第62話 仮装の準備

 海斗はオペラ座の怪人の仮想をしていた。

「ホント、京野、似合っているな。田中の仮想は、ププッ! フランケンシュタインだな! そのボルト、どうやって付いているんだ?」

 田中拓海は笑って後頭部を撫でた。海斗達は歩行者の視線に気が付いた。商店街を歩く人達が物珍しそうに、ジロジロ見ているのだ。

 遠藤俊は恥ずかしくなった。

「ちょっと、早く中に入りたいガオ」松本蓮は笑った。

「遠藤は今日一日、話の語尾にガオを付けるのか? それも面白いね」

皆は笑った。


 するとフェリサ女学院の二人が店前にやってきた。稲垣京香は挨拶をした。

「皆さん、ご機嫌よう」男子は顔を見合わせ、声を合わせて言った

「ご機嫌よう」桜井メイも挨拶をした。

「皆さん、良くお似合いですよ」

 松本蓮はそれぞれを紹介した。遠藤駿は真っ先に握手を求めた。彼女達は照れながら握手に応えた。京野颯太は調子に乗った。近くに居た桜井メイに近寄り、首元を噛む仕草をした。

「私は、吸血鬼ドラキュラー伯爵だ! ガブガブ」

桜井メイは、本気で叫んだ。

「キャー!」

 京野颯太は予定外の反応に驚いた。

「あれ? さっきはウケたのに!」

 海斗は注意をした。

「おい京野! 男子の居ない女子校の子なんだぞ、接し方を考えないとダメだよ」

 京野颯太はハッとした

「お嬢さん、済みませんでした。ふざけてしまいました。」

「済みません、男子の免疫が少なくて、近くに来られると頭の中が真っ白になるんです」


 魔女の仮装をした鎌倉美月は、騒ぎに気付き外へ出た。

「稲垣さん、桜井さん、いらっしゃい。さあ、中で着替えてね」

鎌倉美月は二人を連れて店内に戻った。松本蓮は魔女になった鎌倉美月を見て、赤くなった。すかさず遠藤俊が突っ込んだ。


「おい、松本! 鎌倉さん可愛かったな」

「うん、似合っていたな。他の女の子も早く見たいね!」

男子は皆でうなずいた。森幸乃も魔女の仮装をして呼びに来た。


「男子、お待たせ! お店に入っていいよ!」

 海斗の目は泳いだ。

「皆、可愛いね!」小野梨紗はエルフの仮装をしていた。

「海斗、私、似合う?!」

「うん、良く似合っていて可愛いよ。ホントの妖精みたいだ」


 女子の仮装は、中山美咲と林莉子はセーラームーン。橋本七海、佐藤美優、鈴木萌はアメリカンポリス。フェリサの二人は黒猫の仮装をしていた。皆はお互いの仮装を褒め合い、席に着いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る