第9話

 マリナ様の戦闘スタイルは、先程のシーンで大体お分かりだと思うが、超近接系である。


 女性だとは思えないパワーとスピードで、反撃する隙も見せずに、ただただ質と量で殴って斬って蹴って相手を圧倒する。


 ガキン!の金属音後に、ドッ!という打撃音が聞こえるのはそのせいである。


「相変わらず凄い戦い方をするな、マリナ様は」


 と、言いつつまるで針の穴を縫うかのように、魔法を発動させ、近くで戦っているマリナ様には絶対に当たらないように魔法を操作し、援護をしている。


 本来、魔法は相手が数人いた場合にぶっぱなすのが一番効率がいいんだがな、こうして、逆にこっちが人数が多ければ少しやりにくい。


 まぁ、関係ないけど。


「マリナ様!」


「了解!」


 俺が声をあげると、マリナ様は鍔迫り合いに一瞬なった後に、あの不審者を力で吹き飛ばす。そして、その間に俺は先程の魔法、上昇気流グラスウィンドを発生させる。やつの足元に風が少し吹いた瞬間に、吹き飛ばされるのを嫌った不審者が、全てを燃やす聖剣で魔法自体を燃やした。ほんと天敵………。


 だけど、その一瞬の間にこちらの勝利という形で決定をした。


「―――――グラム」


 聖剣グラム。一部では魔剣とも噂されるあまりにも歪で強力な聖剣。


 あの聖剣が、真名解放で、全てを燃やす能力が出てくるのなら、マリナ様のグラムは、怒りをあらゆるものに変える能力を持っている。


 だから、そのためにはまずマリナ様がある一定の怒りを感じておかないといけないのだが……。


「メルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさん…………」


「ヒッ!?」


 やや俺の後ろにいた姉さんがマリナ様の様子を見て悲鳴をあげる。うん分かる。俺は一回見た事あるからなんとか声を上げないですんだ。


 マリナ様……あの様子じゃ、メルジーナ様が他の人とイチャついてるのを想像したのか……はたまた、元々溜まっていたのか………。


 もしかしたらこのままメルジーナ様の所にオハナシをしに行かないよな?とか思っていたが、そういうことも無く、あの不審者にきちんと向かっていった。


 ガキン!とまたもや金属音が響くが、音の大きさが先程よりも尋常ではなく、更にはその衝撃の影響で衝撃波まで出てしまった。どれだけの怒りを込めているのだろうか………。


 しかし、このままだと周りまで壊してしまう勢いなので、今のうちに姉さんにアイコンタクト。マリナ様の様子に震えながら、姉さんはこくんと頷いてくれた。


「「神をも縛る鎖エルキドゥ!!」」


 あの時、俺が勇者のパーティーから追放(又は追放を狙った)時に、勇者にやった拘束魔法よりもさらに上位ランクに位置する、最も強力な拘束力を持つ魔法。


 昔あった神と邪神との戦争で、あの邪神すらしばらくの間縛り上げ、身動きすら取れなかったと言われている鎖。当然、そんなものが四肢に巻き付けば、たとえ勇者だろうとその動きを止めざるを得ない。


 ジャラララ!と音を出しながら天から、地から出てくる白色の鎖。まず最初に聖剣を持っている方の腕に巻き付くと、次々と鎖が巻きついていく。


「終わり」


 そして、そんな隙を見逃すはずがないマリナ様―――あれ?髪色変わってませんか?


 いつの間にか黒色の髪に変わっていたマリナ様が勢いよくグラム不審者へと切り付けると、不審者の鎧が綺麗に切り裂かれ、不審者は絶命。本当はもうちょっとショッキングな映像が流れているはずである。だって俺目を逸らしたもん。


「………ふぅ」


 と、マリナ様が全てを吐き出すかのように息を吐くと、先程までマリナ様をおおっていた闇のオーラが嘘のように消え、髪色もどんどん黒から白緑色の髪へ変わっていき、いつものマリナ様に戻っていった。その下では、あの不審者がどくどくと血を流していた。


「お疲れ様!」


 そして、笑顔でこちらに顔を向ける。はい、顔がかえり血まみれでなければ物凄い綺麗な笑顔だったんですけどね。











 戦闘も終わり、いよいよこの不審者勇者の正体を確かめようということになり。死体となった不審者勇者が被っていた頭装備を外すことに。


「………あら、この人……」


「知ってるんですか?」


「えぇ……と言っても、彼は10年前に行方不明という形で処理をされていたのだけれど………」


 この不審者勇者―――名前をエギルと言うらしいのだが、マリナ様と同じゼブリナ国の勇者らしい。


 とある一件から完璧に姿を消し、10年前に行方不明判定をされていたらしいのだが………ん?


「魔法の痕跡……いや、ちょっと違うか……」


 じーっと死体を見ていると、違和感を発見すると、魔法の痕跡を発見したのだが、いつも感じる魔法の気配ではなく、少し違う。


 こう………なんて言うか、魔法よりももっと邪悪なだ―――ん?


「そうか、悪魔…………」


 俺は、目を細めその死体を眺めるのであった。


 多分、またウルゴスの野郎だな……これは本当に、そろそろ消すしかないか……。


 最悪の場合、秘術を使うことも考えないとな………。





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物欲センサーに愛されすぎている作者のあとがきコーナーはっじまっるよー。


昨日のコメ欄にて、ハルウララをなかなかうまぴょいに連れて行けないというコメを見て、よっしゃ俺が手本見せてやるかーと思いつつ、育成したら、JBCスプリントで見事バクシンオーにやられました。ちくせう……。


そして、昨日は原神ガチャ更新!50回も引けばロサリア当たるだろーと思いながら、引いた結果………。


星五、タルタル(要らん)

星四、フィッシュル(既に完凸済み)二人、バーバラ(今回で完凸)三人、武器。


いや、まじではぁ?ですよ。こんな見事にすり抜け有り得ます?


これで、読者の皆のガチャ結果が良かったら本当に前に出たジンクス的なのが本物って分かりますな。


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