第112話 守護神
移住の人たちも落ち着いてきた、ある日。
俺はジョウサイ、南にある、霊山ヅチの社にきていた。
「ムナシゲ、此処に何があるんだ?」
「はい、此処は霊山として名高く、神がおられると言われております。
今日、この日は年に一度、神への入口が開くと言われておりまして。
アベルさまがヨイを統治することを報告していただきたく思います。」
「わかった、とはいえ、何をすればいいんだ?」
「社にてお祈りを捧げてください、そうすれば神の祝福を受けれるとの事です。」
俺はムナシゲに言われるまま祈りを捧げる。
すると一人の女性が現れる。
「サチの息子、アベル、よく来ましたね。
私はオウカの守護神、アマテラス」
「あなたさまが神さま?」
「そうですね、そう呼ばれております。」
「これは失礼しました。」
俺は頭を下げる。
「いいのです、あなたの事は見ていました。サチ共々苦労をさせてしまいました。」
「・・・母は亡くなったのですか?」
「いえ、サチは死んではいません、ただ死んでいると言ってもいい状態かもしれません。」
「どういう事ですか!」
「サチは魔界との境界を塞ぐ為に自らを媒介とした封印を行いました。」
「何故そんなことに?」
「オウカを出たあと、サチは勇者と合流して魔族と戦っておりました。
そんな中、勇者と結ばれ、あなたを身籠った事で戦いから離れていたのですが、
サチと別行動していた勇者が魔界で敗北、
魔族が世界に溢れる前に、サチはあなたを出産、魔界の入口に単身乗り込み防いでいたのですが、流石に多勢に無勢、突破される前に自分を媒介とした封印魔道具で入口の時を止めたのです。」
「じゃあ、まだ死んではいないのですね?」
「ええ、しかし、封印しているうちは動けませんし、封印を解くと魔族が溢れ出てきます。」
「アマテラス様の力でなんとかならないのですか?」
「私が世界に直接、力を行使することは出来ない決まりなのです。」
「それでは何故私に教えてくれるのですか?」
「あなたがサチの子供だからです。
サチは私が別の世界から、この世界に連れてきた魂なのです。
彼女をこんな運命にするために連れてきた訳じゃないのに・・・
どうか、サチを救いだしてくれませんか?」
アマテラスの目からは涙が出ていた。
「わかりました。俺は母を助けたいと思います。
母は今どこに?」
「それはユグドラシル国の・・・」
「姉さん、話しすぎだ!」
男がいきなり現れる。
「ツクヨミ!」
「干渉しすぎだ、思い入れがあるのはわかるが、理に反している。」
「でも、せめて・・・」
「だめだ!姉さんが罪を問われる事になる!」
ツクヨミが呪文を口ずさむと世界は元に戻る。
「あっ、アベル、あなたに私の加護があるように・・・」
最後にアマテラスの声が聞こえていた。
「アベルさま、どうなされました?」
ムナシゲは放心している俺を心配そうに見ていた。
「ムナシゲ、アマテラスという神に会った・・・」
「おお、そのかたが我がオウカの守護神にございます。
おめでとうございます。」
ムナシゲは嬉しそうに祝辞をのべる。
「・・・母が生きていると言われた。」
「な、なんと!」
「魔族を止める為に身を犠牲にして時を止めているが、まだ生きているそうだ。」
「サチさまは何処に?」
「ユグドラシルの何処かだと、それ以上の情報はアマテラスさまも言えないようだった、他の神に止められてた。」
「つまり我らの力で見つけ出しお助けしろと。」
「そうなるな、ただ、相手は魔族の大軍だ、こちらも準備がいるし、ユグドラシルの何処かも調べなければならない。」
「それでも!」
「ああ、絶対に助けるぞ!」
俺とムナシゲは急ぎイマハルに戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます