第52話水瀬さんは近づきたい

和泉兄妹がパフェを食べに行っている頃…


〜水瀬 花音 視点〜


「はぁ…」


私は講義中にため息を着いてしまいました。

今までそんな事は無かったのに…頭の中に思い浮かぶのは…


『お兄ぃが好きと言う割には全然アピールしてないですよね!』


と、言う雫ちゃんの言葉。


確かに私は今まで和泉さんと話せただけで嬉しくて満足していました。

でも…それだけじゃダメなんだと…思い始めました。


「う〜ん…好き。好き…かぁ」


分からない。でも考えれば考える程にドツボにハマっている気がする。


「はぁ〜…」


と、もう一度私がため息を吐いていると…


『こら、水瀬。なんだ?私の講義はつまらないかね?』


と、教授に話しかけられた。


「い、いえ!…ごめんなさい」


私は立ち上がり教授に頭を下げた。


『…分かったから座りなさい。ちゃんと授業に集中するように』


「はい」


そんな事がありながら私が今日受ける講義は終了した。


「ん〜…!終わったぁ…!」


私は机にぐで〜っと倒れ込んだ。

頬に感じる机の冷たさが心地よく、のんびりしていると…


「花音ちゃん。大丈夫?」


と、髪をブラウン・ベージュ系に染めた陽菜ちゃんに声をかけられた。


「大丈夫だよ…陽菜ちゃん。それより髪染めたんだ?」


「うん!少しイメチェンでね?…どうかな?似合ってる?」


と、陽菜ちゃんは私に見せるようにその場でくるっと回って見せた。


「うん、とっても似合ってるよ!」


「えへへ、ありがとう!…それより今日は随分と上の空でしたなぁ…」


「あはは…まぁ、ね」


「悩み事?」


「うん…和泉さんのこと」


「あ〜…」


陽菜ちゃんはどうやら今ので察したらしい。


「まぁ、雫ちゃんが言うぐらいだからねぇ…。私も薄々は思ってたけど…さ」


「う〜…!分かんないよぉ…!」


と、足をパタパタと動かして見るが…考えは全然纏まらない。


「ん〜…とりあえず花音ちゃんや」


「ん〜?」


「花音ちゃんがそんな可愛い行動をとるもんだから少し注目浴びてるから取り敢えず出ようか」


「え?」


と、私が周りを見ると…皆が小動物を見るような優しい目で見てきた。


「…すみません」


と、ぺこりと頭を下げ逃げるように私と陽菜ちゃんは大学から出た。


そして大学から近いカフェに寄り…話し合いの続きとなった。


「陽菜ちゃん…ヘルプです」


私は自分じゃどうすれば良いのか分からず陽菜ちゃんに助けを求めました。


「ん〜…初恋だもんねぇ。そんな花音ちゃんにはいい言葉を授けよう!」


「ん!なに何?」


「初恋とは少しばかりの愚かさと、あり余る好奇心のことだ。って言葉聞いた事ある?」


「え?何それ?」


「アイルランドの劇作家バーナード・ショーって人が残した名言だよ」


「…ごめん。全然知らない」


「あはは!劇が好きじゃないと知らなくて当然だよ〜!…でね、私が思うに初恋ってそう言う事だと思うだ」


「う〜ん…愚かさと好奇心って事?」


「そうそう。その意味は自分なりの解釈でいいと思うよ?」


「…頭から煙が出そうです」


「うんうん。そうだと思うよ?私もそうだったもん」


「ちなみに陽菜ちゃんの初恋っていつ?」


「私?…う〜ん。小学3年生の時かな。同じクラスの男の子でさ。私がアニメとか漫画が好きになったのがその子の影響なんだ」


「へぇ〜…それでそれで?」


「告白して付き合えたんだけど…向こうが転校しちゃったんだ。初めは連絡取ってたんだけど…そのうち…ね?」


「そっかぁ…」


「ま、その時の経験から言わせてもらうと…もっと相手の事を知ってみたらいいと思うよ?」


「…相手の事を知る?」


「そうそう!例えば…趣味とか、好きな食べ物、好きな映画。相手のちょっとした癖でも良いしさ、色々なことを知って、勿論自分の事も知ってもらってね?そして段々とお互いの事を知るうちにいつの間にか惹かれあっていく物なんだよ。って言ってもこれは理想論と言われればそれまでだけどね…」


と、陽菜ちゃんは最後に『あはは…』と頬を掻きながら言った。


私はそれを聞いて思う。


確かに私は和泉さんのことを何も知らないなって。

だって、私が知っているのは好き嫌いが無くて、趣味は釣りって事ぐらいなのだ。

そして、向こうは私の事をどこまで知ってくれているのか分からない。


「…うん。ありがとう陽菜ちゃん。何となく分かった気がする」


「本当!…良かったぁ…恋愛相談なんて初めてだからちゃんと相談に乗れているか心配だったんだ」


「…え?初めてだったの?」


「そうだよ?まぁ…こんな幼い見た目ですから相談しずらかったんじゃないかな?」


「そういうものなの?」


「多分ね」


「ふむ…でも!陽菜ちゃんのお陰で沢山分かったことがあるから…その…これからも相談していい?」


と、私が聞くと陽菜ちゃんは嬉しそうに頷き…


「もちろんだよ!だって花音ちゃんは私の親友だもん!困った時はお互い様だよ!」


と、言ってくれた。


「ありがとね、陽菜ちゃん」


「えへへ〜…」


と、私は少し照れている陽菜ちゃんを見つつこれからの方向性を決めるのであった。


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皆様!おはこんばんにちは!

青の空です!


また嬉しい事に☆が増えておりました!

☆をくれた…


@sashisusesousu さん

@hy0110 さん


本当にありがとうございます!!!

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