腕枕

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。浦島殿は恋人と一緒に眠る際、どのような姿勢で寝ていますか?」

「俺に恋人がいないと知りつつ質問するのはやめてくれ」

「おっと、これはとんだ失礼をば!」

「謝罪が煽りに聞こえるぜ……」

「ところで、カップルで共寝する際、腕枕をなさる方も多いのではないでしょうか。女性側は彼氏に包まれているようで安心しますし、男性側も彼女が自分の腕の中にいるのは嬉しいですよね。ピロートークも盛り上がるというものです」

「確かに、腕枕って1つの理想だよなぁ」

「ですが! 甘く見てはなりませぬ! 無計画に腕枕をすれば、その腕は翌日筋肉痛確定ですし、自由に寝返りが打てないため全身バッキバキでございます! 夜中に何度も目覚めて『これは苦行かな?』と思うこと間違いなし!」

「またそうやって、悪いところばっかり広める……」

「事実ですぞ。初めて彼女に腕枕をした翌朝、あなたは寝返りの大切さを思い知ることになるでしょう」

「でも、じゃあどうしたらいいんだ? せっかく同じ布団で寝るのに、背中向けてオヤスミってわけにもいかないだろ?」

「そこはあれです。相手が寝てしまったのを確認したら、男性は腕を抜き、女性は頭をどけるのがよろしいかと。あるいは、途中で身体を離して、手繋ぎに切り替えるのもいいでしょう」

「なるほど」

「わたくし個人的には、腕枕はあくまで後戯の一種と心得ております。あの体勢で寝ようなどと思ってはいけません。逆に寝ている方がいたら、コツを教えてください。マジで」

「確かにそういう話って、あまり人には聞けないから気になるよなぁ」

「まあ夫婦仲が破綻して、互いに別室で寝るようになれば、そんな悩みもすっきり解消しますけどね!」

「結論がおかしい」

「わたくしは前向きなだけですよ。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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