第47話 姉妹達の言葉

 

 ダッシャーがぽかんとダンサーを見つめる。

 ヴィクセンやコメット、プランサーは経緯を知らないせいで、首を傾げてるに留まっていた。


 目の前でおおはしゃぎされたダンサーは居心地悪そうに身をよじる。

 俺と目が合うと気まずそうに頬を染め、ふんとそっぽを向いた。

 俺は、にやりと笑った。

「ま、いろいろあったけど、ダンサーは本当にいい奴でさ、なんだかんだ言いながら俺とプランサーのことも助けてくれたんだ。根は真面目だし、本当はものすごく優しいんだよなぁ。ああ、ダンサーって本当、いい奴だなぁ」

「そうそう、そうなんだよねぇ。だんちゃんは本当に優しいの」

 ルドルフが俺の話に乗っかってくると、ダッシャーも続いた。

「ダンサーは天の邪鬼すぎんだよ。基本の基本は優しいくせして、それを悟られないようにしたがる。分かりずらくてしかたない」

「そう、ですわね」と、ヴィクセンも言う。

「素直じゃないのが玉に瑕です。いざという時はいの一番に助けてくださるから、本当に感謝していますのに」

「うむ」と、プランサーが頷く。

「きょーとーのことも存じていたし、久地楽師匠に刀剣のこともお願いしてくれたし、ダンサーはまこと優しくて、姉妹一頼もしい存在だ」

 最後にコメットがこくんと首を縦に振った。

「必要不可欠」


 まさに褒め言葉のシャワー。


 ダンサーは頭から湯気が出るんじゃないかってくらい顔を赤くしていた。

「な、なによ、みんなして、いきなり……、気持ち悪い。そんなに褒めたって、なにも出ないわよ」

「出なくていいよ」

 ルドルフがダンサーに抱きついた。

「だんちゃんが一緒にいてくれたらそれでいいの。大好きだから」

 戸惑っているダンサーを見上げるルドルフの瞳はどこまでも澄んでいる。

 ダンサーは抱きつくルドルフを無理に引きはがそうとしなかった。

 桃色の潤んだ瞳で周囲を見つめ、溜息を吐き出す。

「うん」

 頷いて目を擦ると、ぽそりと言った。

「………………ありがと」

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