第148話 マッサージ(意味深)
あれから数分後、
「随分と硬いですね〜?」
「っ……」
「ふふ、肩のことだよ。莉斗少年がさっきから隠してる場所の事じゃないから」
「べ、別に隠してなんて……」
「女の子にあんなことされたら、そりゃそういう反応にもなるよ。大人の女である夏菜さんは、そんなことに恥ずかしがったりしませーん♪」
彼女はからかうように耳元に顔を近付けてくると、「お姉さんの経験人数、知りたい?」と艶めかしい声で囁いてくる。
「いや、その……」
「ぷっ。もう、反応が可愛いなー!」
「か、からかわないで下さい!」
「からかってないよ? あれだけ女の子に囲まれていながら、女慣れしてないなんて可愛い以外の何者でも無いよ」
「だって、夏菜さんと
「ドキドキしちゃう?」
莉斗が小さく頷くと、夏菜さんは興奮気味に彼へと抱きついた。
顔に胸を押し当てられた莉斗は、苦しいやら幸せやらで目眩がしてしまう。何とかギリギリで離れてくれたから助かったけれど。
「私ね、こんなところで働いてるから勘違いされがちだけど、そんなに付き合った人も多くないんだよね」
「そ、そうなんですか」
「自分で言うのもなんだけど、私ってイイ女じゃん? だからイイ男しか寄ってこなくてさ」
「幸せな悩みですね」
「それがね、私そういう男無理なんだ。一人でも生きていけそうで、私のことを頼ってくれそうな相手って言うの?」
「は、はぁ……」
彼女は「だーかーら♪」と莉斗の体を強引に起こすと、ギュッと抱きしめながら今度は耳に口先を触れさせて囁く。
「君みたいに頼りない感じ、愛おしくて堪らないの」
「……へ?」
「エレベーターで初めて目が合ってから、君ならこうやってお近付きになれると思ってた」
「ね、狙われてたってことですか?」
「ふふふ、私の罠にハマっちゃったね」
夏菜さんはそう言って彼の耳を唇で挟むと、熱い吐息を漏らしながら溝を舌で撫で始める。
その慣れた手つき……いや、舌つきは彩音にも劣らないほどで、どこかで練習したか人数を重ねたとしか思えなかった。
「ところで莉斗君、MyTubeのアカウント名って何にしてるのかな?」
「お、教えられません……」
「続き、して欲しくないの?」
「っ……」
ここが逃げるチャンス。そんな声が頭の中に響いたものの、欲に打ち勝てなかった彼はつい質問に答えてしまう。
しかし、そんなことを聞いて何の得があるのか。その疑問は夏菜さんの独り言のような呟きでさらに深まることとなった。
「ふふ、やっと見つけちゃった♪」
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