はい、あーん

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。結婚式の定番演出といえば、先日話題にした花嫁の手紙ですが、ケーキ入刀と『はい、あーん』も割とよく見る演出ですよね」

「はい、あーん? ケーキ入刀はともかく、そんなのあるっけ?」

「ありますよ。司会者が『せっかくケーキを切ったのですから、新婦が新郎に食べさせてあげては? ケーキの大きさは愛の大きさ。さあ、新婦の愛はどれくらいの大きさでしょうか!?』と言って煽るんですよ。で、花嫁が一口では食べられない量のケーキを押し付けて、花婿の顔がケーキまみれに……までがお約束です」

「俺は見たことないなぁ」

「そうですか? わたくしは3回くらい見たので、定番の演出かと思いましたが」

「逆バージョンはないのか? 新郎が新婦に巨大なケーキを食べさせる、っていう」

「それは見たことないですね。だってほら、公の場で女性の顔を汚すわけにはいかないでしょう? メイクも崩れてしまいますし」

「仮にやったら大ヒンシュクだな」

「それはそうと、『はい、あーん』はラブラブカップルの象徴ですよね」

「だな。公園デートで手作り弁当を食べさせてもらう……とかいいよなぁ」

「筆者もそのシチュエーションは憧れるそうですよ」

「へえー、珍しいな? いつもはリア充爆発しろ! みたいな態度なのに」

「そんなことありません。口を開けただけで食べ物が運ばれてくるなんて、どう考えても幸せじゃないですか」

「え、食べる方……? 彼氏に食べさせる方ではなく……?」

「ん? 弁当といえば、作るものではなく食べるものでしょう?」

「なるほど、こりゃ離婚するわけだ……」

「わかっていただけて何よりです」

「満足そうにするな」

「ともかく、公園で『はい、あーん』からの膝枕デートとか最高ですよね。筆者は料理できない系なので、せめて創作で楽しもうと思います。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る