第597話「ついに獲得!薬師のスキル!」


 しかしポーションを100個仕上げた時点で僕の身体に変化が出た。


 ビックリした事に『薬師』のスキルを手に入れたのだ……どうやら僕には薬師適性があった様だ。



 しかし驚いた事に『錬金術』で『薬草』を擦り潰し作成してても『薬師のスキル』は手に入るようだ。


 僕は嬉しくなって、残りの瓶の数である99本も仕上げた。


 すると格段に作成スピードが上がっていた。


 薬師のスキルのおかげか、作成にかかるスピードは段違いに早くなった。


 そして他にも気がついたのは、手元が見えていると『失敗をしない』という点だ。


 これは反復練習の賜物もあるが、その理由の多くは錬金のレベルに関係しているのだろうか?……謎だ……



 しかしポーション作成だけでMPを4975も使ったので、MP回復薬は100本も飲んだ事になる。


 その空き瓶は落とさない様に、木箱を借りたので見た感じその本数は、増える事はあっても減る事はなく大凡間違い無いだろう。



 ちなみに部位再生のポーションも作ったので、空き瓶は100よりもっと多いが……


 ギルマスは昨日のMP回復薬があるのに追加でMP回復薬を100本も僕にくれた……僕のMP最大値を知らないので気を使った様だ。


 話を聞くと、デーガン含めて複数の職員で街の薬師を周り、かき集めて来たそうだ。



 ちなみに3商団もギルドに戻って来ていた様で、薬瓶の本体と蓋の対の状態で納品してくれた。


 蓋はご丁寧に3商団で色違いだ。


 数は519対……一番多いのはマッコリーニで219対、次がフラッペの200対でハリスコは100対だった。



 ハリスコはギルドの商店に卸しているそうで、在庫をちょっと前に納品してしまったそうだ。


 結局買ったのは僕だが……



 ビックリする事にこれもまた、彼等は張り合い薬師のところを駆け回った様だ。



 休憩時に瓶を受け取ったのだが、彼等3商団がオルトスの素材の血液の噂を聞きつけ欲しがったので、ギルマスになんとか少しでも分けて欲しいと言うと、『アレはそもそもお前と奥さんの物だ』と言われた。



 ギルドはオルトスの解体するかわりに、各部位を少しばかり手数料で欲しいだけだと言った。


 僕はお金を払っていないので、後程手数料として部位払いをお願いする予定だったとギルマスは言う。



 僕は休憩中もあり、ゼフィランサスに素材の事を聞きに行ったが、当然素材になど興味はなかった。


 彼女には代わりに串肉を買ってくれとせがまれた。



 『人間のお金がないからせがむしか無い』と言っていたが、オルトスの部位でどれだけ食べれるか説明しようとしたが、彼女は聞く耳など持っていなかった。


 僕は店にある串肉全部を買い、ゼフィランサスに渡すと娘と一緒に仲良く食べていた。


 ちなみに費用はかかっていない……ミサがちゃっかりギルドの肉倉庫に、ゼフィランサス達用には使わない筋の入った部位のオルトスの肉を小分けして入れていたのだ。


 捨てるには忍びなく、ゼフィランサスに使うには不相応だと思ったそうだ。


 ならば、どうせ今無料で食べさせているんだから、ギルドで提供すれば良いと言う話にユイナとなった様で、肉倉庫にしまったそうだ。



 ゼフィランサスにもちゃんと聞きに行ったらしく、彼女は『とにかく美味しい部分を調理して欲しい』と言ったので、スジ肉は処分で良いかと聞いたら『娘に相応しく無い部分だったら要らない』と言った様だ。


 翌日それをギルド売店の女将が見つけて、どうしようか困っていたと言う。



 昨日は本当に忙しかったのでお互い女将へ言うのを忘れてしまい、ギルド売店の女将がアタフタする事になったと言うわけだ。



 オルトスの素材についてバラスに話をしに行った時に『アーマーセンティピードの遺骸』の事を思い出して、それを更に解体依頼へ出した。



 3商団は更なる素材に狂喜乱舞して引き取りを願い出たので、ツケにして素材を渡す事でケリがついた。


 代わりに魔導書を、手当たり次第に買って来てもらう様に言った。


 横の繋がりで、買った魔導書が被らない様にお願いしておくのも忘れない。



 初級でも良いが珍しい物が欲しい、そして種類は絶対的に多い方がいいし、僕が読めなくても構わない……知り合いに読んでもらうつもりだ……


 そう言っておいたので、運良く『錬金の書』が混じっている事を祈るしか無い。


 魔導書を欲しがる理由として、僕はちゃんとした魔法を知らないのだ。


 折角フレディ爺さんがいるのだから、これを機に勉強をしようと思ったからだ。



 ちなみに3商団は、武芸を嗜む貴族用にアーマーセンティピードの素材を使い、鎧をこさえると言う。


 オルトスの装備は貴族では装備レベル的に使えないだろうが、アーマーセンティピードの甲殻鎧ならば、問題なく使えると大喜びだった。



 瓶の代金は合計で、金貨5枚と銀貨1枚に銅貨90枚だったので、完全に彼等の支払い部分が多くなる。


 解体終了後に金額が出たら連絡するとバラスに言われたので、引き取りと販売も全部バラスに任せる事にした。



 ちなみにオルトスの装備について皆に質問したら、僕は装備できるレベルだった……いつか自分用に作っても良いかもしれない。


 そんな事があったが、ポーション類が制作途中だった為、すぐにギルマスに呼び戻され薬品作りに戻った。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 僕がギルマスに渡す予定のポーションを作っている最中は、ギルマス達は僕の飲んだ魔力回復薬の瓶を洗っては、受付嬢に乾燥を頼んでいた。



 そして乾燥が終わると、ギルマスはその瓶にボトルキャップを使いポーションの仕分けをする。


 1秒でも無駄にしない為に、職員が多く手伝い1階の小部屋横の会議室(中)を使って仕分けをし始めた。



 そして流作業で出来上がった物はすぐに『マジックバッグ』へしまう。


 不必要に時間経過をさせない為だ。



 200人分の20本を作り終えた時に仕分けまで手伝わされるのでは?と僕は思ったのだが、流石にその人使いの荒さは無かったようだ。


 仕事が終わったので小部屋から出ると、すぐ近くに『開封部屋』があることを思い出した。



 僕は今まで忙しかったので完全に忘れていたが、以前ダンジョンで見つけてマジックグローブにしまっていた宝箱を数箱ほど思い出す……


 まず王都周辺で手に入れた『階層主の特殊宝箱』S箱の2箱だ……これは転送系の罠がかかっていたので、自分一人ではどうにもならなかった物だ。


 そしてフレディ爺さんと一緒に潜った、穢れノームの迷宮鉱山の宝箱4箱だ。


 宝箱3箱は未踏域にて発見し、ランクAの階層主の褒賞はフレディ爺さんが倒した魔物から得た物だ。


 フレディさんが僕にくれた物だが、あの様子からすると今となっては宝にもう興味がないのかもしれない。


 僕は受付で使用許可を取ってから、宝箱6箱を開封に向かう。



 しかし……



「おい!ヒロ男爵!ちょっと良いか?」


 そう言われて呼び止められた方をみるとギルマスにサブマスそして受付嬢が数名居た。


 またお礼を?と思うと、会議室に呼ばれる……



「すまんが少し話を……受付達がしでかしたのでは』と思って確認をしたのだが……どう言うわけか部位再生のポーションの『量』がな……それで何でこうなっているのか聞きたいのだ……」


 そう言われて机を見ると、液体が少しだけ瓶に残っている。


 簡易鑑定で見た結果全部が再生ポーションである事は間違いはない……


 僕は量を測り損ねたのでは?と自分の潔白だけは信じていたい気になる……


 自分自身の『錬金術』だが何故こうなったのか理由など分からない……原因はこの錬金術自体の説明書など無いのだ。


 僕は自身のステータスを鑑定して確認する……当然モノクルで誤魔化しつつだ。



 すると『錬金術LV 7⇧up(5⇨7)』と出た……きっとコレのせいだろう……


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