コンコルド効果

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。おや? 浦島殿、スマホとクレジットカードを握り締めてどうしたのです?」

「大丈夫……あと1万円で絶対に引ける……! 水着の推しをゲットできる……!」

「ソシャゲに廃課金ですか」

「廃課金? 違うぜ、俺は無課金(無理のある課金)プレイヤーだ」

「一緒ですな」

「でもさ、ガチャって一種のギャンブルだけど、実際やめどころが難しいんだよな。課金したのに欲しいカードが出ないと、引っ込みがつかなくて、出るまで注ぎ込んでしまうというか」

「いわゆるコンコルド効果ですな」

「コンコルド効果?」

「まさしく今の浦島殿の状態ですよ。『これだけ投資したのだから途中でやめたくない』という心理です。ギャンブル以外にも、恋愛でよく起こりがちですね」

「恋愛でも起こるのか」

「はい。本当は別れたいと思っているのに、『あれだけ貢いだんだから』とか、『3年も付き合ったんだから』という気持ちが働いて、ずるずると交際を続けてしまった経験、浦島殿はありませんか?」

「ないぜ!」

「それは見直しました。さっぱりとした性格なのですね」

「そもそも貢ぐ金がないからな」

「ソシャゲには課金するのに?」

「それは別だ。カレーライスとハヤシライスくらい別だ」

「似てますやん」

「どこが! いいか、亀? いくら頑張って彼女に貢いでも、逃げられたらそこで終わりだぞ? 一方ソシャゲの推しは、一度ゲットさえすれば、俺の前からいなくならない! 寂しい夜も『浦島さん大好き』って言ってくれる! ただしサービス終了の可能性はある」

「自分でオチをつけましたな」

「けどまあ、コンコルド効果についてはよく覚えておくよ……。俺の諭吉はもう限界だ……」

「はい。恋愛も課金も、楽しんでする分には問題ありませんが、ずるずる続けて後で後悔するのは避けたいですよね。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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