第118話<悲鳴>
「さっき倒したゴーレムが、可愛く思える位の化物だね…… 」
そう言ってルミニーが見上げる先には、巨大なつぼみが立ちはだかり。
触手からの栄養を吸い集め、妖しく鼓動している。
「冗談言ってる場合じゃないですよ、一面毒が蔓延してます」
逸早く毒を察知したリジョンの表情に、余裕は無い。
リジョンとルミニーが話している間も、養分を求める触手はルドエルによって阻まれている。
「長期戦は望めなさそうだね…… 」
ルミニーに抱き抱えられ、目蓋を閉じたまま動かないトウを見つめルミニーは呟く。
そっとトウの遺体を床に降ろしたルミニーは、覚悟を決めた表情で視線を上げる。
「先ずはエミリの奪還だね、ルドエルは撹乱でフォロー。 其の隙にリジョンは、有りっ丈で特大のを頼むよ」
威勢良く返事を返した二人は、迅速に行動に移す。
更に前進したルドエルは、触手を切りつけ左右に誘導。
ルミニーは後方に下がったリジョンへの攻撃をカバーしながら、ルドエルとのタイミングを計り。
一瞬の隙を待ちわびる短い攻防に、其の時は来た。
「そろそろ御開きだね、仲間を返してもらうよ」
宣言通りルミニーが繰り出す横一線の飛剣で、エミリを取り込んでいた触手は崩れ。
透かさずルドエルが駆け出し、エミリを抱え助け出す。
まるで獣の様に雄叫びを上げ、つぼみは怒りを顕にする。
「随分エミリをお気に入りなんだね、しつこい男は嫌われるよ」
両腕を振り上げる様に、夥しい数の触手は天に伸びる。
「ルミニーさん、準備出来ました」
「待ってましただね、最高のタイミングだよ」
リジョンの声が響くと同時に、極大火炎魔法がつぼみに降り注ぎ。
振り上げた触手は、崩れ落ち。
炎に包まれたつぼみは、悲鳴の様な声を上げるのだった。
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