第129話「ゴブリンの上位個体……ソレってゴニョゴニョキングだよね!?」

さっき斥候が多く居たゴブリンはレガントの言う通り先行部隊だった様だ…レガントの故郷ではかなりの数のゴブリン討伐が頻繁に行われていて、ゴブリンの基礎情報が僕達より多かった。



 ゴブリンの先行部隊に多くの斥候がいる場合近い場所にウォリアーをメインとする本隊が潜んでいるらしい…そのウォリアーの部隊に多くの斥候が紛れていた場合、その部隊の後ろに更に大規模な部隊がいるらしい。



 その場合は群れ自体が100匹以上のゴブリンで形成されるらしく、その群れはゴブリンキングが群れを統率している可能性があり危険度はかなり大きくなるらしい。



 街周辺でゴブリンキングが現れる事はあまり無いらしく、ゴブリンにしては結構高い知能があるらしく上手く部隊を操るらしいのだ。


 キング自身の身を守るためにも先行部隊を多く送り込むんだとか…なんとか…



「多分ゴブリン斥候が戦闘前に知らせていたのでしょう。…今日の依頼ノルマはどうですか?僕達は既に最低限の30個は此処に来るまで貯水池に外縁水路のスライムで済ませてるので大丈夫ですが…」



「ああ俺たちの事は気にしないでいい。こなせないのは自業自得だし、そもそもこれくらい出来ない様では銅級冒険者は遠いからな!因みにあと8個って感じだ。だからアイツら何匹か倒せば後はスライムでどうにかなる筈だ。」



「この今転がっているゴブリン含めてますか?」



「いやいや!これはクルッポーが居たから倒せたんだから君達の取り分だ。ソウマも手伝ってくれたんだから流石にもらうわけにはいかないよ。貴重な薬まで分けて貰ったんだからお金だって払わないとだしな!」



「別にそこまで明確でなくても良いんじゃ無いか?俺だって割って入ったんだしな〜困った時はお互い様だ!って事で皆いいよね?ここの6匹の魔石あげても?」


「そうですよ!それに私もユイナさんもお金より薬草30束を貰えた方が薬生成の練習できて嬉しいです。」



「薬草30束って…薬代金からして見れば格安もいい所だぞ?そんなんで済むはずが…」



「いいんじゃ無いか?そんな事は難しく考えずで…薬草30束で不満なら60でも90でも渡せばいいだろ?考えすぎだぜ?レガント」



「そうですね。ソウマさんの言う通りです。それに今僕が言ったようにゴブリン部隊が来るので、もっと薬貰う羽目になるかもですしね?ひとまず頑張りましょう!」



「でも…ヒロさんなら一人で充分じゃ無いですか?ゴブリン12匹なんて…さっき一瞬で3匹(ちょっと!ダメだってば!ヒーナちゃん!それ秘密って皆に言われてたじゃ無い!)…ゴニョゴニョ…ゴニョゴニョ…なんでも無いです…」




「ひとまず盾3名で陣を作りましょう!僕と戦士2人は中間層で、残りは隙を見て遊撃でお願いします。それとヒーナさんは弓で射撃武器持ちのゴブリンメインで仕掛けてください!」



「危険な魔物が出たら様子見で!できるだけ距離を持つ様に。皆さん重傷を負わない様な戦闘に徹して下さい!怪我したら下がってすぐ回復を!ユイナさんとミクちゃんそれとミーナさんも怪我人出たらすぐ下がって怪我人の応急処置を。」



「「「「「了解!リーダー」」」」」



「「「「「「オウ!(ハイ)」」」」」」



 ゴブリンの部隊は結局18匹にもなる大きい部隊だった。



 森から出てくるなり、手持ちのスリングやショートボウでこっちに攻撃を仕掛けてくる時点で、結構統率が取れている感じに思われたのでゴブリンキングも居るかも!とちょっとワクワクしたが、この部隊に居たのはゴブリンキャプテンという階級的にはキングよりもかなり下だった。



 何故キャプテンかと分かったかと言うと勿論鑑定をしたからだ…ちなみにこんな感じなステータスだがゴブリンのステータスに毛が生えたくらいとしか思えないのだが…数字では見えないゴブリンなりの経験があるのだろう。



◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


ゴブリン・キャプテン (戦士系上位個体)


(通常種・小鬼妖精系統・小型種)


(別名: 悪戯小鬼)


『使役可能個体』 第一次系統進化個体 


・ステータスには個体差、系統差あり。


LV.15 HP.71/80 MP.10/10

STR.18 ATK.54 VIT.16 DEF.57

INT.16 REG.23 DEX.17 AGI.41 LUK.35


 スキル


群れの統率(初級)

 下級ゴブリンを統率し指示を出す。

群れ個体10%確率で従わない個体が出る。


    条件により使役可能

 捕縛の魔物罠、使役強制スクロール、

 従魔契約スクロール、使役の絆…etc 

 ・必要条未達成により開示不可。


  無骨な武器で攻撃する。

 森で拾った錆びた武具や、木材を加

 工した棍棒が基本の武器。

  稀に人を襲った際に手に入れた装

 備を使っている。


  系統種では、ゴブリンの呪術師や

 戦士、シーフ、アーチャー等武器に

 よって系統が変化する。

  知識レベルはゴブリンに比べると

 飛躍的に向上している。

  常に下位個体に指示を出し獲物を

 群れで狩る。


  進化種には様々有るが一番有名な

 進化先はホブ・ゴブリンであり、寿

 命や知識レベルが大きく変化する。

  オークの知識レベルが高い種に命

 令されて共に行動することも多い。


 ゴブリン棍棒、錆びた武器、錆びた鎧、

 錆びた盾、木製盾、スリング、ゴブ茸

 各貨幣、ゴブリンの指、ゴブリンの耳、

 ゴブリンの心臓、小魔石、中魔石…etc


  上記部位は武器、防具、etcは素材に

 使用可能。


 攻撃・防御:


  斬撃、殴打、薙ぎ払い、強打、連打

 蹴り飛ばし、噛み付き、引っ掻き


 系統変化先(進化先)

 ・ホブ・ゴブリン

 ・小鬼

 LV、経験値不足で鑑定不可。


 稀に宝箱を落とす。(ダンジョン個体のみ)


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 しかし統率は中々なもので、あのゴブリンに統べるものが居るだけでこうも変わるのか…



 しかし…キングじゃ無かったのか…ガッカリだ…と思ったのが顔に出たのか…



「オイ!何ガッカリしてるんだ?さっきのレガントの話聞いてゴブリンキング居るかも!とか思ってたんだろう?たまったもんじゃ無いぞ?俺達には荷が重い相手だからな!キングもだが取り巻きでさえ相手ができないぞ…居た時点で即逃げ確定だ!」



「リーバス!既にアレも逃げる枠内だろうが…ゴブリンキャプテンだ!銅級冒険者呼ばないと俺たちだけでは怪我じゃ済まないぞ!」



「どうしますか?弓で狙って少しでもダメージを与えますか?」



「ヒーナ下手に怪我を負わせると危険だ。出来る限り素早く下がりながら東門まで引き衛兵と一緒に倒すのがベストじゃ無いか?」



「バーガム!斥候とウォーリアーでヒーナ達は追い付かれたんだ…あの群れはキャプテンが統率してるんだから東門まで下がれるかも微妙だぞ…此処は俺たちが抑えて誰かが助けを呼んだほうが…」



「ウォータージャベリン!!!」



 逃げるとか…衛兵呼びに行くとか…面倒くさくなった僕は、ひとまず水槍を生成してゴブリンキャプテンに向けて撃ち出すと勢い良く飛んでいきキャプテンの持っていたボロ盾にぶつかると爆発の衝撃で半身が消し飛んだ…親玉を攻撃して怪我でもさせれば群れごと引き返すと思った。



 ゴブリンキャプテンは避けてから逃げるとかするかと思ったが…魔法に反応出来ない様だった。



 ここ最近皆でスライム相手にパーティー単位で戦闘フォーメーションの訓練をしているだけあって力試しもあったのだが…呆気なさすぎて本当にガッカリだ。



「なんだと??何が起きた?」



「今…何が…キャプテンの身体の半分がいきなりぶっ飛んだぞ?」



「あ………すいません…ウチのヒロが…面倒くさくなると〜何時もこうで…多分逃すよりは倒したほうがとか思ったんだと『いや…なんか面倒くさくなった…』…え?…」



「そう思ったんですけど…違いました…はぁ…」



「ユイナさん!何だそれは!助けを呼ぶのが面倒くさくなって片手間に?…ヒーナがさっきゴニョゴニョ言ってたのはコレか!スライム無駄口叩きながら倒す意味が漸くわかった…」



「銅級冒険者が使う水魔法は何度か見たが…今までに見たこともない魔法だったぞ?マジックワンドか?なんてこった貴族様だったのか!ヒロは!噂に聞く貴族特有の冒険病か!」



 何故か僕の魔法はマジックアイテム効果と言う事に落ち着いたので、僕はその話に乗っかる事にした…この手の魔法は上手くコレで誤魔化せそうなので適当な杖を買っておこう…そうすれば更に真実味を持つだろうし、万が一の時ちゃんと魔法が使えそうだ。



 但し貴族出身と嘘をつくのは重罪になるので、そこは訂正して死んだ父親がそこそこな冒険者だったと言うことにしておいた。

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