第72話 合祀(ごうし)

 皆は根岸線に乗り関内駅で降りた。海斗は皆を大通り公園の入り口まで引き連れた。小野梨沙は発見をした。

「ねえ海斗、横浜にも札幌みたいに大通り公園が有るのね。知らなかったよ」

「そうだね、用が無いと歩かない場所だもんね、札幌より小さいけどね」


 鎌倉美月は小野梨沙に教えてあげた。

「ここは昔、川だったのよ。川を埋め立てたから、長い公園が出来たのよ」

 林莉子は関心をした。

「へー、あまりに真っ直ぐだから、札幌の都市計画のように区画されたのかと思ったわ。松本蓮は林莉子を見た。

「あれ、莉子は覚えて無いの? ここは人工的に土を盛って川を作ったから真っ直ぐなんだよ」

「なによ、蓮、上から目線なのね。だいち盛るんじゃ無くて掘るんでしょ!」

海斗、松本蓮、鎌倉美月は、ちょっとだけ笑らった。

「ププ!」

 その他の仲間は不思議な顔をした。鎌倉美月は説明をした。

「陽菜ちゃん、うちの学校を受験するなら、覚えておいた方が良いよ」

陽菜は何の事なのか、分からなかった。林莉子は答えが知りたかった。

「海斗、早く教えなさいよ!」


 海斗は人差し指を立てて話始めた。

「ここ一帯は、元々海だったんだよ。大岡川の下流で釣り鐘状の入江だったの。江戸時代時に埋め立てられて、横浜は広い土地を手に入れたんだ。新しく出来た土地に大岡川の水を農業用水として、左右と真ん中に分け流したんだ。その真ん中の川がココなんだよ」


 中山陽菜は思い出した。

「あっ、もしかして吉田新田!?」

「そうだよ、ここから先が吉田新田なんだ」

 林莉子は思い出した。

「へー、ここが吉田新田だったの。言われないと、埋立地すら分からなかったわ」

 中山陽菜は褒めた。

「へー、伏見、良く知っているじゃん、興味が持てるよ」

 中山美咲は言った。

「伏見さん、でしょ!」


 海斗達は大通り公園を進んだ。神社が近くなると人が多くなり、警察車両も目に付くようになった。小野梨沙は興奮してきた。

「わー、屋台が見えてきた。ワクワクするね」

 海斗は人手が多くなり心配をした。

「人が多いから、はぐれないでね。先に参拝を済ませてから屋台に戻るからね。行きたい屋台は覚えていてね」

 葵は海斗と、陽菜は美咲と手を繋いで歩いた。葵は海斗と堂々と手を繋ぎ、妹で良かったと思いニコニコしていた。沢山の屋台を通り抜け、神社に到着した。

 正面には沢山の提灯が高い壁の様に、沢山吊るされていた。始めていた見た仲間は提灯の壁に驚いた。


 林莉子は神社の名盤を見て言った。

「ねえ、海斗、大鷲神社だと思ったら、金刀比羅大鷲神社なのね」

「そうなんだよ、良く気が付いたね。今は酉の市で有名な神社だけど、元々は金毘羅神社だったんだよ」

「お兄ちゃん、金比羅さんって聞いた事があるけど、何の神様なの?」

 鎌倉美月は答えた。

「海の神様だよ。横浜も元々は漁業をしている人が多かったからね。横浜の繁栄と反比例して漁業は衰退したの。そして商売人が多くなって大鷲神社も祀ったそうよ」

 小野梨沙も首をかしげた

「じゃあ、ここは二つの神様がくっついて居るの?」海斗は答えた。

「神様を一緒に祀る事を合祀ごうしって言って、ここには三つの神様が合祀されているんだ。境内には伏見稲荷まで有るんだよ!」

 小野梨紗は驚いた。

「アンビリーバボー! 」

皆は笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る