第47話 フェイクニュース
ショートホームルームが終わり、休み時間になった。
松本蓮が海斗に話しかけた
「おい、海斗、何だ、あの記事は?」
海斗の仲間は海斗を見た。林莉子は海斗に冷たく言った。
「もう、海斗は浮気性なんだから、誰なのよ! 白状しなさい」
小野梨紗が悲しい目で海斗を見た。
「もしかして、新しい女が出来たのね」
海斗は慌てて答えた。
「もー、違うよ、違う! なんで皆、知っているの?」
中山美咲も続いた。
「私だって、見ないから知らなかったのよ、でも今朝の教室は海斗の話で持ち切りだったのよ」
「えー! 違うんだってば、あれは葵だよ。葵とイッサンスタジアムに行った帰りに、橋の上で目にゴミが入ったから見てあげた、だけだよ」
皆はきょとんとした。小野梨紗は疑った目で言った。
「じゃあ何で、相合い傘なの?」
「朝は降ってなかったんだ、スタジアムから出て来たら雨が降っていて、葵が持って来なかったから、一本を使って歩いたんだよ」
説明をすると皆の誤解が解けた。中山美咲はホットした。
「はあ、良かった、やっぱりフェイクニュースだったのね」林莉子も続いた。
「そう言えば、前もあの子に振り回されたわね」鎌倉美月は怒った。
「もー! 早くあのサイトをつぶさないとダメね」
松本蓮は不思議に思った。
「でも、なんで海斗なんだ? お前、狙われているのか?」
遠藤俊が口を挟んだ。
「そりやー簡単だよ、サイトの閲覧数を増やすには、学校の有名人を狙えば皆が見るからね、だから表彰受けた松本も、気を付けた方がいいよ」
松本蓮も鎌倉美月も、ドキッとした。鎌倉デートをした後だからだ。
林莉子は思い出した。
「あの写真は、海斗の顔だけが見えて、後は傘で隠れているのよ。だから文書さえ作り上げれば、面白可笑しくなるのよ。閲覧数が増えれば個人はどうなってもいいのよ。なんか嫌がらせよね」
中山美咲は海斗に優しくにらんだ。
「海斗、また葵ちゃんとお出かけしたのね。仲が良いわね。ねえ梨紗」
「そうよ、私達を誘わないから、こうなっちゃうのよ!」遠藤俊は言った。
「皆が居たって同じだよ。伏見ハーレム王国とか、タイトル付ければ面白くなるよ」
皆は笑った。笑ったものの肩を落とした。
小野梨紗は心配をした。
「写真部で、サイトの運営者を探しているんでしょ。もしかして、その嫌がらせだったりして」松本蓮が続いた
「えー、俺たちは未だ、少しだけ動いただけだよ。なあ海斗、そんな事で分かるのかな?」
「情報通なのは確かだね。どうであれ、裏サイトの管理人を見つけ出してやる!」
(放課後の新聞部にて)
新聞部では部長を始め、主要なメンバーが顔を並べていた。戸塚部長は喜んだ。
「ヤッホー! 凄いよ、山本! 記録更新だね。やっぱり有名人は違うね~」
山本記者は鼻高々に言った
「そうでしょ、この写真は使えると思ったんですよ。加工前の伏見はスタジアムの端っこに小さく写っていたのに、伏見がメインの写真に見えるように加工ソフトで拡大して切り抜けば、熱愛写真の出来上がり。これで伏見も更に有名人だ、俺に感謝して欲しいくらいだよ」
部員は大笑いをした。戸塚部長は声を張った。
「おい、この手法、結構面白な、皆も見習えよ!」
部員は声を揃えて返事をした
「はい!」
(生徒会室にて)
約束をした日となり、海斗と松本蓮は写真部の和泉部長を連れて生徒会室にやってきた。池田会長は和泉部長に話しかけた。
「わざわざ足を運んで貰って悪いね、和泉部長。それと伏見君はやられたねー、あれラーメン食べた日でしょ。また餌食にされたんだね! はは可笑しい」
「そう、なんです! 会長、笑わないで下さいよ、傘に隠れていれば、何でも書けるんですよ」和泉部長は残念だった。
「写真部の事で動いたから、意地悪されたのかな、ゴメンな伏見」
生徒会室にはもう一人、生徒が待っていた。
「君たちは、知り合いかな? 彼はパソコン部の向後部長だ。裏サイトの話をしたら、相談に乗ってくれるそうだ」
向後部長は強い口調で言った
「俺も、あの裏サイトに悪口を書かれた事が有ってね、奴らは生徒会長や部長とか校内の有名人を狙うんだ。まさか俺がって思ったよ。あの時はしょうが無いと思っていたけど、今度は生徒会長から相談を受けたんだ、大手を振って懲らしめる事が出来るからね、やっつけてみようと思ったんだ」
池田会長は重々しく話し始めた。
「ここに居る者は利害が一致している。これから話す事は秘密厳守でお願いします」
写真部の仲間は息を呑んだ。向後部長は図を書いて説明を始めた。
「いいかい、ホームページと言うのはHTML言語で作られ、それをFTPサーバーにアップロードして、皆が見る事が出来るんだ。このFTPサーバーのIDとパスワードが分かれば、事実上乗っ取りが出来る。つまり裏サイトを削除する事が出来るんだ。ココまでは分かってくれたかな」
海斗達はうなずいた。海斗は質問をした。
「はい、分かりました。でもどうやってIPとパスワードを盗み出すんですか? まさか新聞部の目を避けて、部室に入る事なんて無理ですよね」
向後部長は悪人の顔をした。
「フフ、そんな事をしなくても、簡単に出来るんだよ。コンピューターウィルスを使うんだ! このサイトは情報募集ってリンクが有るだろ、偽情報を作り写真データにウィルスを潜り込ませて送るんだ。写真だと思って添付ファイルを開けば、相手のPCが乗っ取れるって言う仕組みさ。カメラが付いたパソコンなら相手の映像だって見る事が出来るよ、はははは」
得意げに説明をする向後部長を見て、同席している皆は恐怖を覚えた。
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