利き耳

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。秘密の話があるので、耳を貸してくだされ」

「なになに?」

「こう言われて出した方が利き耳です。浦島殿は右耳ですね」

「手には右利きとか左利きとかあるけど、耳にもあるのか?」

「あるのです。右耳で受け取った情報は左脳へ運ばれます。左脳は計算や記憶を担っているので、勉強する際は右耳で聴くのが良いでしょう」

「ふーん」

「逆に、左耳で受け取った情報は右脳へ運ばれます。右脳は感情を担っているので、音楽などは左耳で聴くと、より感動するかもしれません」

「その理屈でいくと、恋愛は……」

「はい。相手の至近距離で愛をささやく場合は、感情を動かす左耳に話しかけるのが良いでしょう。壁ドンの際は注意してください」

「だから、壁ドンはファンタジーだとあれほど」

「ふっふっふ。壁ドンは少女漫画が生んだ幻想に過ぎない。あなたは今、そう思っていますね?」

「実際そうだろ?」

「ですが、考えてもみてください。壁ドンして愛をささやくのはタダですよ? チロルチョコより安いんですよ? それで女性に喜んでもらえたら、めちゃめちゃお得じゃありませんか?」

「発想が大阪人」

「ちなみに、愛は左耳にささやくべきですが、左右を間違えないよう注意してくださいね。自分から見て右側が彼女の左耳です」

「そんなこと間違えないだろ」

「いえいえ。バスガイドをしていると、『左をご覧ください』と言う時、自分とお客さんは逆なので意外と間違えるんですよ」

「お前、バスガイドの経験もあるのか?」

「何故かあります」

「謎が多いな……」

「話がそれましたが、彼女の誕生日プレゼントに悩んでいる皆様は、ここは1つ壁ドンを贈ってみてはいかがでしょうか? 原価ゼロ円ですぞ(ニヤリ)」

「ニヤリとするな」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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