第11話『浮気女の嫉妬』
ここ最近、ジョンが全く私に構ってくれない。
ちょっと前まではすごく優しかったのに今では露骨ではないけど、そっけない態度を繰り返してる。
なにか嫌われるようなことをしたかと思えば、した覚えは一切ない。
でもジョンから向けられる視線は明らかに冷たくなってるのは分かる。
どこかへ連れ出そうと誘ってもなにかと理由をつけてはどこかへ行ってしまう。最近勉強を始めたと言うし、そのせいかと思ったけどやっぱり違うように見える。
だけどやっぱり諦めきれない。今日も誘おう。
そう思ってジョンを村で探すけど……いない。いつもの樹の下にもいない。河原にもいない。
ジョンのおばさんに聞いてみると、どこかへ散歩へでかけたという。
よく散歩に使われるのはこの村付近だと林道くらいしかない。
そこで林道へと私は向かう。そして……見てしまった。
『ジョンが他の女と話しているところを』
あの女、誰?
咄嗟に木の後ろへと隠れる。
金色の髪にきれいな青い眼。
私も綺麗な方だとは言われるけど、それとはまた別のお人形のような見た目。
ジョンってあんな子が好みだったんだ。
あの子と話すようになったから、私を避けるようになったんだ。
ジョンが拙げに微笑むのが見えた。
あんな表情、してもらったことはない。笑顔は何度もある……でも、あんな顔は―――私は"知らない"
そうだ……なんで、ジョンは他の女と話してるの?
ジョンは女の子と話す事なんてできない。私がいないと、長く話すことはできない……はずなのに。なんで喋られてるの?
ボーグくんと仲良くしてるのは男の子同士だからって許容してた。男女にはない友情っていうものがあるって私も聞いたことはあったから。
でも、その女は違うでしょ?
なんで私以外の女と仲良くしてるの?
なんであの女はジョンと話してるの?仲良くしてるの?なんでなの?
女の体中に青あざが、ある。
ジョンに構ってもらいたくて、わざと傷でもつけたの?私はそんなことしなくてもジョンに構ってもらえるのに、可哀想。
私は、ジョンに構って……もらえる。
なんて、嘘。本当はジョンは私を避けてる。
本当は、羨ましい。
あの女が、憎いくらいに羨ましい。
こんな感情、初めて。
こんな……胸が熱く苦しくなるような感情。
ジョン、私を捨てるの?
新しい女ができたから、私を捨てるの?
ふざけないで。
絶対に、その女から引き離してやる。
どうしたらいいのかな。
女を殺したらいいのかな?それともジョンを閉じ込めたらいいのかな?でも私はジョンと比べたら力は弱いし駄目かなぁ。それに、女を殺したりなんてしたら万一捕まったら一生ジョンに会えなくなっちゃう。
なら、ジョンが好きなものになるしかない。
そうだ。ジョンは優しい人だから……あの女みたいに、怪我しちゃえばいいんだ。
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