18-6 盲目愛薬、つまり材料が欲しい
その後、兄さんは十点の『
「大丈夫、まだ点数差で言えば三点四点くらいだから、ここから追い付けるよ」
そして、次の
「『
悔しそうに
「ここじゃない方が良かったのか。いやでも、他はそもそも材料の数が足りないし」
「
そっと聞けば、
「あ、ごめん。大丈夫」
「
「うん、悔しい。でも大丈夫。うまくいかなかったから、ちょっと……だいぶ悔しいけど。次で取り戻すから。それに、こうやって悔しがるのだって、楽しいんだよ」
そういえば、
わたしは
「わたしも、兄さんに勝てるように頑張ってみる」
「お互い頑張ろう」
そうやって笑い合って、わたしの手番になった。
とは言ったものの、抽出器の色の並びはあまりうまくいってない気がした。取ることができたのは、『助力』も使って、黒三つと黄色二つがやっとだった。
それでも、三点の『
校長先生は、丸フラスコの首に三点のリボンを巻いた後、その杖の先をわたしの胸元に向けた。わたしの胸元が光って、金色の丸になった。金色の丸の周りを赤いリボンがひらひらと飾り、最後に二本のリボンの足。その片方には「4」と書かれていた。
この金と赤のバッジがどうやら『技能トークン』らしい。『
次のレシピで点数の高いものを選ばないと、と思ったのだけど、一番点数が高いのは六点の『
だったら五点の『
わたしが『
兄さんはとても順調そうに見える。『
六点の『
新しいレシピを選ぶときには、悩むこともなく十一点の『
兄さんが『
こんな状態で兄さんに追い付けるんだろうか。不安になって
わたしは自分のレシピを見る。五点と七点の『
二つ合わせて十二点で『技能トークン』ももらえるから十六点。そう考えれば、そこまで悪くないはずだ。
次の
「これで、なんとか追い付けたと思うんだけど」
追い付けた、と言いながら、
そして次はわたしの手番。
五点の『
七点の『
持ち越している材料は赤と黒が一つずつで、今は何にも使えない。
つまり、わたしには青と黄色が必要ってことだ。青と黄色、と呟きながら抽出器を睨む。でも、青と黄色の両方が手に入りそうな場所が見付からなかった。
仕方なく選んで手に入ったのは、黄色が一つと青が二つ。このままだと薬二つどころか、一つも完成しない。
何か薬を飲んだら、と思い付いて自分の作業台に並ぶ薬を見る。残っているのは『
一回使用した薬の効果を使うことができる。つまり、わたしは『
わたしは恐る恐る、その砂のような見た目の薬を口にした。口に入るとほんのり甘くて、ラムネのようにしゅわしゅわと溶けていった。見た目通りに砂みたいだったらどうしようと思っていたから、ほっとして全部飲み切った。
そして、フラスコを置いてから、
「
両手を合わせて
「
後ろから兄さんの声が聞こえて振り向く。呆れたような兄さんの表情に口を尖らした。
「兄さんと
「なんだそれ」
わたしは兄さんを無視して、もう一度
「お願い、
「いや、そんなに言わなくても大丈夫だよ……薬の効果で拒否できないから」
嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが半分くらいずつ。その気持ちのまま、
「ありがとう。本当にごめんね」
「いや、ほんと、あの、薬の効果だからね。そんなに気にしなくて大丈夫だから、本当に。薬の効果なんだから」
そう言って
それで、わたしは
でも、本当は、もう一つも完成させたかった。こんな調子で勝てるんだろうか。少しは追い付けているんだろうか。
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