第309話「ミノタウロスとの戦闘……火球の威力はかなり危険」

「アイスフィールド!!!」


「ウォータースフィア!ウォータースフィア!!」



 僕はアイスフィールドとウォータースフィアの合わせ技で行く。


 フィールド氷結効果で当然勢いよく走るバカ牛はすっ転ぶ……そこに向けてウォータースフィアが到達して頭を爆散させる。



 当然スピアより接触面が大きいのでダメージはデカイ。



 後ろの3匹はアイスフィールドの範囲内なのだが、そこから動こうとはしない。


 理由はすぐに判った……矢が2本僕に向けて飛んできたからだ。


 ステータス低下中の為に弓を引き損ねたのか、僕に当たらずに手前に刺さる。


 次に狙って撃つときは修正をけて撃たれるのはわかっている……敵が動かないなら窒息させるまでだ。



「ウォーター!ウォーター!」



「ブボバォォォォォ!ボバ!!ゴブアァァァ!!」



 2匹は声にならない叫びをあげている……そして他にもヤバい状態なのが居るらしい……天井に張り付いているミノムシ人間だ。



「さ!寒い!!早くしろぉ!とっとと倒せ!こっちが先に凍えて死んじまう!!」



 文句しか言わない兵士に気を取られていたが、ミノタウロスに異変が起きる。



「ブモォォォォォ!ブブモォォォォォ!ブルルォォォ!!!」



 残りの1匹が奇妙な叫び声をあげると、手に持つ木の棒から『火球』が飛んでくる。


 弓で撃つ矢と違って途中で失速する事はない。



 撃ち出した火球は勢いを欠く事なく僕の方へ進んで来るが、スピードがとても遅い。


 僕は横に回り込む様に火球から距離を取る。



「だから判断が甘い!妾の忠告をちゃんと聞いておるのか若造?」



 そう言って僕はすぐ様糸でぐるぐる巻にされて天井に『べったり』貼り付けられる。



 上から見たら判ったが、火球が僕が居た場所の地面に着弾すると、ミノタウロス・アーチャー2匹を巻き込む様に火炎に巻かれる。


 火球の魔法効果は上方には広がらず横に広がり、長い間燃え続ける様だ。



 そしてミノタウロス・マジシャンは魔法を放ってから、ちゃっかり後方に下がって効果範囲から抜けていた。



 身体を焼かれたミノタウロス・アーチャーは、『大火傷』の状態異常ステータスになっていて『瀕死』となる……もはや虫の息だった。


 僕がトドメを下す前にウォーターの効果で窒息して2匹とも生き絶える。



 火球の着弾に気を取られたミノタウロス・マジシャンは、僕を見失い周りを探している。


 まさか上から見られているとは思ってもいないだろう。



 頭に目掛けて僕は唯一自由な右手でウォータースフィアを放つと、突然上から飛んで来た魔法を避けられず頭に受けて絶命するミノタウロス・マジシャン。



 プレーグ・ミノタウロスを含めて全部で11匹……ここのフロアにいた魔物を全部倒し終わる。



「戦闘は……まぁまぁじゃな!うーむ……60点って感じじゃのぉ?だが様子見で魔法を避けると痛い目を見るぞ?さっきの火球はスピードが遅かったじゃろう?あれはな……火球のダメージを最大にしてスピードを犠牲にしたのだ」



「お主が実践の経験不足と読んであの様に放ったのだ……要は『舐められた』のじゃ!お主はあのミノタウロス・マジシャンにな!スピードが無くても理由など『どうせお主は解らない』とな!」



「おかしいと感じたのじゃろう?何故もっと早く行動して危険と言っておる本能に従わない?大概はその感情は『あたり』じゃぞ?」



「言われて納得しました……天井に貼りつけて貰わなかったら大火傷じゃ済まなかったです……あのミノタウロス・アーチャーの様になってましたね……真っ黒に……」



 僕は下の黒焦げになった地面を見て反省する。


 アラーネアに助けて貰わなかったら、今頃あの黒いシミの一つになっていた。



「それが判ったらさっさと宝箱を回収して来るがいい!人間にはさぞかし良いものじゃろう?」



 アラーネアがそう言った方を見ると、プレーグ・ミノタウロスが鎮座していた場所に宝箱が3箱出現していた。


 どうやらダンジョンによって出る場所が異なる様だ。



 このダンジョンでは、倒した場所ではなく『階層主が居た場所』に宝が出る様だ。




◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


宝箱(ランクA) 『階層ボス宝箱』(アラーム)


        入手方法

 ・ダンジョンの魔物を倒した場合。

 ・特殊な状況下で魔物を倒した場合。

 ・その何かで稀に入手。


  箱にはランクがある。

 ランクが上がる程、良品が詰まっている。


 箱には罠がかかっている場合がある。

 ランクが上がると箱内部は複合罠になる。


 解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇



◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


宝箱(ランクA) 『異世界からの祝福 』(毒矢)


       入手方法

 ・ダンジョンの魔物を倒した場合。

 ・特殊な状況下で魔物を倒した場合。

 ・その何かで稀に入手。


  箱にはランクがある。

 ランクが上がる程、良品が詰まっている。


 箱には罠がかかっている場合がある。

 ランクが上がると箱内部は複合罠になる。


 解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇



◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


宝箱(ランクA+)『階層主からの褒賞』(毒矢)



       入手方法


 ダンジョンの階層主個体を倒した場合

 に入手。


 箱にはランクがある。

 ランクが上がる程、良品が詰まっている。


 箱には罠がかかっている場合がある。

 ランクが上がると箱内部は複合罠になる。


 解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇



 僕はアラーネアに下ろしてもらった後に宝箱に駆け寄るが、煩くなりそうな兵士は天井に貼りつけられたままで、更に鼻以外を塞ぐ様に糸で顔がくるぐる巻にされている。



『階層ボス宝箱』『異世界からの祝福 』『階層主からの褒賞』の箱だったが、同じ様で違う名前の宝箱2箱に例の謎箱が出た。



「ほぉ!3箱でなかなかな大きさじゃな!これ程大きいと中身は期待できそうじゃないかい?」



 アラーネアがそう言ってきたので、折角なので質問することにした。



「実は宝箱の種類なんですが、似た様で違う物が出たんですけど……箱の事って何か知ってますか?特に祝福系の箱ですが……」



 僕の質問に、逆に質問返しをされる。



「どう言う意味じゃ?『箱の種類が判る』って事かい?この3箱の種類が何かわかるって事だとすれば……アンタ……シーフなのかい?それとも魔法使いなのかい?あんな武器まで持って……何でも屋は器用貧乏って言うんじゃぞ?」



「僕はシーフでは無いですよ。スキル的なものです……」



 そう言って僕は指差しながら宝箱の名称を伝える……



「ん?なんと言った?今のは妾の聞き間違いか?異世界からの祝福 と言ったのか?なんじゃ異世界って言うのは?……お……お主……『流れ』か?ふ、ふん!そんな眉唾話……妾が信じるとでも?」



「…………………まさかそんな事……本物の流れなのか?これは妾もビックリじゃ!」



 僕が返答に困っていたら『把握』したようにアラーネアは話をし始める。



「祝福系の箱だったな!箱のランクより一つ上の宝や、固有のものが出たりすると妾は聞いたことがあるぞ?じゃが……異世界からの祝福なぞ聞いた事もない!」



「其方が異世界の『流れ』である事が前提であると仮定すれば、もしやすればこの箱が出る事もあるかもしれぬなぁ?」



 そこまで言われたからには事情の一つも説明した方が良いだろう……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る