第67話「大探偵マッコリーニ?と、ちびっ子三姉妹」

そしてテロルは3人娘を伴って、マッコリーニにエクシアを混ぜて『ギルド番犬』の話をしていた。


 …が三人娘は暇だったのでマッコリーニの娘に目を付けたのだ。


 何かと遊びながら餌もあげていたので気になったのだ。



「テロル様あの番犬は厄介なギルドではなかったですか?勉強代と称してお金をせびる様な真似を…」



「何だって?マッコリーニさんそれは本当かい?幾らC級ギルドと言ってもそこまで恥知らずな訳が…」



「いえいえ!エクシアさん言いづらいのですが、今回私が娘に為に海辺に街に行く際にファイアフォックスが駄目であればそこにお願いするしかなったのですが、金貨200枚の勉強代を請求されたんです。」



「ええ!マッコリーニさんそうなのですよ。流石に200枚は言われませんでしたが、1時進ごとに休憩を希望してその度に何かとせびるあの感じは……C級ギルドと言うのは何処もああなんですか?…あ!すみません。決して冒険者を馬鹿にしている訳でないのですよ!エクシアさん」



「やはりそうでしたか……テロル様申し訳ありません。私がファイアフォックスのエクシアさんに依頼を出したせいであの様なギルドに…」



「いえいえ!マッコリーニさんのせいでは無いです。あとテロル様はお辞めを…冒険者上がりな私は皆の前なのでこんな口調ですが普段は違うのです。それに番犬に依頼を出したのはお嬢様方のお父上様ですから。皆さんは大分前に街を出られましたので知らないでしょうが…実は今街には他に頼る冒険者がいないのです。」



「それにしても…マッコリーニさんとエクシアさんは結構なお知り合いだったのですね!マッコリーニさん今後ともテロル家と仲良くしてください、私は一代騎士で終わる気は無いので!」



「はい!よしなにお願い致します。所で…荷物を全て番犬に預けたと言うのは本当ですか?もしかすると…計画的犯行かもしれません…」




「何だって!どう言う事なんだい?マッコリーニさん…アイツらはそこまで腐ってるって事かい?それとテロル様…街で何か起きているのかい?冒険者が居ないなんて事は鉱山でジュエルイーターが出たとしか…」



「エクシアさん!テロルとお呼び捨てください!前から申してますでしょう!あと、冒険者が街にいない件は今言われた通りです…魔物討伐の為です。本来であれば我も向かうのですが…恩義ある主人の為には致し方なく…臆病風などではありません!決して!」




「テロル様実は前に彼らの嫌な噂を聞いたのです…今回の件に似ていました…万が一計画的であれば…今よりもっと悪辣な手段に出るかもしれません。ご注意を!」




 そんな感じで話が始まったのだが、マッコリーニの前の噂を照らし合わして考えを纏めるとこんな感じだった。



 初めは(勉強代)をせしめながら、3日往復の合計6日で稼ぐ予定だったのだろう。


 しかし、出発初日に荷物の預かりを言ってみた所意外にもテロルが荷物を預けてきたので、手頃な魔物が現れ依頼主の騎士が苦戦しそうな魔物が出たら上手くその場を任せ逃げて街まで帰るつもりだと。



 ある程度進んでしまえばより確実だ。



 回復薬も旅の資金も無ければ道行く冒険者にも頼めないし、何せ道行く冒険者に依頼するなど貴族の威厳に関わる事だ出来るはずもないし、それに冒険者だって進んで自ら貴族を助ける様な真似はしない。


 貴族は掌を返し助けたはずの冒険者を裏切るから。


 例外が居るのは分かっているが、それが冒険者の貴族に対する認識だ。



 そしてチャンスが1日もせずに到来したフォレストウルフの8匹の群れだ。


 時間は夕暮れを過ぎもう夜に差し掛かっていたし、半日戻れば自分たちは生き残れる薬も手元にある。


 貴族の持ち物だから間違いなくポーションだ。



 その上、騎士も兵士も敵から決して逃げる事はできない…何故なら自分たちより大切な何かを馬車の中にしまっていて、それを護る必要があるからだ。



 テロルの話では御者が『番犬』のメンバーだったのがその理由で、馬車はわざと泥濘にハマる様に脱輪させたのでは無いか?という事で、脱輪し動けなくなりさえすれば彼らは良かったのだろう。



 多少傷を負っても自分達はポーションを使えば帰れるし、裏切り帰った証拠などない。


 何故ならば街についた頃は彼らは全員ウルフの胃の中だ。



 本来は街に帰って依頼主がウルフに襲われたと言えば討伐隊が出るが、テロルの話ではその討伐隊の殆どは今鉱山で強敵と戦闘中だ街の護衛があるから行けるはずもない。


 万が一生きてても、討伐隊が戻る頃には確実に証人はウルフが平らげてくれる。



 その上で更に何かを企んでいる可能性がある。


 旅の費用程度の小銭稼ぎやポーションを売ったぐらいの金額など危険具合から比べればたかが知れているからだ。


 更にポーションを何処で手に入れたかとなれば言い訳に困るのは目に見えている。



 討伐戦に参加もせず強敵の出る依頼をギルドでこなしている様子も無いのだから、ポーションなど手に入れようも無いのだ。


 もしかすれば、街に逃げ帰る際の保険だった可能性まである。



 そう言ったマッコリーニの予想は当たっていた。


 一部の違いは突発的な事故を装った訳ではなく、彼らはもっと周到に用意していたと言う事だ。



 その難しい話をしている間に、3人娘とレイカは仲良くなりスライムとクルッポーを膝の上に乗せて餌付けしていた…


 一通り話を終えたテロルは、側にいたはずの三人娘が居なくなったので見回すと、3人娘とレイカのその様を見て焦り魔物がキャンプに入り込んだと勘違いしてクルッポーとスライムをテロルが追い払おうとした。


 しかし、焦りすぎて怖い顔でスライムとクルッポーを追い出そうとしたため3人娘は大泣きを始め、それを見たレイカがわたわた慌て始めたので…周りの冒険者も慌て始め…その結果、見えないスピードのエクシアの「落ち着け!!」という言葉の前にグーパンチがテロルの頬を捉えていた。




「す…すいません…テロル様!(土下座)」



「いえ!エクシアさん!謝らないでください!誤解した私が悪いのです!それに、あなたは素晴らしい!貴女以外に今まで女性に負けた事などなかったのに!これで二敗目です!やはり貴女しか居ない!この私の背中を守りながら共に生きていける人は!」



 なんだろう…エクシアさんがすごく嫌そうな顔をしている様に見える…



 騎士の爵位を持つ人をグーパンチで殴ってぶっ倒した人が…何故か謝る気が見えないくらい…スゲェ嫌そうな顔している。


 でも相手のテロルさんは気にしてない様だ…打ち所悪かったのだろうか…?お医者さんに見せるべきだろうか?



 3人娘を泣き止ませる為には、飴ちゃんしかないな……と思い、僕は袋に残してあったハイチョー3粒をリュックから取り出してコッソリと周りのビニールを人に隠れて剥いてくる。


 ついでにコックさんにお願いして何か飲み物を出してもらう。



 商団で飲む分のミルクがあったので木のカップに入れてくれた様だ。コックはニコニコしながら



「孫の顔を思い出すねー早くもっていっておやり」



 と…優しいお祖父ちゃんの顔だ。



 僕は泣き止む様にコップを渡してから、



「これ美味しいから食べてごらん?涙なんかすぐ止まるよ?泣く子には飴ちゃんだよ?」



 と言って、1人ずつ飴ちゃんを渡すと…皆じっと見つめてから…



「これ飴ですか?私の知っている飴はもっと粉が付いてます。」


「イーファンも見た事ないです。知っている飴はもっと粉っぽくて口に入れたらザラザラするんです甘いけど…」


「ウーファンもイーファンと一緒です。ザラザラの飴は知ってます…でもザラザラして水が無いと飲めないんです。」



 アープが恐る恐る口に入れると



「はーーーーーーー!あまーーい!モニュモニュ…柔らかくて!甘くて!でもモニュモニュ…ザラザラしないです!飴って…本当にこれが飴?モニュモニュ…」



それを見た双子も一緒に口に入れると



「「これ好きーーー!モニュモニュ…」」



 2人は口をモニュモニュさせながらも笑顔になった。


 話さないのは口から落とさない為だろう…必死に口から飴が出てしまわない様に手を当てている。



 暫く3人は口をモゴモゴさせたあと、最後はミルクを飲んでご馳走さまをしていた。


 もう笑顔になったから大丈夫だろう。



「寝る前にちゃんと歯を磨かないとダメだよ?今の飴は砂糖いっぱい使ったお菓子だから虫歯になっちゃうのは嫌でしょう?」



 そう言ったらコックのところに行って3人とも水を貰って細長い木の棒に馬の毛をぐるぐるに巻きつけた歯ブラシ?の様なもので歯を磨き始めた。



 確かに此方の世界で僕らが使っていた歯ブラシなど期待できるはずがない。


 多分いろいろな形式のものがこの世界では出回っている事だろう。

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