第353話「危機一髪!呪物に興味を持ったユニバース王」


 王都のギルドマスターも王の指示で開封部屋に連れて行かれ、受付嬢は早急にSクラス冒険者証を作れと厳命された……非常に迷惑そうだ。


 因みに王が一筆書いてギルドマスターに渡したら、速攻白目を向いて倒れそうになった。


 僕は急いで空間感知をしたが、何故かアラーネアの反応は『人間』を示し出している。


 しかし、反応を示す『大きさ』が異常だ。



 僕はそれを見なかった事にする……そうするのが一番だ。



 その後僕は、部屋に場所を聞き先に一人で入り作業をする……マジッククロークを誰かに見られたら面倒だからだ。


 その間部屋にいた鍵士には外に出ていてもらう。



 出来る限り思い出してクロークを念じて机に並べていく……思い出せない物は空いてる机に、『宝箱』と念じたあと一箱ずつ並べ替える。


 既に開封済みの一個はクロークへしまっておく……鍵士が見たら開封済みの箱と言うのはわかっているからだ。



 箱の種類は、ランクAの『階層ボス宝箱』で罠がアラームが一箱、これは開けると『ギルドの係員』が来ると逸話のある罠だ。


 次にランクA+の『階層主からの褒賞』で毒矢の罠だ……これは最悪毒消しで済むそれかアラーネアに開けてもらう……彼女は毒が無効だった筈だ。


 ランクA+の『階層ガーディアンの宝箱』の罠なしは、そのまま開ければ良いので王様用に別の机に置く。


 これで王様は少しは楽しめるだろう。



 問題の逸話付きのダブルアラームで、ランクSの『階層主の特殊宝箱』(罠:アラーム、特殊アラーム)は特殊条件をクリアしていないので特定アイテムをゲットすることはできない……ちなみにこの場合ギルド係員が2名来るのだろうか?


 いずれクリアして見たいものだが、そこまでこの世界に居るとなると其れはそれで困る。


 特定条件3の女性冒険者10名以上で男性冒険者5名以上、ドワーフとエルフそれ以外の亜人種各6名以上は条件が厳しい……箱と宝の奪い合いになる可能性もある。


 多分ダンジョンは仲間割れが目的だろう……より強い穢れを得るために。


 そして危険な香りしかしない箱の、迷宮宝物『呪われた強欲なる王からの褒賞』ランクS+で罠が石化の呪いと爆弾。


 もう一つが、迷宮宝物『呪われた強欲なる王からの褒賞』のランクAで、罠が仕掛け矢とアラームだ……ギルドの係員が仕掛け矢を持ってきたら物凄く嫌だ。



 僕は所狭しと宝箱を置いた後、箱開け順を考える。


 王様用を最初に開けて、爆弾と何が出るか分からない危険そうな迷宮宝物は、最後に回して王様に一度退出してもらおうと思っている。



「王様、準備ができました。一応罠無しが一箱あるのでそれを王様に一番最初に開けてもらい、開始の合図にしようかと思いました。鍵士の方に念の為確認してもらった後、開始したいと思います」


 そう言って一応流れを説明する。


 開けて何が起きるか分からない危険そうな箱は『安全のために退出を!』と言うと、それは渋々だったが理解してもらえた。


 王様にも分かるように順に言う……アナベルに貰ったモノクルを忘れずに装備する。


 最初が、ランクA+の『階層ガーディアンの宝箱』罠無しを王が開ける。


 2番目は、ランクAの『階層ボス宝箱』で罠がアラームは罠を鍵士が確認したら王が開ける……これもご機嫌取りだ。


 3番目が、ランクSの『階層主の特殊宝箱』ダブルアラームも同じく鍵士の確認後に、王様が開けるだけだ、問題はここまで係員が来るかもだ。


 4番目に、ランクA+の『階層主からの褒賞』で毒矢の罠の箱は鍵士の登場だ……僕の鍵では開かないからだ。


 5番目からが不明な箱で迷宮宝物『呪われた強欲なる王からの褒賞』ランクAで、罠が仕掛け矢とアラームは当然、鍵士にお願い案件だ。


 6番目も、迷宮宝物『呪われた強欲なる王からの褒賞』ランクS+で、罠が石化の呪いと爆弾。これはできるだけ全員避難だ。


 王にモノクルを渡して実際に見てもらう。



「す!素晴らしいアイテムだな!こんなマジックアイテムがあるのか!だから其方は優秀なのだな……こんな沢山宝を一度に持ち帰る臣下は、今までおらんからな……ザムド達が羨ましいぞ!」



 そう言ったらザムド伯爵とウィンディア男爵は、



「陛下!だからと言って貰える訳では無いですから!冒険者の得た宝を回収する貴族の領には誰も冒険者は来なくなります!」



 と言ったら、王様が不思議な顔をする……そして気がつく……



「ちょっと待て!……と言うと何か?『お抱え冒険者』ではなくヒロは『通常の冒険者』と言うことか?なのに宝をあれだけ献上したと?………なんと……我が王国は恵まれているな……なんとそうか……」


 王がしみじみとしていると、鍵士が帰ってくる。


 そうすると、鍵士の検査が終了したようで、危険な選分けをした物だけ後回しにする旨を言われたので、やはり僕の考えに間違いはなかったようだ。


「では陛下、そのモノクルで見て罠がない箱からお開けくださいませ!」


 そう言われた王は、ウキウキしながら部屋に入り罠無し箱の上蓋に手をかけて開封すると、中には……金貨袋や剣そしてポーションなどが沢山入っていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 金貨袋(250枚)


 硬く・鋭利な・ロングソード+2


 激しく燃える・ショートソード+1


 ポーション 3本


 失われた王国の銀食器(皿)『呪い』


 大型矢筒(矢150本)


 スローイング・ダガー10本


 火球のスクロール 2枚


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「な!なんと!こんな紋様が入った皿が……これは相当古い年代の物だぞ?」



 と言い触ろうとするので、急いで手を取り辞めさせる。


 するとお付きの家臣がひどい剣幕で怒鳴る。



「ふ!不敬であるぞ!!何を陛下の手を取り辞めさせるなど!そのような行為はあって良い物では無い!!この大馬鹿者めだから品性がないのだ!冒険者風情は!」



 そう言われて僕はカチンときて言ってしまう……



「呪われているかもしれない品に触れようとして止めない方がおかしいでしょうが!!本来アンタが止めるんですよ!それに普通は!!呪われるのを助けてもらったんだから、その場合お礼であって、怒るのは筋違いでしょうが!!」



 僕がひどい剣幕で怒ったので、向こうも言い返そうとするが、鍵士が仲裁に入る。



「良いですかな?この様な行動を取られると困ります。陛下の御手を取ったのは不敬でしょうが、危険な物は誠に危険です……下手をすれば呪われて何が起きるか分からないのがダンジョン宝物なのです!良いですかな?貴方様が不敬だと言われるならば、しかと陛下の御手を貴方が止めさせてください!」



 そう言って鍵士は臣下を注意するが、僕は『シャインさんに祝福をお願いに行きますので待っててください!!』と語尾を強めに言ってから『モノクル』を臣下に強く渡して『自分で見てみろ!』と言い残して部屋を出る。



「馬鹿もん!そんな言い方があるか!この箱とて儂が無理を言って居るのだ!更に呪いを受けさせぬ為にした行動であろう!それなのにお主は!勉強不足なのは其方であろう!万が一呪われていたらと考えると、感謝しかないでは無いか!」



 王様のお叱り声が部屋の外に出ようとした僕にまで聞こえて、少しだけ気持ちがスカッとした。



 僕は祝福をお願いする為にシャインを探す。


 すぐに見つけることはできたが、何故か彼女はすごく落ち込んでいる



「シャインさん!ちょっとお願いが……祝福をお願いしたいのですが………箱開ける度にお願いになるので結構面倒ですが……」



 僕はそう言ってシャインさんにお願いする。



 今のメンバーは、王様にザムド伯爵にウィンディア男爵で、間違いなくうっかり触りそうなメンツばかりで結構危険なのだ。



 そういうと彼女はニッコリ笑って直ぐに側に来てくれた。

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