第66話「探し求めていた物……その名はコボルドジンジャー」
こ…これは!
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犬小鬼の生姜 (コボルド・ジンジャー)
食用可能、生産・量産可能植物、食用根
菜類
肉厚な根茎は刺激のある風味がある。
コボルトが匂いを好み採集しては持ち
歩く為にこの名前がついた。
コボルトシャーマンはこの根汁を使い
同族を狂喜させる事が出来る薬剤や魔法
触媒に変換して使う。
食用効果
冷属性耐性向上、保温効果、興奮作用
、特定異常回復(補助)が可能。
成分に、興奮作用や保温効果、耐性強
化作用があり、特殊な成分を抽出する事
で塗り薬や、ポーション、魔法触媒にも
使用が可能。
作成可能
塗り薬、耐性強化薬(冷属性)…etc
回復系触媒に使用可能。
異常系触媒に使用可能。
防御系触媒に使用可能。
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僕は鑑定してビックリした…根茎と書いてあったのであたりの土を掘り起こす事にした。
狂った様に土を掘り出したので、ロズもエクシアも美香もビックリして見ていたが、僕が根生姜ことコボルド・ジンジャーを掘り起こした瞬間一緒になって掘り出してくれた。
皆これの美味しさを知っているのだ。
今僕が掘っていた場所は、コボルド・ジンジャーの群生地だった為かなりの量が採れた。
一通り取ったので縦に穴を深くして、フォレストウルフの遺体を埋める、このウルフはいずれ堆肥になってこの周辺の栄養を補うだろう…と手を合わせると、美香も真似していた。
「ヒロさっきのは何なんだい?手を合わせていたが…まさかフォレストウルフにか?」
「あのフォレストウルフの遺体がいずれあの場所の土の栄養となって、またコボルド・ジンジャーの群生地に役に立ってもらえる様にとフォレストウルフに祈りました。」
僕はウォーターの魔法で手を洗う3人に説明する。
今更だがウォーターの魔法が土地堀り後の土塗れの手の僕らには凄く役に立った。
エクシアは兵士たちが荷物の準備ができたのをテロルに確認して、マッコリーニ達の待つキャンプまで戻る…
「マッコリーニ商団のマッコリーニ殿、この度はクリアレイク家ウィンディア男爵のご令嬢だけで無く、私と従者までがお世話になり……面目次第もございません。」
「この件につきましては、ジェムズマインの街の大店マッコリーニ商会様に旅先で困っている所を『ご令嬢が大変世話になった』とウィンディア男爵様には必ず申し伝えます。」
「まさかこの様な美味な食事作られる、コックをお二人も抱えておられるとは…マッコリーニ商会様…今後我がテロル家も含めてより良い関係をして参りたいと思っております。」
挨拶をして令嬢の元に戻ったテロルを見送った後、マッコリーニは結菜を見やり凄い勢いで首をブンブン振っていた。
自分が言った事では無いとアピールなのだろう。
しかし結菜は調理で忙しく気にする暇などないらしい。
何故騎士の爵位を持つテロルがここ迄硬い口調を一商人であるマッコリーニにしているかと言うと、ウルフの恐怖で泣き止まなかった3人はレイカと美香と雛美にヨシヨシされ懐いた所に、結菜のこれでも泣くか!と言う程の良い匂いを発する焼肉にすっかり心を奪われてる。
3人の御令嬢のさっきまでの鬼泣きは何処へやら…ウルフの恐怖など忘れて今は各種焼肉を頬張って満面の笑みだ…それどころかあの怖いワンコはこんなに美味かったとまで言っている。
「アープお姉様!ウーファン!このラビット串焼き!美味しゅう御座います!今までに食べたことの無い味です〜はむはむはむはむ…」
「イーファン!ウーファン!このフォレストノショウガヤキ食べて見ましたか!我が家で食べるどのお肉よりも美味です!もぐもぐもぐもぐ」
「アープお姉様!イーファン!このラビットノショウガヤキも凄い美味です!いくらでも食べれます!はむはむはむはむ」
一先ず、貴族の娘から食事をとされていたが、そんなルールを知らない結菜と美香はどんどん焼いては出すものだから冒険者が匂いを嗅ぎつけて集まりだしていた。
幼い女の子にはどんだけ食べても到底無理な量だ。
魔物のいる森で貴族優先の食事など冒険者達にとって正直バカバカしいのだが、お付きの騎士がいる以上は街に帰った時に面倒ごとになるので多少は…とエクシアもマッコリーニも思い、貴族の流儀に譲歩したのだ。
しかし周りの冒険者も匂いに釣られてやってきたので、周辺がにわかに騒がしくなった。
ご相伴に預かりにきたのだ。
同じ釜の飯を食う冒険者は絆が深くなるとされている。
なので僕は、翌日の貴族の脱輪した馬車の手伝いを条件に食事を振舞ったどうだろう?とエクシアに言ったら、エクシアはテロルに話をしてから周りにその事の約束を取り付けていた。
一先ず焼いた肉をそれぞれの冒険者に渡して自分の所で食べてもらう感じにするつもりだったが、エクシアはテロルを介してここの冒険者の皆が脱輪した馬車を泥濘から出す約束をした事をお嬢様達に説明して、彼等にも今から飯を渡す許可を…と話をしたら長女は出来る子だったらしく…明日の馬車を路肩から出す手伝いのお礼と共に、貴族の行う食事の礼儀は外では無用となり…無礼講になったわけだ。
アープちゃんは幼いのに出来る子だ!
それから焼肉祭りになった。
此処からであれば明日の昼過ぎには街に着くので、今まで狩りで集めたフォレストウルフの可食部と、うさぎ肉は食べてしまっても問題無いらしく片っ端からマッコリーニのコックがさばき、結菜が味付けして焼くと言う流れになった。
各冒険者は自分の持っている食材を幾らか持ち寄ってはマッコリーニに渡していた。
それらの品はどこかの特産らしくマッコリーニはかなり喜んでいた。
焼肉の味付けを終わった結菜は焼くのをお付きの2人に代わり、今はスープとサラダをマッコリーニのコックと作っていた。
「焼肉だけだと栄養が偏るので、野菜類を使ってスープとサラダも作ったので、皆ちゃんと食べてくださいね!冒険者は体が資本!栄養が偏れば力が出ませんよ!」
「栄養が偏れば、身体を壊します!冒険できなくなったら嫌でしょう?だから!ちゃんと各栄養を満遍なく!取りましょう!」
結菜のその一言で冒険者は、歓声を上げてスープ皿や平皿を取り出し掲げて大声で喜ぶ…何故か3人のお嬢様達にレイカも加わりスプーンを掲げて可愛い声で「食べる〜」と叫んでいた。
食事後に、僕のスライムと遊んでいたレイカが気になり三人娘が寄って行く。
レイカはまたもや餌付け中だ。ジャーキーの燻製、塩味、醤油味、香木燻製を小分けにして与えている。
そしてその傍には何故かクルッポーまで居た……勿論餌付けされている。
助けた兵士たち3人は今日の食事の礼と薬のお礼もあり、傷に軟膏を塗り込んだ後に一番手の夜営の見張りに立っていた。
その後は飯をご馳走になった冒険者が持ち回りでやるので僕らは寝ていい事になった。
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