亀と浦島の恋愛講座

友情・努力・勝利

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。浦島殿は、ジャンプの3原則をご存知でしょうか？」

「友情・努力・勝利だろ？　ヒット作に必ず含まれる要素だな」

「逆にその反対の要素は、読者が望まないということですね」

「反対ってことは……」

「ぼっち・怠惰・敗北」

「ん、待てよ？　それってつまり、この連載のことじゃ……？」

「1つずつ検討しましょうか。我々は非モテですし、コミュ難で友達もいないので、ぼっちでございます」

「け、けどさ、俺たちは怠惰じゃないよな？　こうして毎日講座を開いてるんだし」

「ですが、浦島殿には一向に彼女ができません。方向性を誤った努力は、そもそも怠惰と変わらないとも言えます」

「リーチじゃねえか」

「最後の要素、敗北についてはどうでしょう？」

「俺が……俺たちが独身（かちぐみ）だ！」

「その発言自体が完全に負け惜しみですよね」

「つまり、この連載は『ぼっち・怠惰・敗北』という、読者が望まない不人気要素を意図せず満たしているわけだな。道理で過疎るわけだ」

「ふっふっふ。その発想は、偽マリトッツォのように甘いですぞ浦島殿」

「何……だと？」

「友情・努力・勝利は、最初から手にしている必要はないのです。むしろ最初は持っておらず、連載が進む中で手に入れる。その過程が楽しいのでは？」

「た、確かにジャンプの主人公って、最初は弱いし仲間も少ないよな……。つまり俺たちは、まだ1巻の途中くらいってことか？」

「そうです。わたくしの予定では、2巻で友達が登場し（友情）、3巻でバトル能力を磨き（努力）、4巻でその友達を倒します（勝利）」

「いや、友達倒したらダメだろ」

「果たし状はレターパックで送ります」

「聞けよ」

「ジャンプの3原則を忠実に守りつつ、最新トレンドの裏切りも取り入れる。これはアニメ化待ったなし！」

「打ち切り待ったなしだろ」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした。らくだ先生の次回作にご期待ください」