第54話 それでも行きたいのだ
(翌日の昼食にて)
いつものように海斗達は机を並べ昼食を取っていた。
鎌倉美月は松本蓮を見た。
「ねえ、蓮、昨日のフェリサ女学院の話し、何処か良い撮影場所は見つかった?」
「やー、考えたんだけど、花火の時期は終わっちゃったしね。海斗は良い所、見つかった?」
「なあ美月、海風の写真がいいなら港の見える丘公園に行けば良いのかな?」
「そうね、フェリサ女学院も近いし良いかもね、でも雨の日は中止だね」
三人の会話に聞き耳を立てている三人が居た。小野梨沙は切り出した
「海斗、私も港の見える丘公園に行きたい!」
中山美咲も気になった。
「ねえ海斗、フェリサ女学院の話をちゃんと聞かせて!」
林莉子は想像した。
「ねえねえ、私達も綺麗な写真を撮ってよ!」
海斗は困った顔をした。見かねて松本蓮が説明をした。
「ゴメン、ゴメン、つい写真部の話だから三人で話をしちゃった。実は昨日、喫茶「純」に居たら、フェリサ女学院の子が写真を教えて欲しいって話しかけて来たんだ」林莉子は驚いた顔をした。
「それって、逆ナンパされたんじゃ無いの?」
鎌倉美月は冷静に答えた。
「違うよ、私も、幸乃さんも居たんだから」
小野梨沙が不思議に思った。
「ねえ海斗、でも、なんで皆が写真部だって知っているの?」
「それがね、文化祭で展示した写真を喫茶「純」に飾ってあるんだよ。評判が良くて見に来た女の子が、その写真の話していた俺達に声をかけて来たんだ。なあ蓮」
「彼女達も写真部なんだって、それで良い写真を撮りたいんだってさ。最初は俺と海斗が、彼女達二人に教える話になったんだけど、はたから見たらダブルデートみたいだろ、だから美月と幸乃さんを入れて写真の勉強会をする事にしたんだ」
中山美咲は続いた。
「ねえ莉子、フェリサと言えばミッション系のお嬢様学校よね。そんな子が話し掛けて来るのね」
「むしろ女子高だから、積極的な人がいるんじゃない?」
「そうかもね、お嬢様と言えば、あの学校は挨拶にご機嫌ようを使うのよね」
海斗は思い出した
「あっ、言っていたよ! ご機嫌よう、違和感が無かったから聞き流しちゃった」
小野梨沙はすぐ活用した
「ご機嫌よう、海斗、私も公園に行きたい! こんな使い方かな?」
海斗はクスッと笑い聞き流した。
「あ~、例えばそうだね。確かに今の時期はバラが見頃だと思うんだ。勉強会はバラを撮ったら良いかな」鎌倉美月は答えた
「海斗、それ名案だよ! 背景をぼかすテクニックを蓮が教えれば良いよ。被写体が撮りやすく、女の子の好きな花なら、より楽しく学べるかもね。それと、あの展望台で写真を撮れば良いんじゃない!」
小野梨沙も一緒に行きたかった。
「ズルい海斗、私も見に行く! 」
中山美咲は間接的に言ってみた
「私もバラが見たいな」
林莉子はダイレクトに言った
「だから、海風の写真、私達も撮りなさいよ!」
「分かった、分かったよ~、そんな顔しないで。なあ蓮、それで良いかな」
「そうだね、皆で行こうか。でもフェリサ女学院の子、こっちの人数が多くて緊張するかもね。なあ美月」
「まあ、最初だけね、女の子どうしなら、打ち解けるのも早いと思うよ」
海斗達は皆で港の見える丘公園に行く予定をたてた。鎌倉美月はフェリサのSNSグループで場所と日時を伝えた。
(フェリサ女学園にて)
稲垣京香と桜井メイは楽しそうに話をしていた。桜井メイはスマホを見た。
「ねえ、SNS見た? 日曜日とっても楽しみね。どんな服装で行こうかしら」
「ププ、メイ勉強会よ。別にデートじゃ無いのだから、気取らなくても良いと思うよ」
「そうよね、勉強会だもんね。でも、お洒落はしたいな、京香はしないの?」
「……やっぱりする! 明日の放課後、一緒に洋服を見に行こうか?」
「うん、そうしようよ、京香」
「ところで、いつも私達、カメラを設定をオートモードで撮影をしているけど、松本君達写真部だから、マニュアル撮影や露出優先とか言うのかな、使い方を確認しておかないとね」
「えっ、マニュアルですって、私も覚えてないわ。取説を確認しておかないとね」
(勉強会当日)
海斗の仲間は待ち合わせ時刻より、一時間早く石川町駅で待ち合わせをした。待ち合わせ場所まで、寄り道をしたかったからだ。
集まった仲間は、海斗、松本蓮、鎌倉美月、森幸乃、小野梨紗、中山美咲、林莉子の七人だ。このメンバーで勉強会が出来るのだろうか。フェリサの生徒に迷惑を掛けなければ良いのだが。
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