人魚姫

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。今回は人魚姫をハッピーエンドにする方法を考えましょう」

「あの作品は、どうやってもハッピーにはならないだろ」

「そうですかぁ? そもそも彼女、押しが弱すぎるんですよ。私が命の恩人よって王子に言えばいいじゃないですか」

「呪いで声が出なかったんだろ」

「筆談すればよろしいのでは?」

「人魚だから人間の字が書けなかったのかも」

「ならばボディランゲージで伝えてください。あるいは顔芸」

「顔芸でコクるとか、芸人かよ」

「ちなみにわたくし、外国では身振り手振りで食事を注文しますが、高確率で頼んだ物と違うメニューが出てきます」

「ダメじゃないか」

「マクドナルドでお子様セットを頼んでしまった経験もありますよ。おまけは西遊記マスコットでした。さすが中国」

「お前自身が失敗してるのに、人形姫にボディランゲージを強要するのは良くないぞ」

「まあ確かに。その後、王子は別の女性と結婚し、絶望した人魚姫は海の泡になってしまいます。ここで話が終わるバージョンもありますが、その後、呪いのナイフを手に入れるバージョンもあります」

「呪いのナイフ?」

「はい、魔女のナイフです。それで王子を刺し殺し、心臓の血を足に塗れば、彼女は人魚に戻れるのです」

「そのバージョン、俺は知らないな。結末はどうなるんだ?」

「王子の寝室へ忍び込みますが、彼を刺し殺すなんて無理で、人魚姫は泣きながら海の泡になりました」

「結局泡になるのか」

「まさに全部が水の泡ですよね。そんな男刺したらいいのに。もしくは相手の女を刺すか」

「それはヒロインとしてどうかと」

「とにかく、人魚姫のように遠慮していたら、恋は実らないということですね。我々はこうならぬよう、ボディランゲージの特訓をしましょう。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

「問題はそこじゃないだろ」

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