第2ボタン

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。今は3月、卒業シーズン真っ盛りでございますな。わたくしの世代にとって、卒業式といえば第2ボタンでございますが、浦島殿はお若いのでこの風習をご存知ないかもしれません」

「いや、知ってるぜ? 卒業式の後、女子が好きな男子に告白して、記念に学ランの第2ボタンを受け取るんだろ? 好意の証って意味では、バレンタインのチョコレートみたいなもんだよな」

「おお、よくご存知ですなぁ」

「へへん、お伽話の主人公ナメんなよ」

「どうして第2ボタンなのかは諸説ございますが、一説では、心臓に一番近い位置だからだと言われております。こう、彼のハートをゲット的な? とはいえ最近は、学ランの制服が減っております故、それもこの風習がすたれてしまった大きな要因かもしれませぬ」

「確かに、周囲の高校生を見ても、最近はブレザーの制服が多いように感じるな」

「ブレザーですと、第2ボタンは上半身ではなく、むしろ下半身に近い位置についておりますからなぁ」

「そうなると、ゲットするのは胸ではなく股k……」

「ブッブー! それ以上はNGワードでございますぞ! とにかく、ここ最近は下火になってしまった風習ですが、制服が学ランの場合は気になる彼にねだってみるのも一興でございましょう」

「ボタンください=好きです、だもんな!」

「ちなみに浦島殿の出身校は? 学ランでしたか?」

「ああ。でも男子校だったから、俺のボタンを欲しがる子はいなかったよ」

「まるで、共学だったらいたような口振りでございますな」

「い、いいじゃないか! 夢くらい見たって!」

「もちろん、夢は大切でございます。何はともあれ、卒業式は想いを告げる絶好のチャンス。皆様の告白が上手くいくよう、亀も陰から応援しておりますぞ。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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