達はどこにいるのかな―――あ、本当に変わったな」
先程までメルジーナ様がゆっくりと歩いている光景だったが、変わると視界に見慣れた髪色の二人がいた。
「ふーん。どうやら二人は協力して――――まって。この二人一体どこにいるの?」
「…なるほどな。これ、屋根の上だぞ」
「え?屋根?」
たまたまか、はたまた必然か。
俺がこれに参加した時も、最初の位置は屋根上だった。
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『ヒロイック~戦場に花咲く一輪のイレギュラー~』
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