第106話 愚っ痴言うゾウ

なぜか、ヤマハのバイクは女の子に人気だった。

デザインかな、と思う。


CBXにする前はXV750Eだったのだけど、あれは

まず街では見かけないのもあって。


喫茶店に止めておくと、女店主が「あの、グレイのシックなバイクはどなたの?」とか。


Yは、モトグッチ850ルマン2に乗ってきているのに、なぜか注目されない(笑)。


ので、愚痴っていた(笑)。


イタリアーンのバイク、ぜんぜん高価なのに。



と言う訳で、俺とNし山は彼を「愚っ痴言うゾウ」と呼んでいた(笑)。


Y、怒る怒る(w)。



目立ちたいのだろう。MVアグスタ750ss(ホンモノ。日本に2台しかないと言う・・・

レプリカではなく、レースに出ていたものに保安部品をつけたもの、とか)。


を、持って来ても、女の子は知らん顔。



まあ、アグスタだろうとアヌスだろうと(笑)


キタネー中古車くらいにしか見えないのだろう。

そんなものだ。俺も「Z2みたい」と言ったら


Yは激怒していた。「冒涜している」とか。


ヤダヤダ、うんちくオタク(笑)。



当時、300万円だったらしい(Yは、事故車をレストアしたので20万だったとか)。



その頃、高卒・事務職の初任給が7万だったから・・・・


今だと900万くらいの価値があったのだろう・・・が。



乗ってみると、やっぱZ2みたいだった(笑)。





カワサキが売れるわけだなぁと、思った。その時。




カワサキZ2をセパハンにして・・・と言うと、マンガだな、やっぱ。それ。


知人にいた。あの、ビモータ・カラーに塗ったZ2を860ccにして

乗ってる。


顔は似て居ない(笑)。







スーパーのバイトの子は、いっぱい可愛い子が居て。



久美ちゃんは17歳、高校に通っているのだけれども

両親が和食のお店をやっていて、高校を出たら

板前さんと結婚して、お店を継ぐ・・・・と言うサダメの

ちょっと、いまどきめずらしい子だった。



けど、そのサダメがそんなに・・・気にいっていないらしくて。


高卒まで、と言う約束でスーパーでバイトしていると言う子。


丸顔で、ぽちゃぽちゃで。


ショートカット。


なーんとなく、そのサダメのせいか暗い顔してる子だったけど

たまーに、レジが隣になると


なんか、話しかけてきて。その時だけは楽しそうに。


料理のハナシとかして。


なんか、手の大きさを比べたいと言って、俺と掌を合わせたりとか

触りたがる子だった。





パートのおばさんたちも、久美ちゃん推しは多かったので・・・・。


サダメから逃げたくて、誰かに縋りたいのかもな、と思った。




映画の「男はつらいよ」でも


1作で、御前様のお嬢さんが結婚の前に、寅さんに甘えて

オートレースに連れてってもらったり、羽目を外して。



ああいう事をしたかったのかな、と・・・・思ったりもした。




バイトの最終日、この子はホントに涙を流して泣いていた。



女の子は、割とサダメで生きてるんだなぁ、なんて思ったりもして。



前述、朋ちゃんも

別にナースになりたいワケでもなくて、親が町工場をしていて

借金が多いので、ナースをして、空き時間で


スナックでアルバイトする、なんて娘だった。


今は流行らない、そういう子は割りと多かった時代だった。



そうそう、終身雇用の時代だったので

俺みたいに、五体満足で定職に付かず・・・なんてのは

珍しかったのだろう。



ふつーの娘は、割と興味本位で珍獣を見ているような(笑)




まあ、Yは更に珍獣扱いで・・・・。

女の子は近寄ってこなかった。(まあ、うんちくオタクだし・・・)。

人は悪くないのだが、愚っ痴言うゾウだし(笑)。


ね。




俺の方がヨッポド悲惨な暮らしなのだが(ほのぼの高校に書いてあるように

親が借金王、会社潰した、病人、とか)。



Nし山も悲惨なのだが、家庭は。


そういう人の方が明るいのだろう。ニューオリンズのジャズとか、R&Bみたいに。




なぜかYは暗かった。

不思議である。

水戸藩ご見医の末裔、お金持ちなのに。



女の子はそこまで見ないから、

暗いのはイヤなんだろう(笑)。






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