第6話

 しばらく悶えていたが、なんとか気を取り直した俺。膝を着いたため、一度膝をパンパンっと埃を落としてから最上階へ向かうことに。


 階段に向かう途中に、一つのクラスの目の前を横切るので、ちらりと横目で確認すると、どうやら見覚えのある教師が、教壇に立っているのを見かけた。


 あの人、まだここで教師してたんだな。


 思い出すのは、まだ俺が生徒の時だった記憶。神童ということもあり、魔法の実践訓練の時だけ他の一般生徒とは別れてやっていたのだが………。


「いやいやいや、俺よりもお前らの方が上手く魔法使えるから、別に俺が指導しなくてもよくね?」


 と言って、その時の授業だけ全員で日向ぼっこをすることになったのはいい思い出である。


 ……後であの人のところにも挨拶しに行こう。


 階段をテキパキと昇っているうちに、キーンコーンカーンコーンの鐘の音も聞こえる。この鐘の音も懐かしいな。


 そんなこんなしてるうちに、着きました最上階。


「……ここだな」


 階段を上って上を見上げると、そこには特級クラスと書かれた札と、扉。俺が学生の時はこんな扉なんて無かったな。


 しかし、全フロアが特級クラスの教室か……。他生徒から不満とか出ないのか?別に、教室が広いからって何か良いことがある訳でもないがな。


 さて、一体どんな生徒が待っているんだろうな。姫君とは聞いているが、めちゃくちゃメンチ切ってくる姫君とかだったらどうしよう。「私が認めた人しか真面目に授業受けませんわ!」みたいなタイプは一番やだ。めんどいから。


 すーはー、と深呼吸してからガラガラと意を決して扉を開ける。


「――――っ!!」


 しかし次の瞬間、俺の視界を埋めつく大量の焔。俺はそれを視認すると同時に、本能的に右手を振り上げて防御魔法を展開する。


「うおっ」


 手に伝わってくる衝撃に思わず声が漏れる。ふーん、ムラはあるが中々な威力じゃないか。


 ……しかしおかしい。ただの魔法使いの魔法ならば、何もしないでも勝手に霧散してくれるのだが、俺は先程、魔法を構築した。


 つまりは、少しは危機感を覚えたということである。


 となると、導き出される結論はただ一つ。


「神童、か………」


 キシニョフの姫君、メリウス・エイデリアン。魔法を制御出来ずに、うっかり国を滅ぼしかけた才能。


 俺の視界の先では、やけにプルプルと震えていて、ここらで見るのは珍しいエルフの少女がいた。


 しかし……これはなんというか……見るからに不安定だ。


 エルフの少女が纏っているオーラ的なやつを見ていたのだが、彼女の体に渦巻くように魔力が常に漂っており、常時魔法が発動出来るような状態となっていて、物凄く危険である。


 なるほどな。とりあえずの目処をたった。後は彼女がどのくらい制御出来ないかを調べれば大体の―――っ!


 今度は俺が一歩踏み出した瞬間に、水の魔法が発動する。


「だ、ダメっ!」


 彼女が慌てて声を上げる。どうやらこれは彼女が意図的にやったものでは無いらしい。


 ふむ……さっきは初見だったから防壁なんて展開してしまったが……ま、この程度だったらもう素手で弾き飛ばせるから別にいいな。


 ペチン、と向かってくる水魔法を虫をはたくかのようにしてあさっての方向に飛ばす。それを見てエルフの少女の目が見開かれる。


「……え?」


「初めまして、キシニョフの姫君」


 俺は呆然とするメリウスの目の前まで行き、跪いてから目線を合わせる。


「今日から君の担任になるティルファ・ディルソフだ。よろしくな」


「…………メリウス・エイデリアンです……」


 あ、呆然としながらも自己紹介返してくれた。



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さぁ、貴様らの罪(ウマ娘のガチャ結果)を教えな。ちなみに、作者は10回だけ引きました。今度こそマンハッタンカフェ実装くるまで石貯めます。アドマイヤベガでも可。

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