闇落ち

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。この連載が10万字を超えたことは、昨日ご報告した通りでございますが、正直ネタ切れで書くことがありません」

「仮に事実でも、はっきり言うのは野暮だぞ。もう少しオブラートに包んでくれ」

「(((ネタ切れ)))」

「わかったよ、本当に苦しいんだな……」

「長期連載がマンネリ化した時のテコ入れといえば、新キャラの投入ですね」

「そもそもこの連載は長期ですらないが、少年マンガでよくあるパターンだな。しかし……なぁ?」

「何です?」

「この世界線で新キャラが来るとしたら、あの女だろ? そもそも原典からして、登場人物が極端に少ない作品だから、他に候補がいないような」

「あの女が来るとは限りませんよ。新キャラは、冒頭でわたくしをいじめたクソガキという可能性もあります」

「あのクソガキを恋愛講座に出すのは、さすがに無理がありすぎるだろ」

「今でも無理しかない連載ですから、そこは何とでも」

「けど、お前をいじめた相手だぜ? 呼びたくないだろ?」

「前世のアレは、ただの演技でございますよ。亀がいじめられていたら、浦島殿は確実にわたくしを助ける。そうすれば、竜宮城へ連れて行く口実ができる。泣いた赤鬼作戦ですね」

「つまり、全員グルだった……?」

「序盤で登場した脇役が実は悪の一味だった。これも少年マンガでよくあるパターンです」

「なんてことだ! もう誰も信じないぞ!」

「主人公が人間不信になって闇落ちするのも、よくあるパターンですね」

「そうそう。その後、制御しきれない絶大な闇の力を手に入れるんだよな」

「ただ、この連載は一応現実に即しておりますので、浦島殿が闇落ちして魔王化することはありません」

「ちくしょう、魔王になったら合コンでモテるだろうに……!」

「イヤですよ、合コンに参加する魔王なんて。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る