第17話⁂樹里亜誕生!⁂
1998年9月中旬
爽やかな秋風が心地よい季節となり⋆*⋆*
秋空にいわし雲が浮かんで……夕焼け空に赤トンボが群れをなして飛んでいます。
造精機能障害『精子を造り出す機能自体に問題があり、ただしく精子が作れない状況』の為に中々子供を授かる事が出来なかった達也と弥生に待望の娘樹里亜が誕生しました。
達也は念願かなって42歳にしてやっと子宝に恵まれ有頂天です。
その喜びようときたら尋常なものではありません。
1年365日の全てを樹里亜ちゃんに注いでいると言っても過言ではありません。
こんな一見幸せいっぱいの家族に見えますが?
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
6年前の1992年に遡ります。
どうしても忘れられなかった陽介と弥生は秘密裏によりを戻して隠れて付き合っています。
何も知らない達也は仕事に造精機能障害の治療に必死に取り組んでいます。
ただ?陽介の世話で陽介のマンションに入り浸りの弥生の帰りが遅いのが気掛かりで仕方がありません。
まあ父の言い付けだから仕方ありませんが?
ある日余りにも心配になった達也は流石に土日は家にいるか?病棟の貴理子の見舞いに行くか?に決まっている。まさかとは思うが?一度コッソリ家を覗いてみようと陽介のマンションに出掛けたのです。
暫くそのマンションを見張っていると小1時間ぐらいして2人が出て来たのです。
そして後を付けたのです。
すると2人は車を走らせ高級ホテルで昼食を楽しみ、その後スイ-トル-ムに消えたのです。
達也は余りの出来事にショックで放心状態です。
到底現実とは受け取れません。
弥生が帰宅するまでの時間自分が一体何を見て、何をしていたかも思い出せない程ショックで時間だけが過ぎ去っていたのです。
その時マンションのドアの音が ””カチャ””としたのです。
仁王立ちになって待ち構えていた達也が鬼気迫る今にも殴り掛かって来そうな形相で。
「お前俺が知らないとでも思っているのか?今日陽介のマンションに行ったんだ。すると仲良く笑顔で出て来てお前達どこに行ったんだよ?ホテルに入って行く所をしっかりこの目で見たんだ。もう噓は言いっこなし!どういうつもりだ?」
「ワァ~~~ン😭ごめんなさ~~い!もう別れて!」
「なんだと————!どうせ陽介と一緒になる魂胆だろう?子供が出来るってのにお前と結婚するわけないだろう!」
「それでもいいの!あなたが私と陽介の間を引き裂いたんでしょう?又貴理子さんも私達を引き裂く為に、まだ妊娠もしていなかったのに噓を付いて私達を引き裂いたじゃ~ないの~もう別れてお願い!」
「そんな事は絶対許さん!」
「いいの!私は出て行くわ!」
「絶対ダメだ!そんな事はさせない!出て行くんだったらお前を殺して俺も死ぬ!」
「やれるものなら~やってごらんなさいよ!」
その時包丁を握り弥生目掛けて突進して来る達也。弥生は寒空の11月の夜更けに一目散に外に駆け出したのです。
しばらくあても無く彷徨い、コートでも取りに帰らないとこんな夜更け風邪でも引いたら大変!コートを取りに家に帰ったのです。
すると達也が玄関で血だらけになり倒れているではありませんか!
一方の貴理子はベイビー誕生に胸を躍らせて今まさに幸せの絶頂です。
弥生の手助けもあってか?晴れて貴理子は1ヶ月チョットで退院の日を迎えます。
家に帰って来た貴理子はもう直ぐ子供も生まれるこんな時期にまさか2人が男女の関係になっているなど知る由もありません。
{弥生さんも清廉潔白な心の優しい女性。そんな人が家庭を壊すような事は絶対にしないだろう。又あんなに子供好きな陽介の事、もう子供さえ出来れば弥生さんの事など、ましてや兄嫁に手出しなど出来ないだろう?もう絶対に安心!}そう思って疑いもしなかったのです。
そんなある日達也が重体で生死の境を彷徨っているとの事。
陽介は取るものも取り敢えず病院に向かったのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます