第115話「ミオの仕返し大作戦・前編」
今日は朝からムカついた。
ギルドに着いたら、踊るホーンラビット亭の新メニューの件で持ちきり…深夜に突然新メニューのお弁当を販売したと言うじゃない!
私は毎日あのお店の前まで行き、新メニューがあるかチェックしているのに!
昨日に限っては若い男の子が唐突に『お弁当販売を!』なんて言ったらしくて、このギルドに寝泊まりしている冒険者が数人その子に声援を送ったら、支配人がやる気になってお弁当販売をしたらしい。
その場に居なかった私は悔しくてたまらない!あの店の常連だもの!
因みにその冒険者達も少年の整列してた方がいいとのアドバイスを聞いて直ぐに並んだら運良く買えたらしい!
その冒険者の話では、肉は2種類で柔らかさが絶妙の人気メニューの他に新メニューのお肉は刺激的だけど決して嫌な感じはなく寧ろ病み付きになる味だと言う…聴いているだけでお腹が鳴りそう…。
そんな中、私は凄いことを聞いてしまう…
ギルドの依頼受付終わり間近にその『踊るホーンラビット亭が特別な依頼を出した』と言う…
急いで私は昨日舞い込んだ依頼の束を確認したわ!
これから張り出す予定の、銅級以上が受けられる冒険者依頼票の中に目当てのものを発見したの!
踊るホーンラビット亭の採集依頼…コボルドジンジャーの収穫!こんな呪いにしか使わない物何に使うのだろう?と思ったけど、問題はそこじゃ無いらしい。
依頼報酬がおかしい…あの大人気の店の貴族さえ通うあのお店の…お食事券ペア!それも予約なしで使えるペアチケット!
お料理の値段はそこまで高く無いけど、予約の価値は金貨にも及ぶと言われている店内でお食事!
噂では、グルメで有名の男爵様の御令嬢達も喜んで食べたと言う噂…
冒険者は皆、狩りの依頼を探しコボルドジンジャーの自生場所の件で持ちきり…意中の子を誘うって張り切ってる!
ん?…ペアチケットだけじゃ無く他にも何か書いてあるわ…
…又は、お弁当4個!
え?4…個?
何で4個なの?間違えよこれ!貴族でさえも最大3食よね?それなのに4個よっ?
遅番の子に聞いたら、朝昼晩の毎食食べても1食は余るからそれを女の子と仲良くするために利用すれば…と言う事だったらしい。
冒険者の栄養事情にも関係してるかも?っと話になってた…
その子曰く、私達受付員お弁当をおねだりして相手が居ない冒険者とランチデートすれば良いんじゃ無いか?と…斡旋すれば確実に依頼はこなせるしラビット亭も助かるしwinーwinだって!
依頼を出しに来た店の子が言ってたって!
それもこれもその例の男の子の入れ知恵だって!
斡旋?窓口の子はするわよ当然!お弁当も貰える上に銀級冒険者の彼氏ゲットだったら箔が付くわ!
冒険者も皆、目的の受付の子に朝から猛アピールしてるもの!今では窓口担当替えの話まで出てる位だし…
その後早くも、同期の受付業務員のイーザと太鼓持ちコーザが冒険者から踊るラビット欲張り弁当を貰ったと自慢して来た…
私はと言うと…手に入れる事の無い初心者窓口…だから彼女達と顔合わすたびに…
「お肉がとろけるわ!ミオさん食べました?あ!初心者窓口でしたね!いつも仕事が楽だから日頃の行いですね!」
とか…
「2箱目のお弁当よければ売りますよ?」
とか…
「「お弁当沢山で…人気者って困っちゃう!」」
とか言われると…さ!す!が!に!鬱陶しい!
こうなったら昼前に休んで店に買いに行くしか無い!と思ったら…5人も新人さんが来た…。
ああ…笑顔が作れない!
あのイーザとコーザの意地の悪さが思い出されて…作り笑顔になってしまう!
それもかなり優秀な新人さん達で、薬草を最も簡単に雑草なしで集めて来た…やれば出来る子タバサさんも何故か一緒のパーティーになってる。
彼女が彼等全員に採集方法教えたのかな?
悪いことでは無いけど…
彼女の場合そのうち掌返されて馬鹿にされかねないので、出来れば自分の目標を採取して欲しい…と思ってたら、彼女も含めて全員30束持ってきた。
タバサさんは連続3日クリアすれば審査の1段目が終了する!彼女は後2日頑張ってほしい!伝えたいけどこればかりは業務違反になっちゃう…。
それにしても、この男の子は調子に乗るタイプかもしれない…今度は討伐依頼を受けようとしている。
それもタバサさんを含めて6人パーティーで。
これも連続3日クリアできれば良いのだから何も6人で組まなくても良いのだけど…まぁパーティー人数最低2人で必ず1回組んで討伐しなければならない審査項目もあるから良いのだけども。
でも今日来て6人で30匹は結構ハードだ…初心者なら間違いなく誰かが手傷を負って1日かかる…。
魔石は1個でも足りないとクリアにならないし、多すぎるパーティーは以外と問題もある。
実力の無い人が、周りに引きずられて階級が上がる恐れもあるからその場合は後々命に関わる…それ以前に無茶する可能性もある。
スライムと言ってもあそこは魔力溜まりで数が多い…時期を見てギルド大掃除する必要があるくらい本当にスライムの数が多い…。
一応ギルマスが各審査地を見て回っているから危険はないと思うけど…この手の冒険者は躓くと小悪党になりかねないので心配…。
受付は注意はするが受理しないのは無しだから基本はオッケーしないといけない…自主性を持ってもらわないと冒険者だから…
彼等が出てから、そこそこ時間がたった。
新しい子達が討伐依頼を受注した以上、遅番の子と引き継ぎ時間までここに居ないといけない。
その間、暇を見てはこっちに来るイーザとコーザの嫌味を聞いた。
サブマスが来て呼ばれたからキレずに済んだけど…今度は新人5人について資料をまとめて『彼等の様子を纏めるように』と言われた。
初日に僅かな時間で30束集めて、タバサさんを含めて6人でパーティーを組んで討伐依頼に出たと書いたら…呼び出された。
戻り際に、イーザとコーザの「まだ食べてないの?」の台詞にはキレそうになった…そもそも初心者窓口にはその依頼は無いのよ!全く!何なのよ!
そして、今度はサブマスが採取した薬草を持ってこいと…
薬草箱から彼等が採取したのを持っていこうとして気がついた。
長さがほぼ均一だ、たとえ短くてもそれは葉の太さが凄くいい…薬効が高いのが一眼で分かる。
サブマスに見せたら全部解いて確認してた…なんだろう…私も気になってきた。
サブマスの部屋から出たら、待ち構えてたイーザとコーザの3箱目のお弁当を自慢された。
はたき落としたくなったが…お弁当は悪く無いし!皆の目がある…此処は流石に我慢しないと!
馬鹿2人の嫌味を聞いていたら、新人が帰ってきた…助け舟だと思ってイーザの足を踏んでから…
「あ!ごめんなさい!私の担当の『出来の良い子』が帰ってきたから聞いてあげないとね!足出してたら危険よ?その短い足を踏んじゃうわよ?」
って言ってやったわ!
彼等が怪我でもしたのかと思って急いで行ったら…予想外だったわ。
更に4人増やして連合パーティー組んで討伐してた!
規格外って子がいるならこの子だわ。
それも…前の4人が持っていたのはレッドキャップ?初心者が倒したの?中型種になる手前ぐらいの大きさよアレ…。
思った通り、ヒロって子が指示して解体に運んだ後に私の窓口にすぐきたわ。
この様子だとペナルティコースかしら…まぁレッドキャップが居たのでは仕方ないわね。
行きがけに解体窓口を覗いたら…凄い見事な切り口…首だけ淀みなく一太刀って感じね…あの担いできた4人の誰かな…コレは素晴らしい冒険者になる可能性大よっ!
あの中の2人は私の担当だから…どっちかなら嬉しいわ!
担当者の指導の賜物だからね!追加お手当期待できるかも!
銅級窓口にギルマスが帰ってきてる。
イーザとコーザの2人が何やら慌ててるわね…ギルマスに怒られてるみたいだから少し気分が晴れたわ。
さぁさ…仕方ないペナルティの説明に行かないと!
そして慰めてから…注意もしないと!って思ったら…
ナニヨ150個ノマセキッテ!
長く居るけど初めて見た数よ!
…一瞬普通に話せなくなったわ!声が出なくてよかった!うっかり声に出さなかったかヒヤッとした一瞬。
ひとまず5回分の計算と、魔石の状態確認と…あ!例外対応でギルマスかサブマスに言わないと。
向こうで座って待っててもらうしか無いわね…
ギルマスにはそのまま対応する様にと言われたから、後でコレは色々聞かれるやつね!
とりあえず、ペナルティの説明はなくて良いから…依頼達成の説明と買取金額の提示しないと!
あ!金貨貰える総合報酬だこれ…タバサさん喜びそうだな…初めての金貨じゃないかしら彼女は?
チラ見したら既に銀貨2枚貰って壊れてるタバサさん。
え?ちょっと待って…じゃあ5匹多くスライム倒してるのよね?タバサさん…
できる子なのにオーク娘言われてたから…コレ見れば周りの態度も変わるかしら?
一応ヒロさんがリーダーだから皆に言って来てもらったけど…案の定タバサさんは壊れててしまったわ…金貨から目が離せない子になったった。
レッドキャップの討伐部位からは良いのが出たみたいで皆喜んでるけどタバサさんが心配。
いっぱいお金貰って危険で怪しな動きをしてるわ…オーク娘から違う名前に進化しないことを祈るしか無いわね…。
私はギルマスに報告連絡して、早く踊るホーンラビット亭に行かないと!
本当にお弁当が無くなっちゃうわ!あそこは夕方に仕込みがあるから…絶対に夜にお弁当は販売されるはず!今度こそ逃さない様に急がないと!
って思ったらギルマスの話が長すぎる!あのヒロって子が原因だ!
完全にもう!買えるか一か八かの時間よ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。