第46話 裏サイトの管理人


 海斗は遠藤駿に応えた。

「実はね写真部の写真が、裏サイトに勝手に使われているって、写真部の部長が、頭を痛めているんだ。サイトの管理人が写真部だと思われると問題だからね」

「それは困ったな、場合によっては写真部を廃部しろ、なんて言われそうだもんな」

皆も困った顔をした。鎌倉美月はひらめいた。

「ねえ、前に生徒会の池田会長と小川書記もカップル報道を流されたよね、きっと会長も調べているはずよ。今度、生徒会室に行ってみない?」松本蓮は答えた

「ナイス美月! 良い案だね、行ってみようよ」海斗も続いた

「うん行こう、手がかりが見つかるかもね。皆、有り難う」


(生徒会室にて)

 海斗、松本蓮、鎌倉美月は、放課後に生徒会室に訪れた。小川書記が話しかけた。

「あら伏見君、久しぶり、今日はどうしたのかしら」

 池田会長が歩み寄った。

「おう写真部の面々、久しぶりだね。学園祭は盛り上がったね。君達には感謝しているよ。三人揃って、どうしたの? やっぱり写真部の相談かな?」

 松本蓮が池田会長を見た。

「流石、会長! その通りです」

松本蓮は写真部における問題点を、整理して相談をした。


「それはマズイね、写真の無断使用は良く無いが、何より裏サイトの疑いが写真部に向くよね。実は俺もスッパ抜かれた事が有ってね。生徒会長の恋人は小川由香だった! ってカップル報道が有ったんだ。お陰で好きな女の子に振られちゃったんだ。あ~、いま思っても悔しいよ」

 小川由香は怒った。

「なにが悔しいですって! 私はスッとしたけどね。いい加減に認めなさい! ねえ、伏見君、この間、大ラーメン博物館で会った時もカップルに見えたでしょ」

 海斗は池田会長を気遣い、苦笑いをした。

「そう言えば伏見君、あの時の彼女さんは、お元気かしら?」

 松本蓮、鎌倉美月は海斗に、疑いの目で見た。

「葵だよ! 葵と大ラーメン博物館に行ったら、偶然二人に有ったんだよ。あの時もそう説明したのに、信じてくれないのだから。蓮、説明してよ!」

 松本蓮は二人に説明をした。

「中等部の妹ですよ! 仲が良いんですよ」

「あ~ら、ご免なさい伏見君」

 池田会長は眉間にシワを寄せた。

「俺も学校サイドも、裏サイトは良くないと思っているんだ。有る事、無い事、書きやがって。前から考えていた事が有ってね。ちょっと相談したい人がいるから、また来週に来てくれないかな。その時は写真部の和泉部長も連れて来てね」

 海斗達は頭を下げた。

「有り難う御座います」

海斗達は生徒会室を後にした


 (新聞部・部室にて)

 新聞部では月水金の十六時時から、定例ミーティングが行われている。部員が仕入れた情報を持ち合い記事にするか否かを決定するのだ。

 戸塚部長は机を叩いた

「おい、もっと面白いネタは無いのか! 皆、何を取材しているんだ!」

 戸塚部長は一年を指した

「済みません、そう言われましても、そうそう落ちているものでは有りませんよ」

「最近は裏サイトの閲覧数が下がっているのは知っているよな! 学校行事を載せたって閲覧数は上がらないだよ、もっと嘘でも良いから、校内の有名人ネタは無いのか!」


 静まりかえる中、山本記者が手を挙げた。

「戸塚部長、取って置きの面白いネタが有るんですよ!」

皆は注目をした

「伏見、伏見海斗ですよ。白昼のキス、熱愛報道ですよ!」

「えー!」

部長も皆も驚いた

「流石、山本記者だ! 野球部のキャプテンネタで閲覧記録を作った敏腕記者

だけあるな!」

 山本記者は新横浜の浜鳥橋で、海斗が少女にキスをしている写真を入手していた。山本記者は写真を戸塚部長に渡した。

「おー! す、ご、い? おい山本! 肝心な女の子の顔が傘で見えないよ」

「そうなんです」

「はっ! お前は何を言っているんだ!」

「あのですね、友人が新横浜で風景写真を撮ったんですよ。その友人とスマホの写真を見ながら、世間話をしていた時に見つけたんです」

「ムム! でも、これは面白なあ」

「そうでしょ、この写真を使ってストーリーをでっち上げれば、閲覧数は新記録が更新するかもしれませんよ」

記事は早々に作り上げられ、夕方六時にアップロードされた。


 (海斗の自宅にて)

 夜九時を回った頃、葵は海斗の部屋をノックした。

「葵、どうしたの?」

葵は青い顔をしていた。

「お兄ちゃん、大変だよ! 大変、どうして、こうなっちゃったんだろう」

葵はスマートホンで裏サイトを見せた。

「えー! またかよー」

海斗は驚き肩を落とした。記事にはこう書かれてあった。


「クレーマー事件のヒーロー伏見海斗が白昼の熱烈キス!」

目撃情報によると、熱愛の相手は絶世の美女。二人はキスの後にホテル街に向かったそうだ。


「クッソー! またも実名かよ。今度はフルネーム! ましてや写真まで?」

すると海斗の表情が和らいだ 

「ププ、葵、相手は絶世の美女だって! ホテルになんか行ってないよな!」

「うん、お兄ちゃん御免なさい。私があんな事をしたから明日は学校に行けないよ……」

「葵、悪いけど相手は絶世の美女だよ。つまり撮影者は葵の顔を見ていないんだ。写真に顔も写ってないから大丈夫だよ」

「もー、それで、さっき笑ったのね。私を絶世の美女なんて書く訳ないか。お兄ちゃん酷い! でも、お兄ちゃんは大変だよ」

 葵は安心をしたものの、海斗の心配をした。

「いいかい、葵は知らない事にしてね。その橋に居た事は誰にも言わないでね。俺は目に入ったゴミを見ている事にするから、そもそも、そう言う事情だったからね。前から、この裏サイト嫌だったけどホントにしようも無いよな。暫くは大変になりそうだよ」


 (翌日の教室にて)

 海斗は、いつもの様に葵と登校をした。葵が忘れ物に気付き取りに戻ったので、学校の到着はギリギリの時間になった。海斗は教室に入ると、クラスメイトは冷ややかな目で見る事に気が付いた。

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