亀レス

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。漫才中はツーカーのコンビ芸人が、私生活では意外と仲が悪いというのは、割とよく耳にする話ですよね。たとえばガチャピンとムック」

「ガチャピンとムックは芸人じゃないだろ」

「わたくしと浦島殿は、私生活でも大変仲が良いです」

「そうかぁ? 俺、お前の本名知らないし、いっつも返信が遅いからメールもしたくないよ」

「亀だけに亀レス」

「話題をそらすな。返信が遅いのは事実だろ?」

「それはほら、前にも申し上げましたが、わたくし自宅が圏外ですので、半日くらい遅れて届いたりするんですよ。せっかく質問系のメールをもらっても、なんかタイミング逃しちゃってるし、もう返信しなくていいかな……みたいな」

「ダメだろ」

「ダメですか?」

「チェックが遅くなった時こそ、真心を込めて返信しないと」

「えー……面倒だからスタンプで適当に済ませようかな……」

「いや、ちゃんと文章を書けよ」

「というか、スタンプ選びも面倒ですよね。内容よく読んでませんけど、とりあえず『OK!』って送っときます」

「それ、仮に『もう別れよう』って書いてあったらどうするんだ?」

「『もう別れよう』『OK!』……斬新ですね」

「ノリ軽すぎ」

「レターパックライトで離婚届を送るのもノリ軽すぎだと思いますけど」

「その話はもういい。あと、自宅が圏外だったのは昔の話だろ? 今はWi-Fiがあるんだから、メールが届かなかったとは言わせないぞ!」

「やだ……浦島殿ってば束縛系の彼氏みたい……」

「くそっ、俺はメールに返信しない亀を注意してるだけなのに何故悪者扱い……!」

「文字だけのメールは寂しいから、用事がある時は電話して欲しいな。浦島殿の声が聴きたいっていうか」

「急にぶりっ子するんじゃない」

「メールが面倒な皆様は、非難されたらこの言い訳を使うといいですぞ。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

「最低なオチだな」

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