第485話「魔法のテントは寝心地抜群?」
綺麗な女性がひたすらウルフ肉を咀嚼をし続いている……相当この料理が好きなのだろう……
ちなみにその人とはギルド職員のミオだ……
話すのか食べるのかハッキリした方がいいが、原因は僕だから文句など言えない……
「むぐ……むぐ……ヒロさんが来ないから、エクシアさんの所にメイフィをやったら『視察』に行ったって……はむはむ……グビグビ……はむはむ……ごめん……イーザお願い説明して?ユイナさんの手料理なんて街では食べれないから!!」
「はむはむ……ミオがそうしている時にギルマス宛に『伝書鳩』が届いて、モグモグ………内容を伝えたら『今すぐ確認に行かないとならない』となったんです……はむはむ……だからミオと私が『外で』講習会をする事になって……ザムド伯爵様からの指示ですけどね」
「はぐはぐ………僕がエクシアさんの話を聞いてた時に、ギルドで『副村長』の話を偶然聞いてそれが僕の故郷の副村長と分かったので、ヒロさんが村に居るならって事で、一緒に向かう事になったんです……グビグビ……」
3人とも食べるのに忙しくて話す口より、フォークが口へ動く方が早い。
「要は不正確認と、遠方での僕の視察に合わせて『出張講習会』となったと……言うわけですね?ゼロスさんはエクシアさんが口を滑らせたので合流してくる事になったと?」
3人が説明しながら夕食を食べているが、ペドロさんは家族団欒をしたい様で僕へお礼を言った後一礼して、別の机で家族で食事をしている。
家族は二度目の夕飯だが、久々の家族での食事の様で箸が進んでいる様だ……使っているのはフォークだが……
僕はギルマスに副村長の件を説明をしようとした……
だが、イスクーバとマークラが『自分達から説明をする』と言って僕の真横で一部始終を話している。
ギルマスはヤクタ男爵が関わっている案件なので、すごく複雑な顔だ。
たしかに今は親が違くても彼の息子が不正を暴いているのだ……なんとも言い難い状況なのはすぐにわかる。
因みに精霊様とワタを紡ぐのが楽しい精霊崇拝者の村人と、精霊崇拝者である村人の視線を一身に浴びる風っ子の利害は一致しているようで、下級精霊も加わりかわるがわる風力糸車を回し続ける。
因みに今はピンクの綿毛が糸になり、その糸の色でフラッペが他2商団を牽制中だ。
さっきまではハリスコが灰色の綿毛を凝視して、マッコリーニとフラッペに買取独占の直談判していた。
森の精霊も大人気で『祭壇アイテム』が無いのに村人相手に頑張っている様だ。
今は村長も含めて、畑の造り方や肥料など相談に乗っている。
畑が無事成功したら、ジャガイモの種芋を此処で育てるのもアリかもしれない……
「ふあぁぁぁ!食べ過ぎた!ねぇ?あのテント滅茶苦茶魔力を感じるんだけど?入ってもいい?」
そう言って満腹になったルモーラはテントに『フヨフヨ』と飛んでいく……腹が重く飛ぶのも大変そうだが自業自得だろう。
フェアリーと仲良くなった子供たちは一緒にテントに行く様だ。
子供たちの薄汚れた洋服は穴だらけだったのに、今は花形の布で穴が縫ってある。
どうやらそれはカナミやミク達のアイデアだろう。
この世界には、穴を空いた場所を新しい布を『可愛い形に切って塞ぐ』農民はそうは居ないので誰の発案かはすぐに分かる。
僕が仲良くテントに向かう子供達を見ていると、ギルマスのテカーリンに話かけられた。
「ヒロ男爵様、ひとまず薔薇村での事件の全貌は聞きました。鉱山への出兵を命じたのはヤクタ男爵でしたが、その後村人を人身売買組織へ売った預かり証と、次回の受け渡し人数を書いたメモが見つかったそうです」
「まだこの取引を副村長はする気だったのですか?もう殆ど村民が居ないじゃないですか!!何がしたいのやら……性根が腐ってますね!!」
僕はイスクーバからそのメモを受け取って確認すると、ビックリした事に今度の受け渡しは『例の子供達』だった。
親と引き離した後、体力的に限界を迎えた彼らを引き渡す気だったのだ。
満足に食事もしていない子供だったら逃げられないと思った様で、その企みまでメモが残されていた。
メモを見る限り副村長の目指す位置は『村長』などでは無く、この村を『廃村』にするつもりだった様だ。
あの副村長にそれを仕組んだとは思えない……どう見てもバックに誰かがいるだろう。
「仰る通りです……犯人は残念ながら『ジェムズマイン』を取引場所にしているので、それはザムド伯爵様とウィンディア新領主様に伝書鳩で連絡しますのでご安心ください。全員を捉えて必ず村民の行方の捜索をします」
「大変だと思いますけど頑張ってください。この村の家族の命なので行方不明では済みませんから」
「大丈夫です。ヒロ男爵様が関わって大変な事になるより、我々が解決した方が被害が少ないので……『色々と』……ここから先の路程には『ミオとイーザ』を同伴させますので銀級講習は彼女等から学んで下さい……ちなみに次の予定の村は?」
ジェムズマインから出て、わずかな時間でこの問題を暴露したことは評価に値するのでは?と思ったが……ジェムズマインのギルドマスターは毎日大変だそうだ。
今日の予定は『スライムが繁殖した貯水池』の清掃だったそうなのだが、予定を変更した上で『急募!!求む・貯水池スライム清掃『報酬・金貨1枚(6名グループ急募・各金貨一枚)』の緊急依頼を出したそうだ。
当然魔石(小)の買取も入るので、これを受けた冒険者はなかなかの収入になるだろう。
踏み潰し、切り裂くだけだから銅級資格を持った戦士系冒険者であれば危険も少ない。
明日からの移動講習会を確約させられたので避けられないし、銀級の避けられない約束事なので観念する他はない。
寧ろ此方の都合に合わせて、職員派遣をしてくれたギルマスには感謝をするべきだろう。
ちなみに明日は余剰経験値でレベルを上げてから行きたいのと、隣村まで1時間と言う距離なので急ぐ必要もないと思っている。
だからジェムズマインから出るより遅めだ。
「ミミさんの故郷である『水鏡村』にいく予定ですが、出発は土の10刻の予定です。話ではそんな離れた位置でもないですからね?」
「確かにそうですね!ミミさん、この村から近道はありますか?」
「森を通れば近いですが、馬車を置くと意味がないのでしゅ!結局帰る時森を抜けて時間がかかるので!」
僕は成程……と思った。
森を抜ける手はあるが、結局帰りは『馬車』だ……また森を抜けると時間しかかからない。
それも距離を聞いてみると、10分程度しか変わらないそうだ。
徒歩と馬車では遥かにスピードが違うが、森の中の危険性を考えれば余り意味があるとは思えない。
そこは傾斜がある通路らしいので、ウッカリ滑落したらもっと時間がかかるだろう。
「確かにミミさんの説明では、そこの道を通る意味があるとは思えませんね……僕達は馬車移動しているので結局回収に時間かかりますしね?」
「では申し訳ないですが我々も同行をさせて頂きます。街を出る前に馬車の事をエクシアに聞いたらまだ人数的に入れそうなので……」
そのあと必要な情報交換をしたが、名前付きホブゴブリンの件は『秘密情報』扱いになった様であ明日の移動で……となった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「何ですか!?このテントは!?」
「きゃーー!お風呂が!このテントはお風呂がありますよ?」
「す……凄いな?何だこれは?もはやヒロ男爵様は………常識では考えられない生活をしている……としか思えんですぞ?」
イーザは『ポカーン』と口を開けたまま静止してしまい、ミオはお風呂へ突撃する。
ギルマスを空いている部屋へ通すと『こんなところに泊まれません!そこの雑魚寝組でいいです!!』と言ってクッションを一個抱えて座り出す。
まぁ無理強いするわけにもいかないので『気が変わったら言ってください』とだけ言っておいた……
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