第10話
とりあえず、他国の勇者ということなので、死体は燃やすことはせずに凍結し、聖剣の方もマリナ様に預けて、今度はゼブリナ国へと持ち帰ってもらう。きっと、ご家族とかいると思うからな、遺体はきちんと帰しておくべきだろう。
そして、俺と姉さんは魔法を使って、悲惨な状況になってしまった広場を直す。そこら辺凸凹だらけだし、ヒビとかあるし、地面が禿げているところもあるから、きちんと直しておいた。
「ティルファ!」
「ティルファさん!」
「おー、アリス、ルーナ。無事だった――――うぐっ!」
「大丈夫!?怪我とかしてない!?」
「どこか見えない所とか怪我してますか!?」
うん、俺は怪我はしてないけど、君たちが抱きついてきたのが一番衝撃あったよ。勇者の攻撃は全部障壁でガードしてたから。
ぺたぺたぺたぺた触ってくる二人の頭を撫でながら、今後、どう動こうかなと頭の中で色々と考える。途中から姉さんも参加したからそれどころじゃなくなった。
せめて、あと一ヶ月くらいでその騒動を終わらせたいんだがな………。
「……ふむ、やられましたか」
場面は移り、またもやどこか残念臭がする闇商人、ウルゴスは自身の手駒であるエギルを失ったことに気づき、困ったように顎を擦る。
「……まずいですねあの街……いえ、もう国でしたか。氷の女帝含む神童が7人に、魔法三家に、エギルさえも倒す勇者……厄介ですね、本当に」
―――まぁ、ラプラスの悪魔さえいれば関係ないですけど。
そう呟くウルゴスは、ニヤリと笑い後ろを振り向く。相変わらず、ウルゴスの目には黒いオーラしか見えないが、そのオーラは徐々に強くなっているのが分かる。
「ラプラス様、供物の方は順調に取り込んでおられますか?」
『…………』
相変わらず、ウルゴスの問いに関して返事はないが、ウルゴスは、ラプラスが頷いてくれたかのように感じる。
「そうでございますか!役に立たないあの闇ギルドの死体は無事に、貴方様が取り込んで下さったのですね!」
先日、勇者が見つけた闇ギルド支部に積まれていた大量の死体の犯人。それはウルゴスがやった事で、ラプラスの悪魔をこの世界に顕在させるための生贄として殺し、養分にするためにしたのだ。
「この調子で行けば、貴方様との契約はもう少しで終わります。その際は、私の体をあなたに………」
『…………………』
恭しく頭を下げるウルゴス。頭をあげると、マントをバサァ!と大仰にはためかせ、キメ顔(仮面を被っている)で言った。
「もうすぐ……もうすぐで、あの勇者一家を殺せる……私の復讐が終わる…………」
「ねぇ、勇者様ぁ。まだつかないの?私、痛いのは好きだけど、この痛みは嫌いなのぉ~」
「黙れ。貴様の性癖などどうでもいい。黙っていろ」
「んんっ、相変わらず、勇者様の毒舌気持ちいい……」
チッ、とやはりレミーナの態度に気持ち悪いと思いつつ盛大に舌打ちをする&冷たい視線を浴びせるが、それすらもレミーナにとってはご褒美なので、さらにはぁはぁと息を荒らげる。
(……やっぱこの女、仲間に入れるの失敗だったかもしれんな)
はぁ、とレミーナにバレないようにため息を着く勇者、エリアス。しかし、体は一級品なので手放したくないのも事実。
(………これで性格も完璧なら言うこともなかったんだが)
「ねぇ勇者様ぁ。馬車の旅で腰痛いからマッサージしてぇ」
と、わざとエリアスに向かって四つん這いの状態で腰を振るレミーナ。
「………ふん、いいだろう。気持ちよすぎて泣きわめくなよ」
「大丈夫よ、私を誰だと―――あんっ」
と、何やらいやらしい雰囲気の声が馬車の中から聞こえ始める。他の客がいなかったからいいものの、他の奴らがいたら一体どうしていたのか。
「いやぁ、最近の若いもんは元気やなぁ」
と、現在勇者が乗っている馬車の御者をやっている人――――ティルファ達を乗せたことがある御者さんは、静かに耳栓を耳につけるのであった。
向かう先は、当然ディルクロッド。
かつて、最悪な別れ方をしたティルファ達とエリアスの早めの再会は近い。
「………無事、終わったようね」
「えぇ、さすがは僕の弟と言った所でしょうか」
メルジーナ邸、私室にてメルジーナに勇者を応援に行かせるようにメルジーナに会いに行っていたルドルフは、先程の戦闘をメルジーナの近くで見ていた。
「才能、実力、ともに申し分無し………あぁ、欲しい……あの二人が欲しいわぁ」
「ダメですよ。僕の可愛い弟と妹はたとえメルジーナ様にでも上げれませんから」
「もう、いげずね」
「なんとでも」
クイっ、とメガネを押し上げるルドルフ。
「……そういえば、ティルファはこの国で教師をやるのだったわね」
「えぇ、そうですね。この事件が解決するまではやらないと言ってはいましたが」
「どこを担当するとかも聞いてない?」
「えぇ、全く」
へぇ、と顎に手を当てて何かを考え始めたメルジーナ。
「ねぇ、ルドルフ。ティルファは、あのクラスを任せられるかしら」
「あのクラス………というと、もしやあのお方ですか?」
「えぇ、あの子の面倒をティルファに見させたいと思うのだけれど――――ルドルフから見てそれは可能?」
「そう、ですね………えぇ、問題ないですよ」
少し悩んだルドルフだったが、ティルファなら大丈夫という絶対の信頼の元、ルドルフは首を縦に振った。
「………所でメルジーナ様。どさくさに紛れて僕の方に近寄らないでください」
「あら、バレた?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
はちみーはちみーはっちみー、はちみつ硬め濃いめ多めで!なあとがきがはっじまっるよー。
今月に入ってくるカクヨムの報酬しだいで、作者がウマ娘に課金するかどうかが決まります。して欲しいならもっとPV数と星ください。
早くセイウンスカイ育成したい。実装はよ。そして新作の方も読んでください。これ出した時より伸びがイマイチです。一体これと何が違うんだ!書いてるの同じ作者ぞ!
『侵食魔界都市東恐』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます