第174話「呆れるメンバー『どうぞどうぞ……いえいえ……そちらこそ!』」
それぞれが自分の得たスキルの紹介を終わらせる。
僕と、スゥにユイ、モアの4人がユニークスキルをゲットした。
それ以外は全員レアスキルだが、レアスキルでも充分すぎる報酬だ。
生まれ持って発現する以外は、特殊条件下で無ければこのレアなスキルは手に入れる事ができないとされていて、手に入れた者は基本的に黙秘する。
今日の事を考えると『条件がわからない』ので話したくても話せないのだろう……と言う結果に行き着いた。
後は冒険者のプライドもあり『分からなかった』と言い辛いのだろう、それに万が一に手に入れた場所と条件が分かった場合その場所は冒険者が集まり穢れが増す。
今回でさえあのゴブリンバーサーカーが一番最初に動いていたらこうならないはずだし、遭遇したのが三馬鹿だった場合彼等は死に、その感情を糧にこのダンジョンはより危険な迷宮に変貌する力を得るだろう。
それだけ今日対峙した魔物は危険だったと言うわけだ。
僕達は残り5個の宝物を分配する事にした。
ひとまず後続の冒険者の為に箱のチェックをして下層階段がある部屋で続きをする事で話は纏まった。
手に入れたのは2種類の宝箱で『階層主からの褒賞』が2個に『ガーディアンの財宝』が3個だった。
先に倒した階層主の箱はここで一緒に出たようだ。
階層主の褒賞については、両方とも罠があり箱のランクはS+だった……コレは分ける時点で問題にはならないだろう。
困ったのはガーディアンの財宝で3箱あり、上からSランク、AAランク、A+ランクだったが初めて『AA』ランクを見たので中身が気になった。
Sランクがある以上は中身の物はそれ以下だろうが……
因みに罠が複合罠になっていた。メインは毒矢や仕掛矢、それに毒ガス、アラーム、神経ガスだ。
調べてガスを出し、開けてやでダメージを狙うとは悪質極まりない罠だった。
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宝箱 (ランクS) (アラーム)
『階層ボス特殊宝箱』
特定条件1:
2パーティ6名以上でフロア入場
特定条件2:
脱落者0にて勝利
特定条件3:
女性冒険者3名以上
※以上の条件をクリアした場合宝箱はS+の
報酬に切り替わる。
S+確定ドロップ
精霊のロングソード・宝石の錫杖・精神のワンド・
マジックバッグ(大)・深紅の宝玉・炎の弓(エルフ限定)
入手方法
ダンジョンの魔物を倒した場合。
特殊な状況下で魔物を倒した場合。
その何かで稀に入手。
箱にはランクがある。
ランクが上がる程、良品が詰まっている。
箱には罠がかかっている場合がある。
ランクが上がると箱内部は複合罠になる。
解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。
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宝箱 (ガーディアンの財宝) (Sランク)
罠 (毒矢+神経ガス)
入手方法
ダンジョンの特定条件を満たし、ガーデ
ィアンを倒した場合に入手。
箱にはランクがある。
ランクが上がる程、良品が詰まっている。
箱には罠がかかっている場合がある。
ランクが上がると箱内部は複合罠になる。
この箱には必ず罠がかかっている
解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。
この箱は階層から移動出来ない。
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勿論、闇ギルド出のチャックはそれを最も簡単に外す。
バーム達はその手際の良さを見て、駆け出しをさせて置くのは勿体無い、弓の精度といい冒険者として引く手数多だと言っていた。
しかし、ここで問題が起きる………
「いーーーや!絶対にダメだ!」
「ヒロも落ち着けって!ちゃんと話せば大丈夫だって!バームさんコレは『共同』で倒したんですから……ね?」
「それはアタシも納得いかないね!絶対に譲るんじゃ無いよ!バーム!」
「そうだよ!銅級冒険者やってるんだ舐めてもらっちゃ困るよ!?」
優しそうなベリーとタルトも声を荒げて来た………
僕らは押し問答で約30分(半時進)近く浪費していた。
理由は『ガーディアンの財宝』の割り切れない数1個についてだ。
条件不明の討伐報酬で滅多に手に入るものでは無いので、言い分が絶対に譲れないのはお互い様だった。
冒険者ならその重要性も理解できて当然だ。
この件については、話しているうちにヒートアップしすぎて、銅級も駆け出しも関係ないと言う事になって半ば喧嘩状態なのだ……
それも奪い合いじゃ無く……『譲り合い』で喧嘩をしていた……
「ここのボスを倒したのは僕達ではない!僕達がこの貴重な宝を貰うわけにはいかない!」
「僕達はたまたま顔見知りが馬鹿やらかしたから危険だと思って勝手に飛び込んだんです……そもそもあの馬鹿共が飛び込んだ原因は僕のパーティーが起因だし、そういう意味を込めて此方の落ち度なので貰っちゃって下さい!」
「それに駆け出しの僕達には有効活用できる可能性が少ないんっすよ!それに比べて銅級である貴方達なら間違いが無いし、もしコレで其方が強くなったら一緒に連合組んでいろいろ教えて下さい。それで十分俺らは元が取れます。戦闘経験や立ち振る舞いは金じゃ買えないんっすよ!」
「そうじゃないわ!?有効活用できるか出来ないかではないの!貴方達はあの化け物を倒したの……だから当然の権利でもらう権利があるのよ!それにこっちの一箱はちゃんと貰うわ!充分すぎる報酬よ!?手に入る可能性が極めて低いんだもの!今まで見たことも聞いたこともない宝よ?ちゃんと駆け出しから学びなさい!先輩として命令よ!」
このやりとりをずっと見ていたモアとユイが一言……
「あのぉ………開けて中身を半分にすれば良いんじゃないですか?」
「開けた後はまず私らが中身から一つ選んで、次はそちらで……最後の端数は多分コッチになるからそれで半分こで良いのでは?」
「「「「「「それだーーーーー!」」」」」」
僕達は結局、呆れ果てたモアとユイの『子供か!』の一言で僕もチャックもバームもクーヘンも皆が反省するしか無くなった。
その間、呆れたスゥとチャイそれとビーンズは薬師話やらスキル話やらで盛り上がりながら散らばっている討伐部位を集めていた。
最終的に一番活躍したのはこの5人だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
魔石(小)9
魔石(中)4
薄汚れた剣1
折れたナイフ2
ツギハギの鎧1
ゴブリンの目玉4
ゴブリンの耳2
ゴブリンの指3
銀貨10枚
銅貨9枚
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拾った物はビーンズが適当に半分にして、此方の取り分をチャックへ渡すと………
「やっと話が纏まったか?お前ら子供すぎだ……理由はわかるが、お互い貰えるものは貰っとけば良いんじゃないか?」
もっともな意見だった。
開けた箱は勿論喧嘩の原因になった『Sランク』の宝箱である。
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氷結のロングソード 1
雷鳴の杖 1
浮遊のブーツ 1
火鼠の弓 1
不滅の矢 1
マゴット・リング 1
ヒドラ・ウィップ 1
狂気の仮面 1
黄金のバスターソード(呪い) 1
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
中に入っているアイテムはどれも名前からして普通に手に入るものとは考えられなかった。
僕は見た瞬間に『簡易鑑定』で物を見る、呪いがあった場合すぐに対応する為だ。
今まで呪いの装備が出てない分、怪しいと踏んでいたがやっぱりだった……ダンジョンは搦手で来るらしい。
安心したところを、金の欲に駆られた人間から確実に糧にするつもりらしい。
僕は呪いを発見したので注意深く見守る……
「まじか………すごいなあの剣全部が黄金で出来てるぜ!売れば………幾らになるんだか……」
「バームロクなこと考えないでよね?……大概呪いだ!ああいうのは。わかってるんでしょ?」
バームの言葉にベリーが手をヒラヒラさせながら話す……その直後クーヘンがバームの代わりにお願いをする。
「ごめん、ウチには回復師が居ないんだ……そっちのユイちゃんに祝福をお願いしても良いかな……?」
そう言われたユイは軽く胸を張って『頑張りましゅ!』と言ったが……既に噛んでいた……とても恥ずかしそうにしているが、それが逆に可愛い。
「世界を創りし大神よ!我に悪しき力を退ける天狐の御使を与えたまへ!祝福!!」
前回と同じくまたもや怪しい狐が箱の周りを駆け回ると突然、黄金のバスターソードに近づくと鼻でフンフンを嗅ぐ仕草をして踏み付ける。
そうすると黄金のバスターソードがボロボロと崩れ去る……狐は祝福が終わると透明になって消えていく。
「ハハハハッハ…………マジか触らないで正解だな!でも勿体無いよな……売ればすげぇ金に……」
「バームさん……呪われた金の剣誰か買うんですかね?」
僕の質問に皆がバームを見る。
「金に目がくらんだ貴族とか?」
「後はバームくらいね?」
タルトがバームの答えに皮肉を言うとメンバー全員が笑っていた。
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