復活──①
◆
みんなのいる場所に戻ったけど、まだ進展はないのか平和なものだった。
一足先に戻っていたサーシャさんは、俺を見るなりササッと前髪を整えた。
あの人の考えてること、余計わからなくなったな……。
「コハクさん、おかえりなさ〜い。遅かったですねぇ〜」
「あー、ちょっと野暮用で」
「なるほど〜。すみません、無粋でした〜」
それ俺じゃなくてサーシャさんなんですが……まあいいや。
草むらに座り込み、ボード森林を見つめる。
……静かだ。何にも聞こえないし、何の気配もない。
とにかく、今の状況を確認したいな。
「スフィア、聞こえる? 今の状況ってどうなってる?」
『──はい、ご主人様。至る所で擬似生命の魔物に襲われている気配はしますが、死傷者はありません』
「そう。……封印の気配は?」
『そちらに関してはまだ……申し訳ありません』
「いや、気にしないで。引き続きよろしく」
『はっ』
スフィアとの連絡を取り終え、草むらに寝転ぶ。
空が青い。風も気持ちいいし、小鳥のさえずりも聞こえる。
こんな所に七魔極が封印されてるとは思えないくらい平和だ。
…………え? 小鳥のさえずり?
木々の上を見上げる。
いた、鳥だ。
俺らの方をじっと見ている鳥。しかも、一匹や二匹じゃない。もっといる。
おかしい。この森、今まで全くと言っていいほど生き物の気配がなかった。
それなのになんで鳥がここに……?
『コハク様。どうされまたか?』
「……あの鳥、なんか変じゃない?」
俺の視線の先にいる鳥を、クレアとライガも見る。
『確かに……あの鳥からは妙な気配を感じます』
『というか、あれ本当に鳥? 見た目はそのものだけど……』
「……クレア」
『ええっ』
クレアが鳥に指を向ける。
直後──亜音速で放たれた炎の弾丸が、鳥を撃ち抜く。
撃ち抜かれた鳥は鳴きもせず、身動きひとつせずに焦げ炭になった。
その数秒後、まるで思い出したかのように辺にいる鳥たちが一斉に羽ばたいた。
「おや、これは……?」
「なんだなんだ? どうなってんだ?」
コルさんとロウンさんの言葉に、みんなも空を見上げる。
ここだけじゃない。ボード森林にいる無数の鳥たちが、一斉に空を飛んだ。
「スフィア、あれは……?」
『ご主人様、あれは擬似生命体です。ですが、こんなに多くいるとは……』
『コゥ! あの鳥、匂いしない!』
スフィアの探知にも引っかからず、フェンリルの嗅覚にも反応しない……?
『恐らく、私たちを監視するためにグラドが作り出したものでしょう。あれに監視されていたから、的確に魔物を創り出せたのかと』
そんなものまで創り出せるのか、創造のグラドってやつは……!
飛び立つ鳥たちを見ていると、何やら一箇所に集まりだし、ある方向に向かって飛んで行った。
……まさかっ。
「みなさん! もしかしたらあの鳥、グラドの所に向かっている可能性があります! 追いましょう!」
俺の声に、みんな一斉に森の中に入っていった。
よし、俺も!
『待ってコハク。これから戦闘になる可能性があるから、魔人化して行きましょう』
「あ、そうだね。クレア、お願い」
『任せて!』
クレアが俺の肩に乗り、魂を同調させ──
「『“魔人化”!』」
──全身燃え盛る、炎そのものとなった。
相変わらず、クレアとの魔人化はものすごいエネルギーを感じる。
まるでひとつの恒星のように、内側から爆発的パワーが溢れ出るみたいだ。
『コハク様、行きましょう』
「うん」
ライガとともに、ボード森林へと入っていった。
直後──。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッッッッ──!!!!
「うっ!?」
『これは……!』
俺たちが向かおうとしていた先から、気味が悪いほどのエネルギーが迸った。
「スフィア!」
『まずいです、ご主人様。……七魔極、創造のグラドが復活しました』
なんだって!?
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