スマホチェック

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。浦島殿、昨日教室にスマホを置いたまま帰ったでしょう? わたくしが預かっておきましたぞ」

「おっ、ここにあったのか。サンキュー」

「ところで、電話帳のユミコさんとは、どういった関係でございましょうか?」

「うっわ、スマホチェックしやがったな(ドン引き)」

「ちゃんと質問に答えなさいよ! ユミコって誰よ!」

「いや、それはバイト先の店長だから」

「バイト先の店長と34分も話すなんておかしいでしょ!」

「その時はたまたま、シフトの相談が長引いて……っていうか通話時間までチェックしてんの? 怖すぎない?」

「という事態を避けるためにも、スマホにはロックをかけておきましょうな」

「急に素に戻ったな」

「今のは悪い例でございますよ。いくら恋人であれ、相手のスマホを無断でチェックするなどもってのほかでございます。たまにそういう話を聞きますが、彼女側であれ彼氏側であれ、わたくし感心いたしませぬぞ」

「まあ、する側の心理は何となくわかるけど、されて嬉しい人間はいないだろうな」

「する側の心理、とは?」

「要は不安なんだろ。自分の他にも、親しい異性がいるんじゃないかって」

「仮にも恋仲ならば、相手を信じたらよろしかろうに……」

「だよな。まあ俺の場合、見られて困るデータは特にないけど」

「はい。電話会社をハッキングして通話記録を調べたら、ユミコとの34分の会話は本当にシフトの相談でした」

「全然信じてないじゃないか!?」

「という事態を避けるためにも、もう一度申し上げますが、スマホのロック機能を活用しましょう。パスワードを相手の誕生日に設定すると、ラブ・アピールはできますが、スマホチェックされた際すぐに解除されてしまいますぞ。まさしく諸刃の剣でございます」

「俺もこの機会に複雑なパスワードを設定しよう……」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る