第43話 ついてくる人たち
きっかけは些細な一言だった。
講義終わり、レポートを作成するために図書館に寄ろうと思ったことがきっかけだ。
調べて書かなくてはいけないのでやっぱり専門書が必要。借りるには大学の図書館に行くのが一番。
和真はラノベの新刊をディープなオタクショップで買わないといけないからとかで猛ダッシュで帰って行った。
ここまで好きな物に真剣になれるのはすごいけど、レポート任せたはないだろう。今度、ジュースでも奢ってもらうことで手を打とう。
「川上くん図書館行くの?」
帰り支度をしているところで春野さんに声をかけられる。最近では俺と春野さんがこうして話していてもあまり騒がれることはなくなった。
別に俺と春野さんはお付き合いしています! とか公言したわけではないが学科のみんながほのぼのとした雰囲気で俺たちを見てくるのはなぜだろう。
「うん。レポート書く用の資料借りようと思って」
「そうなんだ。私も一緒に行こうかな」
その瞬間、部屋の空気が変わった。ような気がする。
「春野さん、お友達は?」
「桃華ちゃんと優希ちゃん今日は今からサークル行くんだって。だから私も一人で暇なんだよね」
確か今日春野さんのシフトは入っていなかった。俺と同じように今日暇なのは納得だ。
「そっか。なら行こう」
「うんっ。ありがとう」
こうして俺はまさかの大学で春野さんと行動出来るようになった。もちろんこれは嬉しい。ただ……
「なんか後ろからの視線がすごくない?」
で大学の図書館に行くのにぞろぞろと講義室からみんながついてくる。それも俺たちから隠れるように。
春野さんはすごくご機嫌そうで、後ろの怪しい集団に気付いていないらしい。ニコニコ笑顔で今日の講義の感想とかを言っている。
「みんなも参考書借りに行くだけじゃない? 早めに課題を終わらせるのは良いことだよ」
「本当にそれだけかなぁ」
疑問も残るが、たしかに気にしても仕方ない。春野さんのいう通り早く大学が終わった今日めんどくさい課題を終わらせたいと思う人も多いだろう。
そうこうしていると図書館が見えて来た。学生証をかざしていざ入館。
専門書がたくさん詰め込まれた本棚を眺めながら目的の本を探していく。
「あ、ここの辺りじゃない?」
「なるほ……ど」
振り返って春野さんのほうを見ようとすると、顔だけを出して俺たちの方を見ている学科のみんな。
そこに参考書を探そうといった雰囲気は一切見られない。ただ何か期待を込めた目線を送って来ている。
これは……たぶんそういうことだろう。
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読んでくださりありがとうございます。九条けいです。皆様の応援のお陰でついに★400フォロワー様1000名を突破致しました。本当に感謝しかありません。嬉しさのあまり謎の踊りを踊ったほどです。
ちょっと今回の話は物足りなかったかも知れませんがご心配なく。ここからもっとイチャイチャしていきます。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします! 感謝です!
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