第35話 領地へ 言葉使いと……

 隣の席で食事をしていた、側近が殿下に呼ばれ慌てて近づいて来る。


「はい!殿下お呼びですか?」

「ああ、そこに座ってくれ」


 トリマン様は座らせて、ケレスは立たせたままなのね?(笑)


「はい!失礼致します。いかが致しましたか?殿下」

「いやな、先程からこいつが!ヴァンス殿達に失礼な物言いが多くてな……」


 私の代わりに謝罪してくれと、何気にトリマンに頼む。


「それは誠に申し訳なく思います。こやつは新参物の癖に気が短くご迷惑を……」


 お掛け致しますと詫びてくる。よしこの方は合格!


「いえ。大丈夫ですわ?世の中には回りの雰囲気を読めない方も、居ますものね?ホホホ」


「お怒りを納めて頂き、ありがとうございます。……しかしヴァンス殿、パトリシア様。

此方の食事は旨いですねぇ?私の領地は、これ程旨い物はないですよ。助けて頂いた上に快適な寝床に清潔な場所を、御用意下さり感謝致しかありません。何より殿下をこのような、環境に置いてくださり。ありがとうございます。殿下の、側近としてお礼を申します」


 トリマンが頭を下げて礼を言う。


「ね?ケレスさんと言ったかしら?これが普通の、教育を受けた方の対応ですわよ?私達は公爵家ですのよ?他国のとはいえ貴方より、爵位が上ですわ?」


 まぁ、元だけれどね?余計な事は言わないわよ?


「………」


 あ、また、だんまりなのね?

 それを無視して、ヴァンスがトリマンに礼を言う。


「トリマン殿、御丁寧にお誉め頂き。ありがとうございます。我がベルガモット家の恥に成らぬように。できる限りの、おもてなしをしたまでです。どうぞご遠慮などなさらず、過ごして下さい。我々も歓迎の意味を込めて、ご用意したまでですので」

「礼を申すよ、ヴァンス殿。野営でこれ程快適に過ごせる何て夢のようだ!明日からの帰国の旅が億劫に、成るよ!」

「ハハハ。それは気の毒にとしか」 


 それは本当に気の毒ですわ?

 私も同感ですわよ、野営は危ないし衛生上よろしく無いので、前のスタイルはもうNOですわね。

 NOと言える日本人で………あら?ごめんなさい。今は違うわね。ホホホ


「ね?ケレスさん?何度も言いますが、これが正しい教育を受けた、貴族の会話ですわよ?貴方何を教わっていらしたのかしら?御自分だけが偉い!それしか教わらなかったの?」


 クスリと笑ってやった。


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