１９８８年6月に晴れてジュンブライド6月の花嫁となった弥生24歳＊＊＊

雨に濡れて一層生き生きと咲く紫陽花。

白い花が青くなったり、青い花が深い青になったり、時には紫やピンクに七変化。

そのため「七変化」「八仙花」と呼ばれることもある紫陽花。

そんな紫陽花の花言葉は「移り気」「心変わり」「高慢」「冷淡」などなど。

こんな花言葉が乗り移ったかのようなこの4人の恋模様なのですが？？？

実は弥生が一見只の淫らな、ただの尻軽女に移りますが、そこにはとんでもない許し難い事実が隠されているのです。

医学の道を志す人々の中には少なからず精神を患う人もいます。

例えば頑張り過ぎた結果、能力の限界を遥かに超え、精神に異常をきたしてしまう者達。

達也も自分の能力では到底無理と薄々学生の頃から感じ始めていたのですが？あの優秀な陽介にだけは、絶対に負けたくない、又医師免許が無ければこの家から放り出されると思う危機感から頑張り過ぎた結果徐々に異常が…………？勿論一概には言えません。

遺伝的要因も十分に考えられますが？

又家族の｛何としても医者にならなくてはダメだ！｝半ば強制的に実力は度外視で医者にさせられたのです。

自分の能力に限界を感じ他業種の職業に逃げたかったのですが、とんでもないプライドと家族の要望に応えるために無理をした結果達也は双極性障害を患ってしまったのです。

躁状態では、気分が高ぶって、まったく眠らずに延々と罵倒したり話しかけたり動き回ったりと、活動的になります。

ギャンブルにハマり法外な金を散財したり、高額のローンを組んで買い物をしたり、突然の酷い暴力もあります。

それに飽き足らず又陽介と浮気をするのでは？と付きまとい、電話に盗聴器まで取り付けるありさま。

一方、うつ状態では、一日中ゆううつな気分で、眠れなくなったり、または逆に眠りすぎたりします。大好きだった趣味やテレビ番組にも関心がなくなったり、食欲が低下し、おっくうで身体を動かすことができないといった症状もみられます。

病院の方は達也と弥生の結婚から2年後に結婚した陽介の妻副院長の貴理子に任せっきりです。

実は貴理子の実家は産婦人科病院。

優秀で奇異な存在の貴理子は産婦人科と内科を掛け持ちしているのです。

こんな達也なので弥生は睡眠不足に加えてストレスが頂点に達しています。

又ストレスに加え身の危険を感じて里帰りをした事も一度や二度ではありません。

こんな筈ではなかった後悔しきりの弥生は毎日泣きはらしています。

陽介が休みがちな達也を心配して達也のマンションを訪ねて来たのがきっかけで又隠れて密会するようになった陽介と弥生。

達也はうつ状態の時には、20時間位眠りますから。

この時とばかりに達也に相談です。

弥生も必死なのです。

こんなみっともない話し誰に相談出来ましょう。

達也が寝ているその隙に陽介に相談を持ち掛けています。

そんな事をしている内にいつの間にか又寄りが戻ってしまったのです。

弥生にしてみれば｛こんな男とは一日でも早く別れたい、丁度都合がいい、陽介との密会を知れば暴れまくるに決まっている、それでも良いの！どんな事をしても別れたい、躁うつ病は自殺する人も多いらしい、落ち込みの激しいうつ症状の時にわざと見せつけて追い込み自殺でもしてくれれば！いっその事死んでくれたら！造精機能障害の為に最後の望み、子供も授かる事が出来ない、こんな状態は絶対耐えられない！いっその事死んでくれたら？｝

弥生はこんな血も涙もない女に変貌してしまった自分を恥じる事すら忘れているのです。

それだけ達也の異常な行動や言動に追い込まれているのです。