第453話「銀級冒険者への昇格」
「ギルドマスター!私達が説明します!害虫『ダークフェアリー』の一部始終を!!」
ミオの圧力にメイフィとイーザのタジタジだったが、ギルマスは早速ミオを伴って『ギルマスの執務室』で報告を受けた。
ミオの説明の後に、ギルドマスターがギルドのドアを勢いよく開けると……
「全冒険者注目!!クソ虫『ダークフェアリー』退治のクエストを『冒険者ギルド』で受け持つ!報酬は金貨250枚だ!!見つけ次第、害虫ダークフェアリーを八つ裂きにして死体を持ってこい!!以上だ!!」
ギルドマスターが怒り狂うのも仕方がない……
300年もの間、命をかけてダンジョンの深化を防いでいた英雄の事を聞けば、誰だってそれをした魔物に対して怒りをぶつけるのは仕方のない事だ。
それも『異世界の住民が、この世界の人間のために働いていた』と、聞かされれば仇を打つ決心をしてもおかしくは無かった。
ミオとメイフィ、それにイーザはすぐに受付に降りると、報酬の良さに群れて集まる冒険者へ事情の説明をする。
説明を聞いた冒険者は、金に釣られた自分を恥じて……
「お前ら何が何でも『ダークフェアリー』を始末するぞ!この街の脅威を人知れず救っていた、異世界の英雄の墓前に!!八つ裂きにしたダークフェアリーを持っていくぞ!!見かけたらすぐに連絡を!逃さない為にも、連絡を密にしろ!!」
「「「「「おおお!!!」」」」」
この日を境に『ダークフェアリー』の存在が、ジェムズマインの街営ギルドを通じて全世界に明らかになり、命をかけて世界を救っていた英雄『ハセガワ』の名前が知れ渡る事になる。
ハセガワが異世界の流れという事は『銀級冒険者』以上の秘匿情報になっているが、冒険者にとって英雄である事には変わりは無かった。
僕は、ギルドマスターとサブマスター、そして職員3人の推薦もあり即日『銀級冒険者』への昇格が決定された。
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『冒険者証』
階級 銀級 3位 ギルド:街営冒険者
所属ギルド 『ファイアフォックス』
ギルドマスター
『エクシア・フレンジャー・フレイム』
名前 ヒロ『爵位・男爵』 種族 人間
クラス 『未設定』 『未設定』
発行 ジェムズマイン 担当員 ミオ
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「これで今日から『銀級冒険者』です。明日と明後日はギルドで『銀級冒険者用の勉強会』を行います。銅級の時と同じですが、今回は身の安全を考慮して、ギルドマスターのアイデアから推薦を持って昇格としました。此方が銀級の冒険者証になります」
ミオはギルドの受付に戻った事で、仕事モードになった様だ……今までの残念なミオとは全く異なる頼りになる受付嬢だ。
銀級に上がったからと言って、危険をどうこう出来る訳では無い。
昇格ボーナス的なステータス変化がある訳で無く、冒険者の質が他よりは高いと言う証明だけなのだから地力を付けるしかない。
「気を遣ってもらい有難う御座います!銀級冒険者になった事で今すぐできる『何か』はありますか?」
「何か………ですか?そうですね……ギルドの施設では無いですが『銀級冒険者』の依頼武器の製造を受け付ける『工房』が街にありますよ?装備が整ってこその冒険者ですからね……?でもヒロさん達既に今回の遠征でかなり『宝箱』を手に入れてますからね?製造は如何なのか……」
「良いと思うぞ?部位が足らない事も多いからな?必要な用途で『装備を変える』のは冒険者として当たり前のことだ」
そう言ってきたのはテイラー男爵だった。
「宝箱の獲得品で足らない部位を『製作』して、場合によっては装備ランクが低くても相手の特殊効果を防ぐ為に装備をする……のはヒロ男爵はこれから必要になる筈だ。シャインに聞いたよ……一部始終を……私も協力するぞ!ヒロ!!」
「テイラーさん!有難う御座います!ひとまずミオさんの言葉で思い出した宝の配分をしないとですね!!それから製造をしようと思います」
僕はギルドマスターの承諾を得た後、ギルド内の机を占拠する。
当然山程の宝箱を並べないとならないのだから、場所が少しでも必要だ。
「シャインさん、また祝福をかなりかけて回ってもらう事になると思います……ファイアフォックスのメンバーで祝福をかけることができる人は集まって欲しい!」
僕がそういうと、周りの銀級冒険者や銅級冒険者も気になり集まり始める……
「私『祝福』できますが手伝いましょうか?多分宝箱ですよね?S+ギルドのファイアフォックスが持ち帰る宝に興味ありますし!」
「俺も出来るぞ?『祝福』なら?プレームの言うように俺も『宝箱』気になるし!協力するよ!」
2組の冒険者は仲が良いようで、その言葉をきっかけにゾロゾロと『祝福出来ます!』と言って手を挙げて集まって来る。
「流石ヒロだな?人の扱いが上手い!こんな場所でやれば間違い無く『祝福持ち』が気になるもんな?やぁ………悪どい手法だ!」
「失礼ですね!そんな事思ってませんでしたよ!ファイアフォックスでも祝福使える人多いから、お願いしようとしただけですよ!」
僕は笑いながらエクシアにそう言って、机の上に『階層主からの褒賞』が9個と『ガーディアンの財宝』が5個を並べる。
これは5階層の階層主戦で手に入れた宝だ。
「『階層主からの褒賞』が9個は銀級試験の手助けをしたメンバーで『ガーディアンの財宝』が5個今回試験を受けた5名分です……」
周りからざわめきが起きる……
「マジかよ?あの数の宝箱俺初めて見るぞ!?」
「これだけあれば確かに『祝福』使えるやつ集める訳だよ……ひーふーみー………14箱?マジかよ!」
「うそ?一人一箱見てるって事はまさか……『一人一箱』なの!?こんな凄いんだ……S+ギルドって……」
「パーティー数多くして挑むとこうなるんだ……今度うちもやるか!」
「馬鹿だなお前!?それだけ敵が多いんだぜ?2グループで入れば敵も増えるんだぞ!?1部隊を2グループで討伐して連戦で4箱だ!多くなるけど宝箱が追い付く筈ないんだよ!何処かのグループは1人で戦っている計算だぞ?」
数の計算が得意なのか、近くの全員が僕を見る……
「おい!お前頭いいな?このヒロが一人で蹂躙するんだよ!だから全員一箱貰えるんだ!さらに今回は『トラブルで増えた』からね!まぁ一人一箱ってのは運が良かったんだよ!」
エクシアの余計な説明で、羨望の眼差しが向けられる。
僕の横には冒険者憧れの『希望の盾』ギルドのテイラー男爵と大人気回復師のシャインが居る。
何故か『羨望のバフ』がガンガン僕に積み上がる……しかし一人で戦った……もとい『逃げた』のはミミだ!僕ではない!
何故一人だったのかなど、理由は言えないが……
「わ………罠はもうギルド職員さんが外しているので、各自開封したら『祝福』をかけて貰ってください!」
「アッタシこれーー!シャイン!シャイン!祝福はよ!祝福はよ!はよ!」
誰よりも早くエクシアが飛びつく。
「ミミ?まさかアンタも一箱貰えるとか言わないですよね?」
同じギルドのルーナがミミに詰め寄る……
「ワテクシは………断ったのですが……エクシアお姉様が『お前は何が何でも貰ってもらう!!』って………」
「そうだぞ?ミミが居たからこれゲットできたんだ!逃げる前提で彼女は居て貰った!ヒロが居れば蹂躙は容易いからな?」
「エクシアお姉様なら私も行きたかったです!!」
「お前は逃げないで頑張るだろう?それじゃダメなんだよ!魔物の数を狩る場合、ごく稀に『逃げる奴』も必要なんだ。おい周りの奴ら欲に駆られて真似すんなよ?お前達なら死ぬぞ?ヒロが居て成り立つ戦法だからな?アタイ達だけだったら間違いなく『死亡』だ!」
余計な事を言うエクシアのおかげで『羨望のバフ』はマックスで、めっちゃ近くの冒険者に言い寄られる……シャインは華麗に女性冒険者をブロックしてくれるので助かるが、男性冒険者は押しが強いのでそれも若干困る……ついついテイラーに頼ってしまう。
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