game 15:チョコレートファクトリー ボードゲーム紹介

 こんにちは。大須だいす伊佳瑠いかるです。ボドゲ関連では「いか」と名乗ってます。相席同卓は歓迎なので、ボドゲカフェなんかで一緒になった時はよろしくお願いします。

 さて、今日は『チョコレートファクトリー』というゲームの紹介です。


 チョコレート工場を経営する一週間。従業員を雇って新しい工場装置を設置して工場を拡張して、少ない石炭をやりくりしてチョコレートを生産。そのチョコレートは華々しくデパートで売り出すか、堅実に路面店で売り上げるか。

 このゲームは、そうやって生産したチョコレートを販売してお金──つまりは勝利点を稼ぐゲームです。

 中に様々な要素が詰め込まれた楽しいゲームになっています。


 一日のはじめに、まずは従業員や工場装置を選びます。

 プレイヤーは、公開されたそれらのカードを順番に一枚ずつ選んでいきます。全員が一枚選んだら、最後のプレイヤーから逆回りで一枚ずつ。こういう方法をカードゲームではロチェスタードラフトと呼ぶそうです。

 自分の欲しい工場装置を選びたい、でも従業員も欲しい。これを隣のプレイヤーには渡したくない。など、それぞれのプレイヤーの様々な思惑が飛び交うことになります。


 新しく手に入れた工場装置はすぐに工場に設置します。どこに設置するのが効果的なのか、装置をどう組み合わせたら効率よくチョコレートが生産できるのか、そうやって自分の工場を拡張していく楽しさは、エンジンビルドと呼ばれるメカニクス(ゲームのシステム、仕組み)です。

 エンジンビルドというのは、エンジン──ゲーム内の資材などを変換する装置や仕組みを構築ビルドするゲームのことを呼びます。

 例えばこのゲームであれば、カカオ豆をココアに、ココアをチャンクバー、チャンクバーをキャラメルチョコに、というような変換・生産ラインを自分の工場に作り上げること、その構築がエンジンビルドです。

 また、手に入れた従業員は雇ったそのラウンド(曜日)にだけ使用可能な能力を持っています。最初の選択の時点で自分の工場装置と従業員の組み合わせを考えておくことも重要です。


 そうやって工場を拡張した後は、実際に工場装置を稼働して、コンベア上を次々流れてくるカカオ豆を材料にチョコレートを生産していきます。

 工場装置の稼働には、必要な石炭などの制限があり、どの組み合わせでどの順番で稼働させたら必要なチョコレートを生産できるのか、燃料の石炭は足りるのか、などパズルゲームのように楽しめます。

 大抵の場合は、石炭不足に悩まされることになります。少ない石炭をどう采配するか、工場の稼働では他プレイヤーから邪魔される要素はないので、純粋に自分一人の腕の見せ所です。


 そして生産したチョコレートは出荷して、注文を履行します。注文には、プレイヤーごとに発生する路面店からの注文と、全員共通のデパートからの注文があります。


 路面店からの注文は、必要なチョコレートを必要な数揃えることで、指定の金額が手に入ります。一回の注文で完了する小型店、二回の注文の中型店、三回の大型店があり、大型店の方が履行時に手に入る金額は高めになっています。

 ですが、注文を完了したカードの枚数が一番多いプレイヤーは、ゲーム終了時にボーナスがもらえます。であれば、完了しやすい小型店の注文を多めに受けて完了数を増やすのも悪くはない選択。


 もう一つのデパートからの注文。デパートからの注文は、どれだけ履行してもゲーム中はお金になりません。ゲーム終了時にデパート毎にそのデパートへの影響力が大きい順番にお金をもらえる仕組みです。

 ただし、二位以降の人は条件次第ではお金をもらうこともできません。デパートに納品しても、無駄になる可能性もあるのです。

 デパートの注文で得られるお金は、なかなか大きめの金額が設定されています。無駄になるかもしれないから、と放置していれば、その金額は全て他プレイヤーのものになってしまうでしょう。

 そして、この要素がゲームを一層悩ましくしているのですが、そのラウンド(曜日)にどのデパートの注文を履行できるかは、そのラウンドに雇った従業員によって決まります。

 特定のデパートの注文を履行したい場合、あるいはそのデパートの注文を他の人に履行してもらいたくない場合、最初に従業員と工場装置を選ぶ時点で、そのデパートに対応する従業員を選んでおく必要があるということです。

 三カ所以上のデパートの注文を履行すればその数に応じたボーナスもあるので、それも狙うとなると従業員選びがとんでもなく悩ましくなります。


 この『チョコレートファクトリー』というゲームには、こうした全ての要素がうまく絡み合って綺麗に収まっています。他のプレイヤーと競う部分と一人で考える部分、それから程よいランダム要素、それらがバランスよく楽しめて、いろんなチョコレートを詰め合わせたギフトボックスのような、そんな印象のゲームです。

 日を追う毎に生産できるチョコレートが増えてゆくことで、自分の工場が大きくなっていくのが実感できるのも楽しい。

 それから、工場ボードの上を流れるコンベアの仕掛け、コンベアに乗って流れてゆくチョコレート駒のカラフルさも楽しい要素です。

 機会があればぜひ実物を見てください。




『チョコレートファクトリー』


・プレイ人数: 1〜4人

・参考年齢: 14歳以上

・プレイ時間: 60〜90分



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