第304話「謀反計画……冥途の土産の真相暴露はお約束!」

僕は絶賛………落下中だ。



 何故こうなったかと言うと……ドクリンゴと言うカノープスの叔母にはめられたからである。



 お茶を飲みにドクリンゴの部屋まで連れて行かれたが、お茶などなかった。


 ドアを開けて入った瞬間あの指が無い犯人がドアの横で待ち構えていた。


 中には数人侍女と思われる人間が居たので『気を抜いて』しまった。



 空間感知で何が有るか『警戒』はしていたが、人の区別まではつかない。


 それに僕はマヌケをやらかした。


 部屋の中での会話を録音しようとわざわざトイレに寄らせてもらい、録音アプリを起動したのだ。


 こんな事に気を回す暇があったら別のことに気を回せばよかった……。



 それにしても、嗅がされたのは俗に言う『クロロホルム』的な薬品だろうか?


 その割には意識はある。


 身体に痺れが残るが意識はハッキリしている。




「まだ意識があるのね!流石アレックスが見込んだ冒険者ね……でも安心なさい……どうせ意識があろうとなかろうと、お前はもう地上へは絶対に戻れないからね!」



「冥土の土産に教えてあげるわ!この犯人を使いに出したのは私よ?」



「トンネルアントフェロモンを染み込ませた装備が、全て無駄になったじゃ無い!あのまま平原に放置すれば、実行犯含めてカノープスも纏めて全員一緒に蟻の餌だったのに!全く……こっちの計画を潰してくれて……目障りにも程がある!」



「シリウスにずっと飲ませていた、邪血も無駄にして……折角もう少しで魔結症も最終段階に入り、全身魔硝石化で御陀仏だったのに!ムカつくわ!コイツ!」



「魔物を生捕にする苦労が水の泡じゃ無い!!」



「まぁ良いわ……手段は別にあるから……アンタが見つけてきて飲ませた『秘薬』を利用させて貰うわ!一時的に治ったシリウスは『アンタが瓶に仕込んだ毒薬』で死ぬことになった……って言う筋書きよ!」



「王が自ら飲ませたんだから、願ったり叶ったりよ!どうせ後で毒を飲ませても『死人に口なし』ですからね、貴方はダンジョンで魔物の餌、そしてシリウスは毒であの世行き!カノープスは葬儀で不慮の事故に遭って谷底に!」



「後は迷惑なあの第6継承権のクソ兄を始末すれば終わりよ!それで私の王政が始まる!あのバカ兄にはまたダンジョンへ向かわせてそこで始末でいいわね」



「折角なので『秘薬』探しに行ってもらおうかしら?貴方の見つけた『トレンチのダンジョン』にでもね!」



「コイツは地下の迷宮へ放り込んできなさい!良い?今度はヘマすることのない様に充分気をつけなさい!荷物も全て放り込むのよ!?下手な欲だして証拠が出たらお終いなんだから!」



「今度ヘマしたら、お前の家族を全員切り刻んで間の森に遺棄するからね!そうすれば大切な家族は全員仲良く魔物堕ちよ!そうしたくなければ……貴方は良く覚えてらっしゃい!」



「いい?良く聞きなさい!入り口に放置じゃ無いわよ?柵を外して縦穴から放り込むのよ?そうすれば地面に叩きつけられて間違いなく死ぬわ!」



「この王宮の地下にあるダンジョンの縦穴は騎士団の話では第15層までの吹き抜けよ……飛行系魔物が出ないように柵がしてあるから、これがその鍵よ!決して見られてはいけないわ!」



「巡回は既に私の手のもの達がやっているから問題はないけど、『王宮』の中で目につくのは不味いの!だからこのワゴンを用意したわ」


「ここにコイツを寝かせて上から布を被せて持っていきなさい。これですれ違う奴らは何とかなるはずよ!」




 その言葉の後雑にワゴンに詰め込まれた僕は、布を被せられ王宮の地下にある柵前まで連れて行かれた。



「すまんな……お前に恨みは無いが、こうしないと生き長らえられないのだ……だが安心しろこの件が終わったあとは俺も同じ道を辿るだろう……恨みは向こうで聞くから先に待っていろ……」



 僕の意識はハッキリしているが既に痺れも半分近く切れている。


 特殊効果を発揮するものなど装備していないが何故だろう?



「や……め…てく……ださ……い。い……まな……ら……」



「スマン……今更もう引き返せんのだ……」



 そう言って落とされた。



 落下の途中にヒラヒラとする『何か』とすれ違うが暫くしてそれが『魔物』であると気がついた。



 蝙蝠系の魔物で大きさもほぼ蝙蝠だ。


 僕の腕に止まって噛み付く蝙蝠はどうやら『吸血』をしている様だ。


 そこから毒が送り込まれていないのは救いだ。


 しかし、蝙蝠がビクンビクンと痙攣して落ちていく、そしてまた別の蝙蝠が来ては血を吸って落ちていく。



 僕の身体から血と一緒に毒素が減ったせいなのか僕のステータスにある『麻痺』が消える。



『やっと声が聴こえるくらいまで回復したわね!良かったわあの時に『聖樹の若葉』を服用させて!聖樹の葉だったらもっと効果大きくてあんな毒効かないんだけど』


『まぁ、何はともあれ回復出来たのは良かった……でも問題はここからよね……人間て怖いわ〜平気で裏切るのね!』



「あれって『聖樹の若葉』のせいで症状が軽いのか?」



『そうよ?それに貴方の血液吸った蝙蝠も、麻痺して落ちていったから結果オーライね!魔物にはちょっとばかり威力が有るのよね!私ってば!』


『動けなかったら地面にぶつかる前に『失血死』だったわよ!』



 モンブランのお陰で助かったが、落下で死亡か失血死どちらが良いかと言われても答えが出ない。


 ヒラヒラとまた蝙蝠が来るので、クロークから剣を抜いて空中で切り裂く。


 必死に切り裂いていたが、僕は鑑定の事を思い出したので、戦いながらも鑑定する。



◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


ストロー・バット (別名: 吸血蝙蝠)

   (通常種・蝙蝠系統・小型種)


『使役可能個体』 第一次系統進化個体 


・条件により使役可能

 捕縛の魔物罠、使役強制スクロール、

 従魔契約スクロール、使役の絆…etc



LV.12 HP.70/70 MP.23/25

STR.20 ATK.60 VIT.30 DEF.32 INT.19

REG.25 DEX.46 AGI.66 LUK.35


・ステータスは個体差、系統差あり。

・スキル  なし


・個体特徴


  大きな大牙で噛みつき攻撃をする。

 大きな皮膜を大きなカギ爪があるのが特

 徴。


  牙で穴を開けた皮膚からストローのよ

 うな管を差し込み吸血する。


  系統種により噛んだ際に毒を注入する

 種類もいる。


  系統種は、ポイズンバットやアーミー

 バット、ジャイアントバットなど生活環

 境と生息域で変化する。


・取得部位

 大顎、吸血管、鉤爪、皮膜、大牙、小魔

 石…etc


  上記部位は武器、防具、etcは素材に

 使用可能。


・食用不適切『非常に可食部が少ない』

 頭部…食用箇所なし。

 腹部…可食「非常に不味い」

 胸部…食用箇所なし。

 腕部…食用箇所なし。

 脚部…可食「可もなく不可もなく」


・攻撃・防御:


  噛みつき、斬撃、突進、強打、引っ掻き

  吸血


 系統変化先(進化先)

 ・フィアーバット

 ・ジャイアント・バット

 LV、経験値不足で鑑定不可。


 稀に宝箱を落とす。(ダンジョン個体のみ)


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


 成程!と言うネーミングだった……ストローの様な管で吸血するからストローバット……と思った瞬間、巨大な蝙蝠が現れる。


 落下により階層が著しく変わっているのだ。


 そのフロアによって魔物も変わる。


 ストローバットは落ちている時に階層が変わる節目で全部自分の住む帰っていった。


 しかし、その分違う魔物が襲ってくるのだ。



 今度はで滅法デカイので流石に不味いと思い剣をクロークにしまい、魔法に切り替える。


 予定は至近距離のウォーターバレットが良いだろう。


 遠いと避けられて隙が出来そうだからだ。



 10階層は既に落ちただろう……と思っていると急に何かに絡まる感じがした……嫌な予感しかしない………

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