第303話 想い出の中には戻れない


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ふわ・ふわ 306






タマちゃんがひとりで歌ったその曲は

ちょっとだけ、音楽好きの間で評判になって...


タマちゃんは、そのコトを気にとめるフウでもなく、


でも、いまでも思うのです。


想い出を歌にしてしまったけれど、もう、想い出の中には戻れない。

あの歌を歌っているあいだだけ、ほんのすこしだけ、まぼろしのように

あの頃の記憶がよみがえるような、そんなキモチになれるなら....

あの曲を歌っているコトは、シアワセ、と言えるのかな..



そんなフウに、ギターを抱えながら彼は思うのです。


ユウちゃんは、トモちゃんは、シアワセにしてくれているだろうか、

この歌を、どこかで聞いてくれているだろうか...?


そう思いながら、旅くらしのタマちゃんは、今でも夢のなかで...

あの頃のコトを想う、のです......。



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