第120話 逸美ちゃん

レコード屋さんのバイトは面白かった。

お金にはならなかったけど。


と、言うのは・・・。当時の風習で

デビュー前のアイドルが、歌いに来たり。

プロモーションが、結構あった。


このレコード屋さんは、全国チェーンの結構大きなお店なので

そんなイベントは楽しかった。



よく覚えているのは、大沢逸美ちゃん。


俺とそんなに背丈が変わらなくて、ぺったんこの靴を履いても

足は俺より長い(笑)。



マニッシュな雰囲気のプロデュースだったけど、お話をすると

可愛い女の子で。



俺がもじゃもじゃパーマ(笑)なので「バンドの人ですか?」とか言って。


普通は、そういうイベントってカラオケテープかなんかなので

生演奏だと、楽しいとか、にこにこしていて。



「いや、俺はお店のアルバイト。音楽はしてるけど」



とか言うと、楽しそうに「がんばってくださいー」とか。

普通の女の子、と言う感じ。


オートバイも興味があるみたいで


お店の前に停めたXVを、ちょっと見ていたりしたので



「あれ、俺の」と言うと



「きれいなデザインですね。すっきりしてて」と・・・・。


XVは、アイドルにも人気なのだった(^^)。



田舎なので、地元のケーブルTVとかが取材に来てたりして

隣に居たから、俺も映ったりして(笑)。



アイドルって言っても、売れる前だから

マネージャーふうのおじさん、スーツのふつうの営業マン、みたいな人がひとりで。


そのふたりで、あちこち回っているらしい。



イベントは、それでも結構観客が来たりして。



ここのお店は、オーディオのお店も一緒だったので


いいPAで、結構いい音のカラオケで何曲か歌ったりした。


あんまり、歌は印象が無い(笑)。





・・・サインもらっとくんだったなぁ(笑)。



控え室、と言うかレコード屋さんの

来客室で

何か、書き物をしていたから


歌詞か何か、書いているのかもしれないな、と・・・・。


まだ、ケータイ電話が無い時代だったから



「俺のケータイ番号」なんて渡しようがなかったりして(笑)。





他にも、そんな歌手のプロモーションがあったけど

この子は、なんだかとても印象に残っている。



カメラって言うと、銀塩フィルムの時代だから

こういう時に写真、なんて撮る風習もなくて。



持ってたら、写真撮っといただろうと思う。



XV750Eは、何故か女の子に人気があったようだ。


不思議。日本では全く不人気だったし

ヨーロッパでTR1がツーリストに評価されたくらい。




でも、乗るといいバイク。


飛ばしてもかなり速いのだけど、飛ばさなくても楽しいバイクだから

自然とペースは、のんびりになってしまう。



マーガレットラインとか、ビーナスラインとか。

そういうところを楽しみながら走ると、いいみたい。





XVは2年ちょっと乗って・・・・当時は許可されていなかった

ユーザー車検も、ディーラーの振りして通したりした。


知り合いのクルマディーラーの人、と言う事にして

プロの顔(笑)。



もっとも、クルマディーラーだってバイク車検はシロートだから

同じなんだろうけど。



当時だから、まだ運輸省。


一台ごとに、メジャーで寸法測ったりしてた。


排ガスは、まあ自分でやるんだけど。それはまあ、簡単。



ライトの光軸も、ちょっと低かったので

お尻を押して(笑)クリア。



ブレーキ検査も、まあ、楽。

だけど、タイヤを挟まれるのでちょっと怖かった。



スピードメーター検査も、ダイジョウブ。



一発で通ったけど。




けっこう、落ちてる人もいて・・・・

車検場の壁でライトあわせてる人とか。


押しかけしてるひと、とか。



最近みたいに「整備禁止」なんて書いてなかったので

アイドルを上げたりとか、してたね。みんな。



俺のXVも、マフラーを抜いてあったけど

そんなに大きな音ではなかったから、クリア。



この辺りは検査官の主観で、いちいち測ったりはしてなかったみたい。


ハンドルもXJ750Eの純正に変えてあったけど、まあ、クリアー。


これはオマケみたい。






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