第777話「弟子の常識は非常識!?」
僕は精霊の常識と冒険者の常識に温度差があるのでそれを聞いてみた……
「………でもパイロオーガ爆発情報は金級冒険者では常識ですって聞きましたよ?」
「ん?……ああ……今度は俺たちか?俺達がパイロオーガを爆発させる方法は、四方から同時に水魔法を撃つ他ない。水魔法はパイロ系の弱点でもあるからな………。運良くと言うか悪くと言うか……同時に当たった場合、爆発するんだよ。まさかそれを一人でやるとは思わなかったからな?俺はあの魔法見た瞬間青褪めたぜ?」
アスマは冒険者のパイロ系魔物の倒した方の手解きをする……
当然エクシアも興味を持った様で余計な口出しはしなかったが、既に常識となっているホプキンスにして見れば違う様だ。
顔を若干引き攣らせながら話し出す……
「ああ、アスマの言う通りだ。あの魔法はビビった。デケェもデケェ………連隊魔法やユニゾンスペルだと思ったくらいだ。精霊のことは知ってたから、てっきり精霊と同時に撃ったんだと思ったが……まさかの単独かよ?化け物はお前だぜ?あの龍種よりな?」
「ホプキンス……言い過ぎだぞ?………一応我々の救い主でもあるからな?あの状態であの魔法がなければ、間違いなく誰かは再起不能だったはずだしな……」
自ら墓穴を掘った感じになったが、どうやらアスマ達も同じ意見だった様だ。
そもそも水精霊の絡みで、魔法は僕ではなく精霊由来の物と勘違いされていた様だ。
余計な事を自爆したせいで周囲の目が痛い。
唯一胸を張っているのはシャインとミミくらいだ。
「ワテクシだって撃てますよ?ホラ!『ウォータースフィアーーーー!!』もういっちょー『ウォータースフィアーーーー!!』」
「やめろーーーーまじでーーー!螺旋階段が崩れんだろうが!!バカミミがぁぁぁぁ!……」
ミミは此処ぞとばかりに巨大なウォータースフィアを連発した……
威力こそ僕には及ばないが、部屋を破壊するには申し分ない威力があった。
エクシアの大激怒でミミの暴走魔法は停止した。
そのお陰もあって、螺旋階段の部屋が崩壊することは無かった……だがあのまま続ければ、間違い無く壊れた螺旋階段が上から降ってきただろう……
『ウンディーネ………世も末ですね……この世界は今崩壊に進んでいるのですか?』
『フランム……残念ながら、あの子はこのヒロのお弟子さんなのよ……』
『弟子を持ってはいけない人種1位の者が弟子を!?………っていうか……あの娘………水精霊を連れている様に思うのですが………。まさか精霊使いにもなっているのですか?あの御弟子さんは………はわわわわ………これでは火の精霊の威厳が………今すぐ信者の拡大をせねば!!』
精霊事情を知り慌てふためくフランムだったが、皆哀れなものを見る目になった……
そこでシャインが優しくフランムに接した……当然原因が僕とミミにあるからだ。
「大丈夫ですよ?純粋に精霊を扱えるのは、まだ極小数ですから……水精霊はミミさん、森精霊はローリィさんとエイミィさん。そして私の主人が各種精霊を扱えるだけですから」
その言葉でフランムはガッシリとシャインの腕を掴む……
『ならば!貴方が私と契約すれば………精霊枠で負けない!?是非今すぐ契約を………と言うか……しちゃいます………』
「え…………えぇぇぇぇ!?………ちょ………嘘でしょう?………えええええ………」
『汝に焔の幸があらん事を!!我が名は炎の双姫フランムなり!我に契約の名を!!』
「え………?」
『さん、ハイ!!』
「ワテクシは………ミミでございます!!」
「「え!?」」
『我、精霊の長たる精霊王なり……。炎の双姫フランム……其方の願いを聞き届ける。ミミの親愛なる友人として、長き月日を共に歩事を願う。両者に精霊の加護があらん事を!』
ミミのお茶目な一撃で、フランムの願いが聞き届けられる………
そして膝から崩れ落ちるフランムとシャイン……
「フランムちゃん!これからも宜しくなのですよ!ワテクシ師匠と同じ位強くなりますから!絶対大丈夫なのです!」
「ちょっと!!ミミ………なに紛れてんのよ?………って言うか……収拾どうするのよコレ!!」
愕然とするシャイン……
そして唖然とするフランム……
カーデルに首を絞められるミミ……
「え?あーちゃんとマモちゃんに『今だ行け!』って言われたので………あれー?駄目でしたー?」
それを聞いて大笑いをするマモン。
そして『ヤベェ……マジでヤベェ……』と言う顔になっているアーチは、今にもこの場から逃げ出しそうだ。
この危険なダンジョンで螺旋階段を使えばほぼ1日かかる難所を、アーチはどこへ逃げる気なのだろうか?とみていたが、ミサとカナミに両腕をガッチリ掴まれ……アーチは無理くり引き摺って連れて来られる………
「待ってください!悪気はないんですー!悪戯する気だったんですー!まさかオッケー出すとは思わなかったんですー!精霊王って馬鹿なんですか?ねぇ!ねぇ!」
「すいません……ウチの子が重ね重ね……更に暴言まで言ってしまい……ホラ謝りなさい!あーちゃん!!メよ?悪いのはメ!」
「よく注意しておきますので……いやはや………。雛美の言う通り、これは流石に謝った方が良いよ?あーちゃん……」
つい素に戻ったのか、カナミを雛美と言うミサ……
マックスヴェルは雛美と言う言葉で目を光らせるが、ソーラーがその肩をガッシリと掴んで離さない。
「いや……だって……まさか………アレで許可されるとか思わないじゃん?あれだけシャインさんって言ってたのに……答えたのミミちゃんだよ?『じゃあワテクシー』って言ったらオッケーなんて………ああ………うううう……御免なさい………」
謝りを入れる三人に対して、意外にもフランムは……
「…………まぁ契約成立したことは仕方がないですね!精霊契約ができる力量範囲内にミミさんが居たってことですから。でもアレで許可が降りたって事は………ミミさんはお師匠様と同じ様に、多数精霊を持てる素質があるって事ですね。お弟子さんの名は伊達では無いって事です!不束者ですが、これからよろしくお願い致します。是非炎の精霊を有名にしてくださいね?ミミさん!」
非常に切り替えの早いフランムには皆びっくりする事しかできなかった。
だが、それに難なくついて行くミミは優秀だった……
「ハイです!よろしくですよぉ〜!今はミミ成長期なのでどんどん強くなりますから!身長も大きくなって綺麗なオネェさん目指してます!大人になったあかつきの私の美貌と精霊神話盛り盛りで、火の精霊と水の精霊の信仰バンバン集めちゃいます!うっひー!」
「ミミ!?うっひーじゃ無いわよ!!シャインさんの事どうするのよ!!その責任は?」
カーデルがミミの首を腕で絞めながら項垂れるシャインを見せて、ガクガクと揺さぶる……
ちなみにミミは、もう少しで三途の川が見えそうな顔をしている……
そんなミミの頭を鷲掴みにするエクシア……『オイ?ミミちゃんや?お勝手が過ぎますぞ?』とドスが効いた低い声を出してお小言を耳の側で言う。
するとミミは目を見開いて………
「え?エクシアの大親分!!お師匠様の中にいるフランメさんが居るじゃねぇですかい?マモちゃん言ってましたよ?奥さんなんだから、アレを引き取れば良いんじゃねぇか?って……」
「はぁ?……コレはマモンの入れ知恵か!!100回しばく!!」
エクシアがしばく宣言をすると、目線が一瞬にしてマモンへ集まった。
そこには既に、正座でユイナにお叱りを受けるマモンがいた……
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