第198話「大混乱の鑑定祭り……種類多すぎだって!」
その沈黙を察したのか、男爵が別の一つについて話す。
「最後のはとある商団が手に入れた物でな。なんでも露店商が売っていた物なんだそうだ……多分手に入れた冒険者が鑑定もせずに日銭のために売ったんじゃ無いか?と言っていた。」
「それをたまたま露店商の親父さんが、全商品まとめ買いを当時のその商団の主人にお願いしたらしくな……その商団は割と顔が広いらしく売り捌けるから全部買うと買ったそうだ。露店商の家族が病気だったらしくな凄く助かったと言っていたのを思い出す」
「今のマッコリーニのお父上が当時の『露店商』さ。まぁユニークアイテムだと知った商団主人は、律儀にもそれに見合う金をそのマッコリーニのお父上に渡した事で今の彼が有るんだ。要はそう言う流れで彼が店を持ち一人で大きくしたんだな……」
「ただ面白いのは、マッコリーニがそのアイテムを買い取ったのでは無いか?と言う事だな……親父さんは買った物を台帳に纏めているから書き漏れは無いそうでな……当時お手伝いだったマッコリーニはかなり適当だった様だぞ?だが親父さんは息子の商売への思い切りを買っていたらしくな、『自分は商才が無いから息子に任せる』と引退してな……」
「現所持者の商団は、今も名前を変えてやっているよ。お父上は店を畳んだんだが、娘はやる気があった様でな『父上を超える商団』が夢の様だ。」
「未だに足元にも及ばないと毎回ブー垂れているぞ。」
「今は氷菓屋と言う商会であり商団でもある……ギルドにも我が男爵家にも出入りしている。マッコリーニ達は氷菓屋に足を向けて寝られないと言っているぐらいに仲が良いから、今度聞いてみるといい。」
男爵に説明はビックリだった。
ユニークアイテムの出所を知っていると思われる2人は身近にいて、一個は僕が持っている。
まぁマッコリーニさんは既に記憶にも無いだろう……知ってたら話しているだろうし……。
それにしたって公に知られているだけあって、出所までちゃんと情報開示されている………
ぶっちゃけ持っている個人は怖いだろうな……
「君の父上はどこで手に入れたかとか言っていたかい?」
「うちの父は『サンシャイン水族の館』と言うところだったと言ってました……それが何処かは分かりませんが、未発見だったみたいですね、たまに家に帰ってくると俺はもっと今よりデカくなる!って言ってましたから。」
適当に言い訳をする……ちなみに僕が好きな水族館だ………。『サンシャインみず族の館』で水性生物感が出て良いかと思った……。
「ほう……と言う事は海沿いにある可能性が高いな……未確認か……君の父は君と同じくらい無鉄砲だろうな……」
「もしかすれば、大きな湖かもしれんぞ?館があるなら地面が無ければ立たないだろう?」
2人がわいわいとこの世界には無い水族館に妄想を膨らませていると、流石ギルマスは核心をつく。
「そんな場所があったのか……それもそんなユニークアイテムの出所であれば一度は行ってみたいな……惜しいものだ当時その形見の品を持ち帰った冒険者は今どうしている?」
「確かにそうだな!」
「お父上の友人であれば、さぞかし名が通っているのでは無いか!?紹介してもらないかな?我々貴族も人手不足でな!優秀な人材だったら是非『鉱山にあるダンジョン』の攻略を手伝ってもらいたいのだ!」
「伯爵様……それは極秘事項です………男爵様からも言ってください……」
「まぁ良いではないか!?ジュエルイーターを倒す冒険者だぞ?すぐに銀級は間違いがない!」
「男爵様まで……一応言っておくが、『鉱山のダンジョン』は内密にな!坑夫がびびってしまってはこの街の財政に直結するからな!」
「伯爵様も男爵様もその点を自覚してください。」
「「いつもうるさいなぁ……」」
声がハモる伯爵と男爵だった。
「ところでまだ最後の、魔導士学院に5個って言うのがあったんですが?……今までの話でダンジョン由来が僕のを含めて2個ですよね?あとは貰い物に出所不明が3個……マッコリーニさんと……冒険者さんと……何時からあるか分かんないやつと……」
「何故ダンジョンの詳しい情報がそこまでわかってるんですか?魔導士学院の5個しか当てはまらないんですが………」
「うん?その通りだよ。」
「そもそも魔導学院というのは魔法を教えるだけではなく、魔物由来や魔物の仕組みあとはダンジョンなどの由来を調べる組織でもある。どういうことかと言うと……まぁそのままの意味だが、魔物の場合で言えば解剖して構造から始まり、魔法がどう使われるかそして身体にその様な器官があるかを調べるんだ。」
「そしてダンジョンの中は外より遥かに濃密な魔力が満ちている。その上何故か魔物が素材に変わり稀に何故か巨大な物質である宝箱が出る。その仕組みを解き明かすのも魔法探究の道の一つらしいのだよ、ダンジョン由来では何もかもが謎だがね……そもそもコレの答えは推測の域を出ないんだがね……どうやっても」
「そしてその宝箱から出るアイテムは『マジックアイテム』が多い。魔導学院が作る基本的な『マジックアイテム』の元は全てダンジョン由来であり、自分達で解析した物を『今できる技術』で再現した物なのだよ。」
「本来のダンジョン産のマジックアイテムには凄まじい効果が多い、しかしそれと同じ物を人の手で制作すると『大概失敗』する。だからわざと格下の魔術を使って『再現』するんだ。……彼等は劣化品と呼んでいるそうだがね……我々からすればその劣化品で十分なほどではあるが」
「まぁ魔導学院の今話した内容については、そのうち自分で確認すると良い。ウィンの奴が用意した身分証で入れる場所が沢山あるからな!勉強がてら行ってみたまえ……あと、そもそも質問の問題はそこではないからな!」
「ダンジョンから出た『ユニークアイテム』は先程、魔導士学院にあると言ったな?それはその由来を調べるためでもある。『造り方』は勿論『能力』『手に入れた経緯』そんな事を当然だが調べる必要がある。魔導士学院の理念でもあり、そもそも『鑑定』もされていないアイテムなんだからな!」
「!!!!」
僕は『鑑定のスキル』があるので忘れていたが、ダンジョンのアイテムはほぼ未鑑定だ。だからこそ鑑定する必要がある……言われてみれば合点がいく。
「それに君には分からないだろうが、ユニークアイテムの場合はそう簡単には『鑑定』出来ないのだ。君の父上も間違いなく『上級もしくは高級鑑定スクロール』を使ったか、特級鑑定スクロール』を使ったはずだ。稀にダンジョンから手に入る最高の分類に値する『鑑定スクロール』だ」
「このスクロールが無ければ鑑定が出来ないのだよ『ユニークアイテム』は……だから手に入れた冒険者は鑑定魔法を頼りに鑑定神殿に持ち込むか、自分で上位のスクロールを探すか『売るか』しか無いのだよ。」
「大概の運良く見つけた冒険者はスクロールや鑑定の金がないので『売る方』を選ぶ。既に『高額なのは分かりきっているからな』鑑定スクロールが効果で表示がされない時点で既に『ユニークアイテムの類』になるからな……類と言ったのは『そんなものが複数種類』あるからだ…」
「まぁそこも私より専門知識がある者に聞く方がいい……間違った知識は何かあった場合困るのは自分だからな……特にアイテムともなればうっかり触って『呪われた』等となれば、まずそのパーティーもしくは個人はダンジョンから帰ってこれないからな」
「まぁコレだけ言っておくと、普通の鑑定スクロール『では無い種類の鑑定スクロール』の価値はほぼユニークアイテムに匹敵する。先程高級スクロールと上級スクロールと言い分けたが、『全くコレは別物』だ」
もう僕には理解が不能だった……鑑定魔法に鑑定スクロールに上級鑑定スクロールその上、高級鑑定スクロールに特級鑑定スクロール……それは鑑定できる内容が異なって、普通の鑑定ってじゃあ何をどこまでできんのさ!
そのそもそもわいの『鑑定スキル』は一体何さーーーーーーーーーー!
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