第3話『寝取られ男は打算する』
「やっぱアイツの言うとおり精霊暦790年か」
「あんたカレンダーを見て何いってんの。もうすぐご飯できるから座っときなさいよ〜!」
家のカレンダーを見て、確信する。
まぁそれはともかく、母親が元気に料理を作っていて仕事から帰ったオヤジが椅子に座りながら本を読んでいるこの風景。もう二度と見れないと思ったこの中に俺がいる。
正直言って涙腺が緩む。俺だって人の子だし、多分一般人より苦労はしてきた部類なのだ。
だけど流石に泣くわけには行かないので我慢する。この幸せだって四年後の襲撃が来たらぶち壊されかねない。
クソビッチどうとかより、尚更平穏な幸せを守るために頑張らないといけない。
まずこのたるんだ体を鍛えて、武器を扱えるようにならないといけない。幸いオヤジは自警団に所属してるし、俺が自分かなんかの本にでも影響されたと思って気にも止めないはずだ。場合によっては俺に協力してくれるかもしれない。
って、なに打算的になってんだ俺。
俺一人のエゴに親を巻き込んじゃいけないだろ。若干反省しつつ、今後の沿革を考えていく。
まずあのクソビッチとは距離を置く。当たり前だ。
あんなのと関わっててもろくな事にならない。現に他の男に乗り換えて俺のことを蹴り飛ばした挙げ句に俺は事故死したし。横にいられると俺の運を吸われてしまう可能性もある。
で、今後はボーグとつるもう。
ボーグは頭が良いしなにより良いやつな上に親友だ。それに、記憶はおぼろげだがなんかすごそうなものを研究してた記憶がある。もしそれが四年後の襲撃に使えるものなら、襲撃阻止の確率は上昇することは想像に難くない。まぁ、いくら頭が良いって言っても俺と同じ10才児だしあんまり期待はしてないが……それを除いてもボーグは親友だから仲良くしても問題はない。
てか、基本的にクソビッチと関わらなきゃ俺は誰と関わっても問題ないはずだ。まぁ流石に無視決め込んで村長夫妻に俺がいじめてると思われたら癪だし嫌なので、適当に距離を取りつつ最低限のコミュニケーションは取ることにしよう。
まぁコミュニケーションはそれで問題ないとして、まずは基礎訓練をしないとな。
冒険者時代にだいぶ経験が蓄積してるのもあるから、懸念の一つである俺の技術に体がついていかないっていうことをなくしたい。今の俺は平均的な10才児、仮にもA級(仮)だった俺の実力とはライオンとねずみくらいの差がある。
「ジョーン、ご飯よ〜!」
「母さん、今いくよ!」
しかし、今は久しぶりの母のご飯を楽しもう。
机の上に美味しそうな夕食が置かれている。
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